ユニコーンの5人が久々に集結! 2019年、「働き方改楽」というスローガンのもと「100周年」をテーマに掲げながら、メモリアルイヤーを駆け抜けたユニコーン。そんな彼らは、新型コロナウイルスの流行によって、さまざまな活動が制限されることになった2020年を、どんなふうに過ごしながら、どんなことを考えてきたのだろうか。2019年の活動を総括する、バンド初の展覧会『ユニコーン100周年展~百が如く~』の開催を目前に控えたいま、メンバー全員に2019年の怒濤の日々を振り返ってもらうと同時に、ユニコーンの今後について話を聞いた。
全員で振り返る、ユニコーンの「100周年」
―今回開催される展覧会『ユニコーン100周年展~百が如く~』にもあるように、ユニコーンは昨年、「100周年(※100周年=再始動10周年+現メンバーになって初のアルバム『服部』リリース30周年+川西幸一カンレキ!60周年)」をテーマに掲げながら、全50公演の全国ツアー、オリジナルアルバム2枚(『UC100V』、『UC100W』)・シングル1枚(『でんでん』)のリリースと、実に精力的な活動を展開してきました。いま改めて、そんな1年を振り返っていかがですか?
川西:ツアーに関して言うと、かなり長い期間をかけて、結構な本数をやったんですけど、すごく楽しかったですね。本当にあっという間に終わった感じ。広島県呉市の「呉信用金庫ホール(呉市文化ホール)」でもライブしたんですけど、実は呉市出身の手島さんが、呉市の観光特使をやってらっしゃって。
手島:アンタもやで!
川西:まあ、俺もなんだけど(笑)。そこで初めてユニコーンのライブができたのは、個人的にもすごく嬉しかったですね。
手島:それを言ったら、去年のツアーで奈良県に行ったことで、ユニコーンは、全都道府県でのライブを達成したんです。これはユニコーンの歴史的にも大きかったと思いますね。
EBI:しかも、その会場が「なら100年会館」っていうところだったんですよ。
―そんな巡り合わせも。
奥田:まあ、100周年ツアーだから、その会場を選んだような気もしますけど(笑)。
川西:あと、11月に行った山形も、あそこの会館が最後だったしね。
ABEDON:「やまぎんホール(山形県県民会館)」ね。
川西:そこが去年閉館したんですけど、その最後に僕らがライブをやらせてもらって。それも、いろいろと感慨深いものがありましたよね。
―ABEDONさんは、いかがですか?
ABEDON:去年は大忙しでしたよね。それに向かって、かなり前から準備していたところもあって。それだけ長い期間のツアーをやるためにはどうしたらいいのかを、みんなで考えたり。
そのためには、ニューアルバムは絶対必須だと思っていて。幸いにも結構な曲数が録れる見込みが立ったので、1年にアルバム2枚出す準備も、その制作期間を含めてちゃんと取ることができて。そうやって、僕らメンバーはもちろん、スタッフも含めて、実はかなり前から準備をしていました。
―2018年の段階から。
ABEDON:そう。だから去年、素早い動きができたのも、そういう準備があったからなんですよね。100周年の前の年は、そんなに表立った活動はしていないので。だから去年は気合いが入っていたし、個人的には、結構やり切った感じがありました。
なので、今年はちょっとゆっくりしようかなと思っていたんですけど、そしたらこういう状況になってしまった。休むも何も、そもそもライブができないような状況になってしまって。
100周年ツアーで発見した画期的なアイデア「1公演100分」という縛り
―EBIさんは、去年の活動を振り返っていかがですか?
EBI:100周年なので、本当は100本ライブをやりたかったんですけど、せいぜい50本でしたね。それぐらいが、ちょうど良かったです。
ツアーの合間にはアルバムのレコーディング期間を設けることもできました。だから去年は、ライブも制作も、ものすごく充実していました。本当に、あっという間に過ぎていったし。それと比べると今年は、僕らだけではなく、世の中全体がこういう状況になってしまったので、なおさら、去年あれぐらい盛大にライブができて良かったと、今になって改めて思いますね。
―奥田さんは、いかがですか?
奥田:この100周年ツアーの何がすごかったって、1公演100分という縛りを設けたことだと思うんです。あれは本当に画期的なアイデアで、結果的にもバッチリだったんですよね。お客さんも最初は「ちょっと物足りないんじゃないか?」っていう思いもあったと思うんですけど、やってみたらそんなこともなく。100分で終わるから、やるほうもちゃんとやるじゃないですか。
手島:うん、去年のツアーは、すごくタイトだったよね。
EBI:ダラダラしたところが全然なかった。
奥田:そう、100分って決まっているので、ダラダラすることができない(笑)。
川西:一回、ドラムソロをやったら、メンバーにすごく怒られましたから(笑)。
奥田:とにかく、これはもう、素晴らしいアイデアだったと思うんですよね。100分っていうのは、いろいろとちょうどいい時間で、ライブが終わったあと、みんなで飯を食いにいって、酒も飲むじゃないですか。その時間を測ってみたら、それも100分だったんですよ。
―(笑)。
川西:まあ、それを過ぎると、ちょっと飽き始めるからね。同じ話を繰り返したり(笑)。
奥田:そうそう。だから、100分ライブをやって100分飯を食うっていうのは、すごくいいパターンだなって思って。これはもう、普通に戻れない感じですね。何なら俺は、それをソロにも持ち込もうかと思っているので(笑)。
ABEDON:「新しい生活様式」だ(笑)。それを一足早く取り入れていたっていう。
―最初から時間が決まっていれば、観る側も集中して観ますからね。
奥田:そうなんですよ。観ているお客さんもダラダラしないし、ライブのあとの予定も立てられるじゃないですか。お客さんも、ライブのあとの飯の予約ができる。誰が何と言おうと、ユニコーンはこれでいきますから。
ABEDON:そうなんだ。ま、いいと思う(笑)。
怒涛の2019年を終えて、今年はバンド初となる展覧会を開催
―そんな怒濤の昨年と比べると、今年はコロナのこともあり、いろいろ動きづらいところがあったと思いますが、ユニコーンのみなさんは、どんなふうに過ごされていたのでしょう?
奥田:ユニコーンとしての動きはもともとそんなになかったので、それぞれの活動をしていましたね。
EBI:たまにリモートで打ち合わせをしたり、あとはファンクラブ用に、オンラインでいろいろやってみたり。
手島:レコーディングはちょっとやったじゃん。ディスタンスを取りながら。
奥田:今年はそうするしかなかったっていうのもあるんですけど、リモートも含めて、何もできないわけではなかったので。逆に、そっち方面のスキルがいろいろ上がったような感じはありますよね。
川西:こういう状況になってなかったら、リモートで打ち合わせとか、きっとやらなかったでしょうからね。
手島:今まで通りではなくなったこともいっぱいあるけど、そこで生まれてきたものもあるっていうことじゃないですかね。
―11月20日からは、バンドにとって初となる展覧会『ユニコーン100周年展~百が如く~』が、表参道ヒルズで開催されますね。
川西:もともとは、それを山形を皮切りにやろうと思っていたんですよね。ちょうど今年の春、山形でユニコーンのライブが組まれていたので、それに合わせて開催しようかって。
そのライブ自体延期になったんですけど、結局延期した12月にもできなくなったという状況になってしまい。でも、その展覧会だけは、何とかやりたいよねっていう話はしていたんです。展覧会だったら、そんなに密な状況にもならないだろうし。
ABEDON:そうやって長いことチャンスを窺っていたんですけど、そしたらこの11月に表参道ヒルズでできるっていう話になって。それで今回、正式に開催が決まった感じです。
まさか表参道でやることになるとは思っていなかったので、恐れ多いところもあるんですけど(笑)。
EBI:本当、光栄です。これで僕たちもヒルズ族(笑)。
―ちなみに、今年は明治神宮が鎮座して100周年ということは、ご存じでしたか?
奥田:へえ、そうなんですか! すごいじゃん(笑)。
EBI:去年だったら、ちょうど僕らと同じ100周年だったのに(笑)。1年遅かったか。
手島:僕らは今年で101年だからね。
奥田:いや、101年じゃないでしょ。3つずつ増えていくわけだから、今年は103年(笑)。でもまあ、今回の展覧会自体は、100周年の展覧会なので、すごくうまいこといってますね。
「僕たちのやる気だけで、物事は動かないので」――今後の予定は一旦様子見
―今後の動きについて、みなさんで話し合ったりはされたんですか?
奥田:そのあたりは、これからじゃないですかね。次のレコーディングなりツアーなりをどうするかっていうのは、まだ具体的には話してないので。
手島:でも、リーダー的には、きっと何かあるんでしょ?
ABEDON:まあ、なくはないけど……でも、こればっかりは仕方がないんでね。僕たちのやる気だけで、物事は動かないので。だから一旦は、様子見ですよね。世の中の調子とかメンバーの調子を見ながら。もちろん、やることに関しては前向きなので、今はそのための準備をとりあえずしておくって感じかな。
今後に関しては、なかなか断言しにくいですよね。特にライブに関しては。ライブの収録も、先日やったんですよね(12月19日にWOWOWプライムで放送予定の『カモナマイハウス』)。そういうのがないと、メンバーの顔も見られないじゃないですか。生存確認じゃないですけど、やっぱりたまにはちょっと、メンバーに会いたいっていう気持ちもあるので(笑)。
―それこそ去年は、かなりの時間一緒に過ごされていたわけですからね。
ABEDON:そうですよね。だから、レコーディングとか今日みたいな取材のタイミングを利用しながら動いて、みんなで顔を合わせている感じです。
「状況を逆手にとって、どれだけ面白がれるかどうかっていうのも、ユニコーンの芸風じゃないですか」(奥田)
―ファンの方には、もう少し待ってもらう感じになりそうですね。
川西:ライブに関しては、いずれはやると思うんですけど、それをどういう形でやるのかはまだわからない。ライブがないとはいえ、これまでの僕らのライブはDVDなりで見ることができるので、それを見てもらいつつ、また会える日を楽しみにしてもらえたらと思います。
EBI:まずは今回の展覧会があるので、見にきてほしいですね。僕らは映像も楽曲もいっぱい出してきたし、それぞれのソロもあるわけなので、この機会に見直したり聴き直したりしながら、これからのユニコーンに期待をもっていただけたら嬉しいなって思います。
手島:ユニコーンに関しては、厚生労働省のガイドラインに従うしかないので……まあ、僕は個人的には、ひとりでも動きますけど。
奥田:いや、ひとりのときもガイドラインに従おうよ(笑)。
手島:従うけどさ。でもまあ、基本的にロックっていうのは、誰かにやってくれと言われてやるもんじゃないですから。自分たちがやりたいからやる。だから、そういう気持ちが5人の中でパッと一致するときが、そのうちきっと出てくるんじゃないかと思うんですよね。そうなったら、僕たちは速いですから。
奥田:まあ、ライブができないならできないで、いろんなことを考えてやったりもしているしね。
ABEDON:そうだよ、奥田さんはこの期間中にYouTuberになっちゃったから。ユニコーン界のYouTuber(笑)。
―そうですよね。奥田さん個人としては、自粛期間中もYouTubeで次々と映像をアップし続けてきたわけで。
奥田:やってみて、まだこれだけじゃ飯が食えるわけじゃないことはわかってきました(笑)。
でもまあ、昨今のご時世については、これでもう大丈夫だっていうタイミングは恐らくそのうちくるでしょう。そうなったら、大手を振ってライブをやればいいし、それまではできないなりのことを考えてやるしかないんでね。
そういう状況を逆手にとって、どれだけ面白がれるかどうかっていうのも、ユニコーンの芸風じゃないですか。そういうところも見てもらいたいなと思います。
ABEDON:僕らのファンの人は、いろいろわかってくれていると思うんですよね。この状況で、何でライブをやらないんだって言うやつは、多分いないでしょうし。
奥田:それはいないだろうよ(笑)。
ABEDON:そこはツーカーでお願いしますよっていう感じですかね(笑)。もう長い付き合いになるわけなので。
奥田:でも最近は、結構若い人で去年初めて聴いたとか、初めてライブに行ったとかいう人もいるみたいだよ。
ABEDON:それはすごい嬉しいことですよね。だから今、僕たちが心がけなきゃいけないのは、そういう新しい人たちにもちゃんと届くように、デジタル関係をいろいろ学んでいくことであって……この機会にそれを習得して、さらにパワーアップした形で、いろんなことをやっていけたらいいなって思っています。
ユニコーン『UC100V』を聴くユニコーン『UC100W』を聴く
- イベント情報
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- 『ユニコーン100周年展~百が如く~』
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2020年11月20日(金)~11月23日(月・祝)
会場:東京都 表参道ヒルズ 本館B3F スペース オー
時間:11:00~20:00
※入場は閉場時間の30分前まで
料金:一般2,500円 (税込) 学生(大高生)2,000円(税込)※入場は事前予約制です。本展公式ウェブサイトで日時指定券をご購入ください。
- プロフィール
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- ユニコーン
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1986年に広島で結成。翌1987年にメジャーデビュー。1989年のアルバム「服部」でABEDONが正式加入してからは、全員が楽曲制作に携わりボーカルも取るようになる。また、担当以外の様々な楽器も使いこなすフレキシブルなスタイルで、独自の路線を突き進む。「大迷惑」「働く男」「雪が降る町」「すばらしい日々」など、名作と呼ばれつつもイマイチ売上に繋がらなかった数々の曲を残して1993年9月に解散。解散後は、バンドやソロでそれぞれが活動していたが、2009年年始に突如、再始動を発表。シングル「WAO!」で鮮烈な復活を果たし、名作アルバム「シャンブル」を発表、大成功をおさめた。その後も、アルバムリリースや全国ツアーなど、コンスタントに活動。ライブでは、圧巻のステージを見せたかと思えば、独特の寸劇が始まったりするなど、個性豊かな5人の異才達からなる、日本を代表する唯一無二のロックバンドである。
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