企業はここを見ている。自己PRでクリエイターが気をつけたい3つのこと

転職活動で避けて通れないのが履歴書の作成。そのなかでどう書けば良いのか悩む項目のひとつが「自己PR」ではないでしょうか。なんとなく書いてしまう人も多いかもしれませんが、じつはそれは非常にもったいないことなんです。

そこで今回は、これまであらゆるクリエイティブ企業の求人を取り扱い、過去に自社でもエージェントサービスを展開していたCINRA.JOBが、効果的な自己PRを書くためのポイントをお教えします。

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TOPIC
1. 自己PRは書く前の準備が大事
2. 【職種別】実際に自己PRを書いてみよう
 ・デザイナーの場合
 ・WEBディレクターの場合
 ・編集者の場合

1.自己PRは書く前の準備が大事

そもそも「自己PR」とはどんな役割があるのでしょうか。クリエイティブ業界の転職活動では、「ポートフォリオ」という自分の制作実績をまとめた、いわば作品集を用意することがあります。ポートフォリオは、制作スキルをアピールすることが役割なのに対し、自己PRは「仕事で大事にしていること」や「どんな分野が得意なのか」といった実績の紹介だけでは語りきれない、自分の特徴や良さを伝えることが役割です。

より効果的にアピールできるよう、まずは以下の手順で書き始めてみると良いでしょう。

ステップ1. 自分の実績を書き出してみる

まずは、以下の項目を書き出してみましょう。すでにポートフォリオを作成している人は、ぜひその内容を活用しつつ深掘りしてください。

・これまでの実績(具体的な案件内容)
・その案件にはどんな課題があったのか
・どんなプロセスで課題解決をしたのか
・苦労した点&どう乗り越えたのか
・どんな結果になったのか

これらを書き出すことで、自分がどんなことに気をつけながら仕事をしているのかという、仕事への向き合い方やスタンス、またどんなことが得意なのかを理解できるようになります。

ステップ2. 企業がどんな人材を求めているのかを分析する

次に、志望している企業のコーポレートサイトや採用ページ、または社員のインタビュー記事などをよく読み、企業がどんな人材を求めているのかを書き出して整理します。

例えば、少数精鋭の企業であれば、「幅広い業種を横断できる柔軟性」「どんなことにも果敢にチャンレジする積極性」を求めるかもしれません。逆に規模が大きく、チーム制で仕事をする企業の場合は、「チームを束ねられるマネジメントスキル」「さまざまな人との連携が取れるコミュニケーション能力」を求めるかもしれません。

このポイントをしっかり把握することが、内定への第一歩につながります。

ステップ3. 共通点を見つける

最後に、1と2の共通点を見つけます。企業が求めていることに貢献できるものはないか、自分のアピールポイントやスキルを取捨選択しましょう。

ここで重要なのは、要素を詰め込みすぎないこと。アピールポイントがたくさんあると、一つひとつのインパクトが弱まってしまいます。ここぞというポイントを2つ程度にしぼって、具体例と合わせながらメリハリをつけて書くことが、魅力的な自己PR文にするための秘訣です。

◼️ ひとくちメモ
求職者のなかには「自分のアピールポイントがわからない……」と悩む人もいると思います。そういう人に多いのは、自分に対してストイックすぎるパターン。自分ではたいしたことないと思うスキルも、企業側から見ればぜひ欲しいと思う立派なスキルになることも。まずはステップ1の通り、自分のキャリアを細かく棚卸しすれば、自然と自分のアピールポイントが見えてくるはずです。

2.【職種別】実際に自己PRを書いてみよう

ここからはどんな部分を意識しながら書けば良いのか、職種ごとに例文を用意して解説していきます。

デザイナーの場合

・Before例文
前職ではWEBデザイナーとして、サイト制作やECサイト運営を行っていました。ECサイトの運用では、お客様にとって使いやすく、また会社として売り上げにつながるような工夫をしながら制作しました。社内でも、丁寧な更新をしていると高評価をいただいています。

また社内ではチームリーダーを担当していました。どうしたらチームや会社をより良くできるかを考えながら行動しました。初めは苦労しましたが、この経験のおかげで成長できたと感じています。このマネジメントスキルを御社でも活かしていきたいです。

・CINRA.JOBからのフィードバック
具体例がないので、全体的に平坦で強みが伝わらない文章になっています。どんな部分が大変で、どう乗り越えたのかを書くことで、人となりも見えてきます。自分はどんな分野が得意なのか、また好きなのかを、自己PRで補足することで、企業とのマッチング度をアピールすることにもなります。これはエンジニア職にも共通するポイントなので、参考にしてみてください!

▼採用担当者はココを見ている!
①自社との相性(どんな分野のデザインが得意なのか)
②仕事の進め方・スタイル
③コミュニケーションスキル(社内の連携やクライアント対応もできるのかなど)

あらためて、これらのポイントを参考に書き直してみましょう。

・After例文
これまでWEBデザイナーとして、サイトのデザイン制作やECサイトの運営をメインに行なっていました。とくにUI / UXの分野に力を入れており、見た目の良さだけでなく、課題解決できるデザインを目標に取り組んでいます。例えば、○○○のECサイトでは、より使いやすいサイトになるよう、Google Analyticsで離脱箇所などを分析し、導線設計から見直して改修を提案。結果、コンバージョン率も○パーセントアップし、売り上げに大きく貢献できました。

また、社内ではデザイナーチームのリーダーを担当しておりました。初めは全員の稼働状況を把握するのに苦労しましたが、定例会議の内容を見直したり、全体の進行状況がわかる稼働管理表を作成したり、チーム内でサポートし合える体制をつくり、働きやすい環境づくりに励みました。この経験から、チームのモチベーションを上げるためのコミュニケーション能力が身についたと感じています。このマネジメントスキルを御社でも活かしていきたいです。

・CINRA.JOBからの解説
具体的な取り組み内容と結果が書いてあることで、UI / UXデザインが得意なことや、その人の仕事に対するアプローチの仕方などが見えたので、担当者視点では刺さるのではないでしょうか。またチームリーダーとしてのエピソードを通し、何事もポジティブに解決するコミュニケーション能力があることも、しっかりアピールできていると思います。

◼️ ひとくちメモ
デザイナーやエンジニアによくやりがちなのが、自己PRに技術的な専門用語を多用してしまうこと。履歴書はまず、人事担当者が目を通すことも多いので、技術面をアピールする場合は、どんな役職の人が読んでも理解できるように、噛み砕いた表現で書くことを意識してみてください。

WEBディレクターの場合

・Before例文
新卒入社後、WEBディレクターを約5年間担当しております。これまでコーポレートサイトやオウンドメディアまでさまざまなサイトをディレクションしてきました。その経験を活かし、現在はWEBサイト制作だけでなく、企画提案も担当しております。

またディレクターとして社内外との連携がスムーズにいくよう、コミュニケーションの取り方は工夫しています。目的や課題をしっかり汲み取りながら、つくって終わりではなく、その先を提示できるような仕事をして、クライアントに満足してもらえる人材になりたいと考えています。

・CINRA.JOBからのフィードバック
ディレクション能力をアピールするためには、具体的にどのくらいの規模の案件を担当していたのかを明示したほうがより効果的です。また、ディレクターは案件全体をまとめる役。例えば、スピード感をもってエネルギッシュに進めるタイプなのか、細やかなフォローを忘れずに丁寧に進めていくタイプなのかなど、仕事のスタイルについても触れておくことで、入社後のイメージを、採用担当者に持ってもらいやすくなります。

さらにWEBディレクターの場合は、移り変わりの激しいWEB業界のトレンドをつねに把握していることも重要。インプットの習慣は、企画提案力や、マーケティング知識のアピールにもつながるので、ぜひ入れ込みたいポイントのひとつです。

▼採用担当者はココを見ている!
①ディレクション能力と、仕事のスタイル
②キャリアビジョン(今度どのように成長したいのか)
③インプットの姿勢や内容

あらためて、これらのポイントを参考に書き直してみましょう。

・After例文
これまで約5年間、WEBディレクターとして、オウンドメディア制作から大学サイトのリニューアルまでさまざまな規模の案件に携わってきました。私がディレクションをする際に大切にしていることは、クライアントの目的や課題をしっかり汲み取ることです。一方的に意見を押しつけるのではなく、丁寧にコミュニケーションを図り、クライアントと二人三脚で進めることを意識しています。その結果、受注件数が○パーセント、リピート率は○パーセント以上アップすることができました。

また今後は企画や提案のスキルを伸ばすことが目標です。つねにベストな提案ができるよう、WEB業界のトレンドは必ずチェックし、アイデアの引き出しをアップデートしています。つくって終わりではなく、その先まで提示できるような仕事をして、クライアントからさらに信頼される人材になりたいです。

・CINRA.JOBからの解説
業務に取り組む際に自分が大事にしている軸だけでなく、成果も明確に書かれているため、ディレクション能力をしっかりアピールできています。また、今後のキャリアステップの目標もより具体的になったことで、入社後どのように活躍するのか企業側がイメージできる内容になりました。

◼️ ひとくちメモ
コミュニケーション能力をアピールする内容のひとつとして、「トラブル対処の経験と方法」があります。ディレクターとしての度量や経験値のアピールにもなるので、大規模な案件を多く扱う企業の場合は、高く評価されるかもしれません。

編集者の場合

・Before例文
これまで3年ほど編集を担当しておりました。企画から取材、ライティング、撮影ディレクションまで、業務は多岐に渡ります。エンタメからビジネス媒体まで、幅広いジャンルを取り扱ってきたため、多忙ななかでも、広い視野を持って編集業務に携わることができました。

これまで培ったさまざまな知識を活かして、これからは企画やコンセプトメイキングなどに注力し、より読者に興味を持ってもらえるようなコンテンツづくりを目指していきたいと考えています。

・CINRA.JOBからのフィードバック
編集者は、企業カラーとのマッチング度が非常に重要です。企画やライティングなど具体的にどんな業務実績があるかに加え、エンタメ系やビジネス系といった得意ジャンルなどを、具体的に書いておくと良いでしょう。さらに、「ひとつのことを突き詰めるスペシャリスト」、「幅広いジャンルを手がけるオールラウンダー」など、自分の仕事タイプを理解したうえで、これからどう成長していきたいのかを明確にしておくことが効果的なアピールにつながります。

また担当業務のボリューム感や、記事を公開したあとの反響は、その人の経験値を示す大きなアピールポイントになります。月にこなしている取材件数や、SNSのシェア数、担当誌がどれくらい売れたのかなど、具体的に書いてみましょう。

▼採用担当者はココを見ている!
①得意なジャンル
②自分の仕事のスタイル
③実績に対する具体的な成果

あらためて、これらのポイントを参考に書き直してみましょう。

・After例文

これまで3年ほどWEB媒体で編集を担当しておりました。企画から取材、ライティング、撮影ディレクションまで、業務は多岐に渡ります。私の強みは、これまでアーティストから大手企業まで、あらゆるジャンルのインタビューを取り扱ってきたからこその幅広い業界知識と、Google AnalyticsのデータやSEOのロジックをかけ合わせた、柔軟な企画を考えられることです。現在コンテンツ運用を担当している○○○では、記事内のSEOを一から見直しつつ、競合と差別化するためにあえてニッチな分野のネタを取り上げるなど、オリジナリティーを意識した記事を毎週アップするようにしたところ、PV数を前年比の○パーセント向上させました。

これからはこの強みを活かして、コンテンツ企画だけでなく、御社が得意とされているメディアのコンセプトメイキングといったブランディングの分野にも挑戦していきたいと考えています。

・CINRA.JOBからの解説
編集の技術だけでなく、得意なジャンルも見えたので、いろいろな視点で物事を見られるという強みがうかがえました。仕事のスタンスや成果のエピソードから、会社への貢献も期待できる内容になっていて良いですね。今後キャリアとして広げたい分野も明確に書かれているので、企業側もより採用しやすくなると思います。

◼️ ひとくちメモ
使用できるツールも意外と注目されるポイントです。Adobeのクリエイティブツールや、Google Analytics、SEOの知識が歓迎スキルになることも多いので、得意な人はぜひともアピールしたいところ。

まとめ

今回の添削アドバイスは、あくまで参考のひとつなので、それぞれ志望する企業の特徴に合わせてカスタマイズすることが重要です(同じ自己PR文の使いまわしは、意外に採用担当者にバレることもあるとか……!)。

クリエイティブ業界の採用では、その人の得意ジャンルや作風がどれだけ企業とマッチングしているかが大きなポイントになります。まずはポートフォリオなどでこれまでのキャリアを棚卸ししながら、自分の特徴を見つけてみましょう。「特徴」は立派な「強み」です。自己PRでは、ぜひ自信を持ってアピールしてください!



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