第8回:「『これできる?』って言われたのを『はい、やれます』って言ってるだけ」博報堂ケトル・原利彦【後編】

プロフィール
恩納力
恩納力

3度の飯より仕事が好き!仕事は断らないプロ社畜です。ブラック企業や様々なダーティー&ハードワークを経て、2016年4月から株式会社AbemaTVに入社。やっと試用期間が終わりました。好きな言葉は「最低でもランナーを進めろ」。好きなプロ野球選手は、ブライアント(近鉄)。

『AbemaTIMES』の恩納力さんが、最前線で活躍する編集者の「リアルな声」を聞き出すこの連載。今回のゲストは博報堂ケトルの原利彦さん。プロデューサーという肩書きながら、広告の企画からメディアの編集、さらにはラジオ出演まで、幅広いお仕事をカバーする秘訣に迫ります!

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僕が仕える2人の編集長、水道橋博士と嶋さん

恩納:原さんが嶋さん以外によく一緒に働く人っているんですか?

原:芸人の水道橋博士さんですね。

恩納:『メルマ旬報』(水道橋博士のメールマガジン)、一緒にやってますもんね!オレ、「メルマ旬報festival!」行きましたから。TENGA渡されましたよ(笑)。

原:そう。メルマガなのに。1500人規模のフェスをやったんですよ。そこにTENGAさんが協賛についてくださって、20歳以上の来場者全員に『メルマ旬報』特製TENGAを、プレゼントしました(笑)。一号あたり60万文字のメルマガ。もう創刊から4年になるのかあ……。博士も編集長業務をガチに全部自分でやってますからね。

恩納:すげー!!確かにあの熱量、ハンパない!

原:僕は尊敬する人っていないんですけど、カッコいいなって思う人は僕が仕える2人の編集長の、博士と嶋さんなんですよ。同時に、あの二人を見てると「僕は将たる器はない」って分かるから、家臣でいようって余計に思いますね。

博報堂ケトル・原利彦さん

博報堂ケトル・原利彦さん

恩納:ハートマン軍曹と『セッション』J・K・シモンズみたいなもんですもんね。

原:楽しいんですよね。水道橋博士さんも仕事が大好きなんですよ。博士、毎日、朝3時に起床してどんどんメールがきますから。

恩納:メディア上でしか博士のこと知らないんですけど、どんな方なんですか?

原:よくビートたけしさんのことは「誰よりも狂暴で、誰よりも優しい」って表現されますけど、博士も徹底的に優しいし、人に温かいんですよ。絶対に人を見捨てない。

恩納:かっけえー!!

殿(ビートたけし)と軍団さんって、夜中仕事終わって飲みに行ってから草野球をガチでやってたんですよね?すげえ強いっすもんね。昔、阪神負けたし(笑)。

原:博士は草野球の対戦相手のスコアラーまでやってたらしいですよ!多摩川の河原とかで全く知らない素人を分析してたって。そういう人と働いてますからね。絶対勝てない。

だから、今の僕にとって殿が博士ですね。

恩納:カッコいいなあ(笑)。俺も軍団作りてえなあ。

CINRA:仕事へのモチベーションが上下する時とかないのでしょうか?

原:ないですね。そもそも仕事にそんな期待してませんから。やらないと迷惑かけちゃうからやるだけ。怒られたくないですしね(笑)。

恩納:それ、凄い人達みんな言いますね!中川淳一郎さんもおっしゃってました。

仕事はやらなきゃいけないことだからこなす、って。

AbemaTV・恩納力さん

AbemaTV・恩納力さん

原:でも、仕事相手から「ありがとう」とか言われると嬉しいかな。人として当たり前か(笑)。

恩納:OSじゃないんですから!

「これやりたい!」とかそういうのないんですか?

原:ないです。

恩納:金入ったら、これめっちゃ欲しい!とか?

原:ないです。

強いて言うなら、承認欲求なのかな。あと、今筋肉が欲しくて、最近ほぼ毎日ジム行ってるんですよ。

恩納:はーい。ちょっと一回止めてー。

『アメリカン・サイコ』じゃないすか!ある日、報道される側になるのやめてくださいよ!

原:(笑)。そうしたら、この記事のページビューが凄いことになりますね。

恩納:ヤフトピ砲いきますね!CINRA嬉しいじゃん。サーバー落ちるぜ!

CINRA:全然嬉しくないです(笑)。

人脈って仕事しないと絶対できない

原:まあ、自分は1年後とか何してるんだろう?って楽しみはありますね。先のこととか何も考えてないから。恩納さんもでしょ?

恩納:俺もなんも考えてないなあ。射程距離がスタープラチナばりにオラァーッッ!!すね。もうそろそろザ・ワールドが覚醒しても良い頃なんですけどね。

つうか考えてたら7社も転職しないっすよ!

原:そもそも自分で何かを主張したこともないので。全部流されるままですから。

恩納:LET IT BE!ポール・マッカートニーの域ですね。

原:それこそ博士とか、嶋さんみたいな面白い大人についていってるだけなんですよ。楽しい冒険してる感じ?

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CINRA:将来のビジョンとかは考えないんですか?自分の想いを形にしたいとか。

原:ないです。

周りの人に「これできる?」って言われたのを「はい、やれます」って言ってるだけですからね。

恩納:日本で一番「はい、やれます」って言ってるかもしれないですよ(笑)。

原:そうかもしれませんね!

恩納:あと原さん、メールのレスが異常に早いすよね。サーバーエラーで戻ってきたんか?ってぐらい(笑)。

原:はい。とりあえずすぐ打ち返します。ちょっとするとバーッって下の方にいっちゃってトンデモない量になっちゃうから。

恩納:忘れちゃうんじゃなくて、メールが多すぎてですよね。

原:そうなんですよ。シンプルですよ。目の前の仕事をこなす、メールはすぐ返す。

恩納:出世したいとかは?

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原:あまり考えたことないです。

CINRA:趣味とか気晴らしとかはあるんでしょうか……?

原:仕事終わって缶ビール飲むことかなあ。……ビール、美味しいんですよね。

恩納:『幸福の黄色いハンカチ』出所後の高倉健じゃないですか!

原:あと、ヘッドホンで音楽聞きながら家まで散歩して帰るのとか楽しいですね。ラジオ、ハマってますね。NHKの『ラジオ深夜便』とか良いんですよ。

恩納:分かるけど……!40男が一人深夜にビール飲みながら笑って散歩してたら軽くホラーっすよ!職質100%。

飲みに行ったりしないんですか?

原:毎日飲んでますよ。行くとしても一人で飲みに行きますね。いつでもすぐ帰れるし。

あと、人脈作りとかの飲み会には行かないですね。人脈って仕事しないと絶対できないって思ってますから。

恩納:間違いない。ワケ分かんない飲み会なんて行ってる暇ないっすよね!……つうか、俺はそもそも誘われねえ!

CINRA:博報堂ケトルはどういう方が入社できるんでしょうか?

恩納:鹿取(巨人)ばりに「行け!はい!」みたいな連投タイプじゃないの?

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原:確かに体力は大事ですね。でも、基本的に自由と自律なんですよ。それぞれに「稼いできてー!」みたいな。結果さえあれば何やってもいいんで。ただ苦しい条件、プレッシャーの中ではやってます。

でも、だからこそ逆に楽だと思います。精神衛生上もすごく良いと思いますよ。全部の自分のせいだし、責任を負いますから。だから新卒はいないんです。エデュケーションされながら、個人でお金を頂くことは難しいので。

CINRA:口説かれる人材になれってことですね。

原:そんな上目線ではないんですが……。まだまだ小さい会社なんで。

来たいって人を選ぶよりは、こっちから来てください!ってお願いに伺う感じです。僕が代表をやってる博報堂ケトルSTOVEカンパニーは、僕が一緒に仕事したい人や、とりあえず一回仕事してみて合う人ですね。

あと最近40歳を超えて思うのは、ちょっと後輩を育てなきゃな、ということですかね。STOVEカンパニーの連中を食わせなきゃってのもあるし。自分が仕事取ってきて飯食わせるみたいな。教えるよりそっちの方がよっぽど楽ですしね(笑)。



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