2019年、現役高校生でのデビュー以降、コンスタントに作品を発表してきたKAHOH。TikTokで1,000万回再生を超えるヒット曲“GIRLS TALK”をはじめ、恋する背中を押し、多くの女の子たちの共感を得てきたKAHOHがいま歌うのは、自分で恋を終わらせる強さだ。
デビュー以降順風満帆に見えたその活動だが、「何もやりたくない」と立ち止まった時期があったのだという。「今はやる気めっちゃあります!」と笑顔で語る彼女は、ニューシングル『Everything is over』に至るまでにどう自信を取り戻したのか。デビューからコロナ禍を通しての変化、彼女が目指すかっこいい女性像について語ってもらった。
withコロナの日常で気づいた変化。1,000万回再生を超えるTiKTokでのヒットをどう見ている?
―2019年にデビューして、さらに活動を拡大していきたかったんじゃないかなというときに新型コロナウイルスが流行してしまったと思うのですが、KAHOHさんはどのような影響を受けましたか?
KAHOH:なんかもうこのコロナウイルスが蔓延してる期間が長すぎて、いつがはじまりだったのかさえわからなくなってきてます。もうこのウィズコロナの状態が普段の生活のような。マスクだって小顔になるつけかたとか研究してますし。
―たしかにもうこの生活が当たり前になっていますよね。
KAHOH:ライブができないのも、もう仕方ないなって感じです。そう考えたら結構、私変わったかも(笑)。今まではライブしないと情緒不安定になってたんですよ。でも、今はライブがないのが当たり前で、むしろ久々にライブするの怖いし、緊張しちゃうし……変わってしまった!(笑)
―(笑)。なんでライブがないと情緒不安定になっていたんですか?
KAHOH:人前で歌ってやっと存在価値があると思っていたんですよね。あとやっぱり歌うということが息を吸うみたいに当たり前すぎた。
高校生のときは毎週ライブしてたし、週5でレッスンに行ってたから、歌わない生活ってよくわからなかった。だから、コロナ禍の最初のほうは、ライブが減るたび不安になっていたし、歌わずにどうやって生きていくのか? みたいなことを考えていました。
―ライブを通して人とエネルギーを交換するというより、歌うこと自体に対しての欲求があったんでしょうか?
KAHOH:そう言われてみると、エネルギーを交換することに対しての欲求かもしれないです。誰かに聴いてもらって、その人が私の歌で何かを感じている状況、目の前にいる人たちの表情を感じることがすごく必要だなって。
コロナ禍でカバー動画を始めたんですけど、やっぱり全然違うんですよ。画面越しだとみんなの顔が見えないから伝えづらいし、お客さんのことも私に伝わりづらい。だからライブと同じように感じ合うのは難しいなと思いました。
―コロナが流行するかしないかくらいの時期に“CHO VERY GOOD”や“GIRLS TALK”を発表して、今ではそれぞれTikTokで1,000万回以上再生されていて、ライブでなくともファンからの反応がいっぱいあるんじゃないかと思いますが、それに関してはいかがですか?
KAHOH:あの2曲はTikTok向けに作ったところもあるんですけど、私的には本当にその2曲が人気なのか全然実感がないんです。
―すごく手応えがあったのかなと思っていたので意外です。どういうところを意識して作りましたか?
KAHOH:“CHO VERY GOOD”は「チョベリグ」って若い子たちが知らないワードだから逆に使おうと思ったんです。そのワードを繰り返して、振り付けやすくしました。
“GIRLS TALK”も振り付けやすい<もしもし ねぇ聞いて>って歌詞とかわかりやすい言葉を入れて、それがちょうど15秒で収まるようにしました。私自身はTikTokをきっかけに音楽を聴くってことを全然しないんですけど、いまってTikTokで流行った曲が流行みたいなところがあるじゃないですか。
―普段はTikTokの曲を聴かないというか、TikTok自体もあまり見ませんか?
KAHOH:もちろん、私の曲を使ってくれてる子たちは全部チェックしていますし、いいねしてます。みんなかわいんですよ! TikTokだけじゃなくて、インスタとかもいいねしたり、コメントしたりしています。
「友達みたいになりたいけど、やっぱり憧れられたい」。いいね返しやDMでの恋愛相談など、SNS時代のアーティストの悩ましい心のうち
―ファンとの距離がかなり近いんですね。
KAHOH:私としては友達みたいな感覚で接してるんです。でも、その距離感も最近の悩みなんですよね。友達みたいになりたいけど、やっぱり憧れられたいから、どのくらいの距離感を保てばいいのか疑問……。
遠い存在にはなりたくないし、できるだけ近くがいい。かっこつけるのもあまり得意じゃないので、ナチュラルに自分がしたいと思ったら反応してはいるんですけど難しいですね。
―たしかにそのバランスの取り方って難しそうですが、いまは距離感が近いことがナチュラルなんですね。
KAHOH:どこまでやったらいいのか自分でもよくわかっていなんですよね(笑)。結構DMで人生相談とか恋愛相談とかくるんですけど、いまは返せるときは返すようにしています。
距離感のことを気にしながらも、なんか心配だから返しちゃう。それで曲を聴いてくれて元気になってくれたらいいし。だから、あまりファンだって思ってないかも(笑)。みんな友達みたいな感じですね。
―ファンも同年代の方が多いと思うのですが、「一緒にやっていこうよ!」という気持ちなのでしょうか?
KAHOH:そういう感じにできたらなと思ってます。なぜ私がファンと友達になりたいかって言ったら、一緒に頑張ってほしいからなんです。なんかホストみたいだけど(笑)。
私がめっちゃ頑張るから、みんなも曲を聴いてほしいし、友達みたいに応援してほしい。私もファンのことで喜んだり悲しんだりしたいし、みんなも身内のことのように私のことを喜んだり悲しんだりしてほしい。だから近くにいたいって思います。
―ファンとコミュニケーションをとったり、“Summer Time”でコラボしたKENYAさんやNovel Coreさんのように同年代のアーティストとコラボすることで、KAHOHさん自身も頑張ろうという気持ちが高まりますか?
KAHOH:やっぱり刺激を受けたことで頑張ろうって思いますし、いまめちゃくちゃやる気あります!
17歳でデビューしたあとに味わった苦しさ。本当にやりたい理想の音楽を手にするまでを振り返る
―デビュー時のインタビューでは、いまと変わらず気合いが入っている印象でしたが、モチベーションが下がった時期もあったんですか?
KAHOH:前のインタビューのときはやる気半端じゃなかったです! でもそこからキュィーン︎って下がって、いままたグィーン︎って上がってきました。
―キュィーン︎って下がっちゃったのはどうしてだったんですか?
KAHOH:自分の思うことだけができるわけじゃないことに気付いて、苦しい気持ちが続いて、頑張ろうって思えなくなったんです。
音楽も何もやりたくないって思ったし、「別に私じゃなくてもいいじゃん」って全部に対して諦めてしまっていました。たぶん私は「私の代わりがいる」っていうことがいちばん嫌なんだと思います。
―そのときは苦しい状態を打破するのは難しかったですか?
KAHOH:いま考えると、やっぱり当時はまだまだ子どもだったし、反抗したらまわりから「もういい」って思われちゃうんじゃないかなって思って、やりたいことを強く言えなかったんです。
やりたい理想の音楽と自分がやっている音楽とがリンクしていなかったのも苦しかった。“GIRLS TALK”もTikTokで使ってもらうことを狙って作ったところもあるんですけど、私自身はそういうバズるってことにこだわった曲を作りたいわけじゃなくて。それを最優先にすることが続くうちに自分のやりたいこともわからなくなりました。
―そこからまたやる気が出たきっかけはなんだったんですか?
KAHOH:病みすぎて、全部どうでもよくなったんです。自分がいいと思うことをやって、それがいらないって思われたら、もうそれでいいやって。そう思って作った“Summer Time”でやっと自分の理想的な音楽ができて、やっぱり自分の音楽が大好きだなあって改めて感じたんです。そこからやる気がドンドンドーンって出てきました。
―じゃあ“Summer Time”は落ち込み切った状態で作った曲なんですね。
KAHOH:そうですね。マジで病んでたときに作りました。でも、作っていくうちに、やっぱり作るの好きだなって実感して。だから“Summer Time”ができたときは本当に嬉しかったです。リリースから1年経ったいまでも毎日SNSで反応が届くんですけど、自分で納得したことに対してリアクションがあると嬉しいんだなって思いましたね。
―“Summer Time”で実現できた、やりたいと思っていたことって具体的にどんなことでしたか?
KAHOH:KOHHさんやXXXテンタシオンが好きで、ラップをやってみたいなと思っていたんです。落ち込んでいるとき、KOHHさんのラップを聴くんですよ。あの人の言葉ってすごい重みがあるし、孤独を感じる曲がたくさんある。それでもブレないラップで自分を貫いてることがすごくかっこいいし、勇気をもらっています。
KAHOH:それもあって“Summer Time”でちょっとラップっぽいことをしたんですよ。ラップもできて歌もうまい女の子っていないんじゃない? これ、いけるんじゃない? ってなって、めっちゃモチベ上がりました。
―なにかひとつでもビジョンが見えると、それに向けてモチベーションって上がっていきますよね。そういう意味で、KAHOHさんが自信やモチベーションを保つには野望みたいなものが必要なのでしょうか?
KAHOH:野望、必要! モチベ下がってたときは野望失い期間ですね(笑)。
20歳を迎えて語る恋愛観。女の子たちに伝えたい「自分で決定権を持つこと」の大切さ
―今回、1年ぶりのソロ作品『Everything is over』をリリースされましたが、この曲にはどんな野望を込めていますか?
KAHOH:自分がかっこいいと思うこと以外やらないと決めた第一歩ですし、これで自分のジャンルを確立したいと思ってます。これ、実は17歳くらいのときに作った曲なんです。
―なぜこのタイミングでリリースすることにしたんですか?
KAHOH:作った当時は大人に憧れていて、大人っぽい恋愛をしたい気持ちがあったのでめっちゃ背伸びして書いたんですよ。だから作った当時すぐに出すのは違うなあって。
でも、今回、2バース目を自分の恋愛体験をもとにして書き直したんです。私自身いろいろ経験して、恋愛って傷つくこともすごいたくさんあるし……みたいな。
―恋愛そのものに対する見方が17歳の頃とは変わった?
KAHOH:なんか、遊びっぽい危ない恋とかちょっと憧れるときありませんか?(笑) でも、そういう恋愛って結局無意味だし、本気じゃない恋愛に対して時間を使ったり、泣いたりすることって無駄だなあと思うようになりました。でも、その経験を無駄にしたくなかった。
だから“Everything is over”は、全部自分で終わらせたい女の子の歌にしたんです。相手に委ねるんじゃなくて、始まりも終わりも自分で決めたい。いっぱい傷つけられたとしても、終わりを自分で決められたらいいのかなと思ったので、そういう思いを書きました。
―歌詞のように自分で決定権を持つ女性の強さは、KAHOHさん自身ほしいと思うものですか?
KAHOH:私はそういう強さを持てたから、みんなにもそうであってほしいって思っています。恋愛だととくに相手に決定権を握られるのが嫌なんです。それくらい自信満々な女の子が増えたらいいなって思います。
DMでいただく相談とかでも、「彼氏にフラれそうなんですけどどうしたらいいですか?」とかみんな彼氏のことばっかりなんですけど、相手に選択を委ねるんじゃなくて、一緒にいるかいないかも自分で決めていいと思います。
―でも、やっぱり相手に委ねたほうが楽な場面もあるし、そこで揺らいじゃう人も多いと思うんですよね。KAHOHさんはどうして自分で決断できるようになったんですか?
KAHOH:その人以上の人が絶対いるから(笑)。でも、いい人に出会うためには自分のレベルを上げる以外、方法がないと思うんです。だから自分磨きを頑張る。
自分磨きをすると自信もつくし自分で決断できるようになると思います。私は「君じゃなくてもいいもん」って言えるような女の子でずっといたいんですよ。
KAHOH:私、自分のこと好きじゃないんですけど、好きになれるように努力したいし、自分に自信を持って生きていきたいって気持ちが最近強くて。自信があったら裏で何を言われても「私は大丈夫、そんな人いりません!」ってなれるから。
「みんなで褒め合って、自信を持って平和に生きていきたい」。自分磨き真っ只中のKAHOHが目指す女性像
―KAHOHさんの言葉からはすごく強さや自信を感じますし、自分が好きじゃないっていうのは意外でした。
KAHOH:見た目とか全部、あんまり好きじゃない(笑)。だからメイクもファッションも頑張ります。ちょっとでもよくしたいし、なりたい自分になりたいんです。でも、好きになろうと努力してるということに対しての自信はあります!
いま、私のまわりの子たちって、「みんなで褒め合って、自信を持って平和に生きていきたいね!」って感じなんですよ。やっぱりそういう人たちと一緒にいると元気になれるし、みんなもそういうふうに自信を持ってくれたらいいなと思います。
―こういう話をしていると、これからさらに恋愛相談が増えるんじゃないですか?
KAHOH:増えるかな?(笑) 私、ゲッターズ飯田さんの占いによると今年彼氏できるらしんですよ!
“GIRLS TALK”も彼氏と別れたときに書いた曲で、すぐ曲に恋愛が反映されるんです。だから、彼氏できたらまた曲が超変わると思う。でも、失恋したらすぐ失恋ソング出すかもしれないから、そのときは察してください(笑)。
―かなりリアルに恋愛の体験を音楽に落とし込んでいるんですね(笑)。
KAHOH:はい。しかも、“GIRLS TALK”を出したとき、めっちゃDMが来たんですよ。「この歌詞やばいです」とか「いまの私です」とか。やっぱり恋愛って人類共通だなと思いましたし、私は女の子にとってかっこいい存在でありたいから、女の子たちのためになる内容の曲を作っていきたいなって思っています。
―KAHOHさんにとってかっこいい女の人ってどんな人ですか?
KAHOH:安室奈美恵さんとか、最近だったらBLACKPINKもかわいいし、かっこいい。あとやっぱりビヨンセですね。昨日友達と一緒にお揃いのスニーカーを買ったんですよ。
でも、靴に詳しい人に聞いたら、実はイケてないとされるロゴのやつだったみたいで。そんなの知らなかったし、てか買っちゃったし! と思ったんですけど、イケてないロゴのスニーカーでもビヨンセが履いたら「かっこいい!」ってなるはずなんですよね。
友達とも「うちらが履いたらダサいものすらイケてるってなるようにしようね、頑張ろ!」って話してました。自分のレベルさえ上げれば、結構なんでもかっこよくなると思うんです。だから「KAHOHってイケてるよね」っていう存在になりたいですね。
―KAHOHさんは20歳をむかえたばかりですが、どんな20代にしていきたいですか?
KAHOH:クールで色気がある女になりたい……クールになりたい願望はずっとあるんですよ。でも、できないから諦めてますね(笑)。
ちょっと静かにすると友達にも「体調悪い?」って心配されるし、ライブもMCでかっこつけると「スカしてるな~自分」って笑っちゃうんです。クールになれない自分も受け入れて生きていこうって思ってますし、そんな自分も嫌いじゃないです。
―前のインタビューではThe Beatlesやマイケル・ジャクソンのようなスーパースターになりたいと言っていましたが、これからどんなアーティストを目指していきますか?
KAHOH:マイケル・ジャクソンみたいになれるならなりたいですけど、いまは大勢の人に向けてっていうより、私の曲を聴いてくれる誰かのいちばんになりたいって気持ちのほうが強いです。その「誰か」をめっちゃ増やしていきたいって思っています。
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- プロフィール
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- KAHOH (かほ)
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R&Bシンガーソングライター。2001年生まれの20歳。地元和歌山で4歳からダンスを始め、中学生から本格的に歌うことに目覚める。2018年に開催されたオーディションで才能を見出され、MACOらが所属するSTARBASEとマネージメント契約をする。2021年6月、最新シングル『Everything is over』をリリース。ティーンを中心に力強さと透明感を兼ね備えた唯一無二の歌声とリアルな歌詞で聴く人を魅了している。
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