若手クリエイターのお悩み相談所(CINRA)

「仕事中つい寝てしまう」若手からお悩み相談。ヒントは島耕作にあり!?

プロフィール
田汲洋
田汲洋

新卒でちっちゃな広告代理店に入社する。その後、某雑誌主催の大喜利世界大会に出場して優勝。ここで思いっきり進む方向を間違える。2011年に出版社に転職。宣伝部でエロゲー雑誌やラノベ、マンガを担当し、テレビCMやキャンペーン広告ほか、ゲームショウやコミケなど数々のイベントを手がける。2014年にインフォバーングループに入社。2017年10月より新卒採用担当となる。

クリエイティブ業界の若手が抱くお悩みに先輩がアドバイスする連載企画の第4弾。頼れる先輩は、デジタルマーケティング支援やオンラインメディア運営を行うインフォバーングループの田汲洋さんだ。クリエイティブ業界を渡り歩いた末に、現在人事を担当している彼は、業界屈指(?)のカウンセリング力を持っているとか、いないとか……。

今回寄せられたのは、「仕事中に眠くなって、つい寝てしまう」という新卒一年目の方からのお悩み。なぜいつも眠くなってしまうのか……。原因を探るために、毎日居眠りしている上司と、島耕作を分析。仕事中に眠くならないコツとは?

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寝たらダメだと思っても、つい寝てしまう。どうすればいい?

どうも。タクミです。

現在、企業のデジタルマーケティング支援を行うインフォバーングループで採用担当をしています。ちなみに、前職は某出版社の宣伝部などで働いていました。

迷える若手クリエイターたちの質問に対して、真摯にお答えする連載第4弾。曲がりなりにもクリエイティブ業界で経験を積んできたぼくが、これまで経験したことをもとにアドバイスさせていただきます。

ウシジマくん似のタクミです

ウシジマくん似のタクミです

今回、読者の若手クリエイターの方からこんなお悩み相談をいただきました。

悩みがあります。それは、仕事中めちゃくちゃ眠くなってしまうことです。私の会社はフレックスかつフリーアドレス制なので、基本的に自由に働けます。ですが、そうしたゆるい環境から油断が生まれ、業務の途中でも眠りにつくことがあります。寝てはいけないと思いつつ、つい寝てしまうんです。どうしたらいいですか?

Web制作会社 新卒1年目 BUMP OF CHINCHIN(男性)

この質問に答える前に、読者の皆さんにお知らせしたい事実があります。それは、前回までいただいていた質問は、私の知り合いである他社の若手社員に直接聞いた悩みだったということ。

ですので、メールでいただいた相談に乗るのは、じつは今回が初めて。悩みを聞くフリして、自分が話したかった体験談を展開して終わらせるという「イシューのすり替え」がそろそろバレそうだったので、今回こそまじめにお答えいたします!

フリーアドレス、増えてますよね。ぼくの職場もそうですし、このCINRA JOBを運営している株式会社CINRAもフリーアドレス制と聞きました。

働き方が自由になると、そのぶん体調管理やモチベーション維持は自己責任になります。それは新入社員だろうが10年目だろうが同じです。

なぜ勤務中に寝るとサボりなの? 日本でいちばん出世したサラリーマンに学ぶ

BUMP OF CHINCHINさん、これはぼくの勝手な印象ですが、あなたは責任感やモチベーションがまるでないですね。ペンネームからその性格が透けて見えますし(個人的にはわりと好きだけど)、「寝てはいけないと思いつつ、つい寝てしまう」というのは自己管理ができていない証拠(※この原稿の締め切りが遅れている自分も、自己管理できておりませんが)。

ですが、気持ちはすっごくわかります。むしろ、昼食後とか眠くならない人のほうが少ないはず。そもそも寝るのは本当にいけないこと? 睡眠欲は、人間の三大欲求です。それなのに、なぜ「勤務中に寝ている=サボっている」と、人は決めつけるのでしょうか。

なんだか、その理論自体がおかしい気もします。そこで、日本でいちばん出世したサラリーマンが、若かりし頃にどのくらい寝ていたのかを確認することにしました。

それが誰かは、もうおわかりですよね。そう、島耕作です。「島耕作が勤務中に寝ていた → でも彼は会社のトップであり、もはや日本経済界のトップに上り詰めている → つまり勤務中に寝るのは取り立てて悪いことではない」という超ロジカルなシンキング!

参考文献は『ヤング島耕作』(講談社)です。全4巻。主人公の島耕作が初芝電産に入社し、主任に昇格するまでの話です。

これを読めば、社会人のだいたいの悩みは解決しちゃいます

これを読めば、社会人のだいたいの悩みは解決しちゃいます

その期間には、さまざまなことがありました。なんと5人の女性を抱いていました、うち一人は未遂ですが(中井さん〈未遂〉、重田さん、魔王のママ、恭子さん、高橋さん)。

ほかにも、アパートの隣人が殺されたり、テロが起きたり、同僚が北朝鮮に拉致されたり……もはや勤務中に寝ていたとしても、そんなの「かわいいもの」なのかも。途中からそう思いつつ、とりあえず最後まで読みました。

やむなく居眠りした若かりし島耕作が、女性社員に言われた一言とは

すると唯一、勤務中に島耕作が寝ている描写を発見しました。それは4巻の終盤199ページ目。後輩の奥さんの出産を手伝い、一睡もしないまま出社して、普段の勤務フロアではない別室で寝ているところを女性社員に見つかるシーンです。

そこで女性社員が、島耕作に向けて放ったひとことは「あら、島さん。ここでサボっていたのね」。

非情ですよね。どんなに大変な目にあっても、どんなにいいことをしても、平日の日中に寝ている姿が見つかれば、サボっていると思われてしまうのです。しかも、毎日ではなく一回だけで、この言われようです。

一方で、こんなシーンもありました。若手の島耕作が2週間かけてやっていた仕事を、ベテランの井尻さん(本社販売助成部販売店課課長)はたった2時間で終わらせて、お昼寝をしていたんです。スポーツ新聞を頭に乗せて。

井尻さんの仮眠スタイル。実際、こんな昭和スタイルで寝ている人、見たことないですが

井尻さんの仮眠スタイル。実際、こんな昭和スタイルで寝ている人、見たことないですが

彼は効率よく仕事をこなすキャラとして描かれていました。若手社員が寝ていると「サボっている」と思われますが、デキるベテランが昼寝をしていると「余裕がある」ように見えるのかもしれません。少なくともマンガ上ではそうでした。

ただ、現実で上司が寝ていたら、部下はどう思うのでしょう。実際、ぼくの上司で、業務時間内の睡眠を欠かさない人がいました。その人のことをぼくはずっと観察していたので、その分析結果をお伝えします。

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居眠り上司を毎日観察。データ分析してわかった、勤務中に寝ると損をする理由

居眠り上司を毎日観察。データ分析してわかった、勤務中に寝ると損をする理由

その昔、ぼくの職場の上司(男性)は、机にうつぶせで寝る日もあれば、仰向けで寝る日もあり、とにかくよく寝ておりました。もちろん仕事を終わらせたあとだとは思いますし、そう願いたいのですが、普通に「熟睡」していました。

ぼくはその寝顔を見て、ふと気になったんです。寝ている時刻や時間、天気などと、睡眠になにかしら相関関係があるのではないかと。それからというもの、ぼくはその人が寝ているの見つけると毎回状況をノートにメモして、ついでにその姿も盗撮するようになりました。

うつぶせスタイル。シャッター音ごときでは起きません

うつぶせスタイル。シャッター音ごときでは起きません

実際のメモです。こんなことをやってたなんて、全然仕事してなかったな〜

実際のメモです。こんなことをやってたなんて、全然仕事してなかったな〜

ぼくはデータを蓄積して、エクセルに落とし込みました。するとまずわかったのが、毎日寝ていること。シンプルな分析結果ですね。そして、時間としてはやはり昼食後が多いと判明しました。

さらに、晴れの日は睡眠時間が長いこともわかりました。晴れている日の昼食後は眠くなるという、とてつもなくわかりやすい結果。中学・高校の頃、午後の授業が眠かったのとなんら変わりません。

人間はいくつになっても眠くなる生き物だと再認識しました。眠くなるのは、しょうがないことなんです。しかし、それにどう対処するかは自分次第。自己責任ですから、睡眠をとるという選択を毎日続けるのも自由です。

ただ、その上司はぼくのなかで「いつも寝ている人」という印象が強く残っています。ちなみに、寝ている写真をもっと偉い人に横流しして楽しんだこともあります。

仰向けのときは、これとほぼ同じスタイルで堂々と寝ていました

仰向けのときは、これとほぼ同じスタイルで堂々と寝ていました

いつか「余裕がある人だな」と思われるために。若手が持つべき意識

BUMP OF CHINCHINさん、もしあなたが会社でいつも眠りについていて、それがたくさんの人が働いているフロアだったとしたら、ひょっとするとぼくみたいなやつに写真を撮られているかも。しかも、毎日メモを取られて、分析されている可能性もある。

おそろしくないですか? ぼくのパソコンのなかにBUMP OF CHINCHINさんの寝顔フォルダと分析シートがつくられていたら、嫌ですよね。

できれば、島耕作の上司の井尻さんのように「デキる人は余裕がある」と思われたい。でも、井尻さんはベテランですが、あなたはまだ新卒一年目。若手の頃から超仕事人間の島耕作でさえ、寝ているところを一回見られただけで「サボっているのね」と言われてしまうのです。

ごまかしたつもりでも、だいたいバレています

ごまかしたつもりでも、だいたいバレています

井尻さんのようになるには、スキルはもちろん、信頼の積み重ねが必要です。若手のときに「いつも寝ているやつ」と思われるのは、はっきり言って損ですよ。

それ以前に「人が寝ているところを研究するなんて、気持ち悪い」って思いました? 構いませんよ。「気持ち悪い」と言われることは、ぼくにとってごちそうですから。

眠くなったら外に出よう! 仕事中の睡眠欲に打ち勝つ方法とは

眠くなったときの解決策としておすすめなのは、外に出ること。クリエイティブ業界でフリーアドレスを導入している企業あるあるかもしれませんが、「良いモノさえつくれたらOK」な節がありますよね。

良いモノをつくるために、重要なのがインプット。あらゆるインプットが仕事につながるのは、クリエイティブの面白さです。フリーアドレスなのに、貴重な時間を寝て過ごすのはもったいないと思いませんか?

あなたが「寝てはいけない」という気持ちを持っているのなら、インプットの時間に当ててはいかがでしょうか。図書館や本屋に行って、仕事関連の参考資料を探すのもいいですし、話題のスポットに寄ってみるのもアリでしょう。

もうひとつの解決策は、日々の業務をルーティン化してしまうこと。ルーティン化と聞くと、クリエイティブとはかけ離れている気もします。しかし、じつはルーティンを欠かさないクリエイターは多いんです。

村上春樹は、午前4時に起き、5、6時間ぶっとおしで仕事をしたあと、午後はランニングをするか、水泳をするかして(両方するときもある)、雑用を片づけ、本を読んで音楽を聴き、午後9時には寝ます。

さらに、ヘミングウェイも早起き。執筆する際は、胸の高さまである本棚の上にタイプライターを置き、いつも立ったまま小説を書いていたそうです。どちらの天才も、この日課を毎日、変えることなく繰り返すそうです。(参考文献:『天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々』)

ちなみに、ヘミングウェイは自分が書いた語数を毎日記録していたらしい

ちなみに、ヘミングウェイは自分が書いた語数を毎日記録していたらしい

そして、その「繰り返し」がもっとも重要。習慣化することによって、「目標達成のために必要な行動」と体が認識し、ルーティンが最高のパフォーマンスを発揮するための所作になるそうです。

たとえばBUMP OF CHINCHINさんの場合、午前9時から12時はその日中にやるべきタスクをこなし、1時間の昼食休憩中に10分だけ寝る。できれば、人目のつかない社外が望ましいですが、もし見つかったら「あ、これルーティンなんですよ」で乗り切る。

午後は、業務をこなしたり、スケジュールを整理したり、眠くなる15時頃には「インプットいってきます!」という言葉を残して外出したり……など事細かにルーティーン化してはいかがでしょうか。

ただ、ルーティンを決めたところで、気が緩むとついサボってしまうのが人間です。誰か管理してくれる先輩とかがいればいいんですけどね。もし、いないのであればぼくが引き受けましょうか? ご存知のとおり、観察とか分析とか得意なので……。

ルーティンの計画を立てたら、ぜひ教えてください。またのメールをお待ちしております!

【まとめ】

・人間は眠くなる生き物。晴れた日の昼食後は要注意。

・いつも寝ていると思われたら損だから、会社で寝るのはやめよう。

・クリエイターにとって、ルーティン化は有効。日々のルーティンを計画できたら、ぼくに報告して!

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