怪しい司会者によるMCで、カオスなイベントは幕を開けた
「音楽とエロとちょっぴり特撮」という、カオスなコンセプトを掲げたモノブライトによる自主企画ライブ『Rumble In Brighton Vol.1 ~新春夜の最前線編~』が、1月29日、渋谷CLUB QUATTROにて行なわれた。
開演時間の18時を回ると、サブステージのバックスクリーンに「マッシュルームヘアー&付け鼻」姿の怪しい司会者が映し出され、本日のメニューをハイテンションで紹介していく。「Peach John」と名乗るその男、どこからどう見ても桃野陽介(モノブライト / Vo,Gt)だ。彼の前口上に導かれ、メインステージにはトップバッターのインストゥルメンタルジャズバンド、カルメラが登場。
モノブライトのサポートメンバーとしてもお馴染みのホーンセクションを含む総勢8人のメンバーが、揃いの赤いスーツでステージ狭しと暴れまわりながら、ジャズやファンク、スカなどをぶち込んだ「ごった煮サウンド」を展開していく。スタイリッシュかつカオティックなパフォーマンスを繰り広げるエンターテイナーたち。EDMをはじめとするダンスミュージックを通過し、最新型にアップデートされた凶暴なグルーヴが、フロアを一気にヒートアップさせていく。
個人的にブチ上がったのは、バート・バカラック風の洗練されたコード進行を、疾走感溢れるビートに乗せた“Flight from SHIBUYA City”。まるで架空のサントラを聴いているような、ファンタジックでドライブ感たっぷりの演奏に、「渋谷系」の呪縛から解き放たれるようなカタルシスさえ覚えた。
ジャズのあとは、ベタなポップスの連発。そしてサイケデリックへ
カルメラの演奏が終わると、間髪入れずに出口博之(モノブライト / Ba)のDJタイムがスタート。大事MANブラザーズバンドやウルフルズ、モーニング娘。などの大ヒットソングを、「これでもか」と言わんばかりに繋げていく。「ベタ」をここまで極めると、もはや「爽快」の境地にたどり着くことを教えられる。後半は「ちゃんまい」こと中尊寺まい(ベッド・イン)も参加し、工藤静香“MUGO・ん…色っぽい”などを歌って会場を沸かせた。
続いてメインステージには、オワリカラが登場。歪んだギターリフやうねるベース、パーカッシブなオルガンが組んず解れつ絡み合い、まるでウルトラ怪獣のようにうごめきながら、徐々に熱を帯びていく。目眩がするほどサイケデリックなアンサンブルと、タカハシヒョウリ(Vo,Gt)のカリスマティックなハイトーンボイスに、思わず意識がぶっ飛びそうになった。
後半は松下省伍(モノブライト / Gt)が乱入し、タカハシとギターバトルを展開。後頭部や歯を使ったジミヘンばりの奏法に、笑いが入り混じった歓声があちこちで起きていた。
続いては、まさかの占い師の登場。そしてバブルとエロの空間に
オワリカラのライブが終わると、サブステージにて、バラエティー番組などに引っ張りだこの占い師・ゲッターズ飯田による出演メンバーの「運勢占いコーナー」がはじまった。2017年の運勢ベスト3とワースト3、そして「エロい人ベスト3」が発表されると、各々のファンから悲喜こもごもの声が上がる。
そしてメインステージは、「エロい人ベスト3」にランクインしたちゃんまい、そして益子寺かおりによる、ベッド・インの登場だ。まるでディスコの黒服のように、ダンディーなバンドメンバーを率いて、ワンレン&ボディコンの益子寺、レイヤーボブ&ボディコンのちゃんまいが現れると、会場は渋谷CLUB QUATTROからジュリアナ東京へと様変わり。ミラーボールが回る中、「サンクスモニカー!」や「柴漬け食べた~い」など、本人たち曰く「ギロッポンから持ってきたバブルギャグ」を応酬していく。
マイクを男性器に見立てたパフォーマンス含め、色物と思われがちな彼女たちだが、1980~90年代の歌謡曲を下敷きにしたオリジナル楽曲のクオリティー、Winkや荻野目洋子を思わせる振付など、徹底してコンセプチャルなステージングにはただただ唸らされる。ギブソンのギターSGを汗だくで弾きまくる、ちゃんまいの勇姿にもグッときてしまった。
これほどのカオスを丁寧にまとめあげたのは、モノブライトだった
西崎ゴウシ伝説(カルメラ / アジテーター,Tr,Gt)によるDJコーナーを挟み、いよいよメインステージには大トリのモノブライトが。ここ最近のライブと同じく、サポートにドラムスとキーボードを迎えただけの、シンプルな5人編成。緩急自在なリズム隊と、カウンターメロディーのように動きまくるギター、伸びやかだがどこか耳に引っかかる桃野の歌声が、会場いっぱいに広がる。昨年11月に新代田FEVERで観たライブ(モノブライトの10年の活動から学ぶ、嫉妬や劣等感との向き合い方)よりも、さらに研ぎ澄まされてスケールも大きくなった演奏を聴いて、三人が目指す場所はやはり、武道館のステージなのだということを感じさせられた。
中盤では“冬、今日、タワー”や“ビューティフルモーニング(Wake Up)”など、ミドルテンポの楽曲をしっとりと聴かせ、「今日はホストに徹し、控え目なセットリストにしたのか?」と思ったのも束の間、後半は“踊る脳”“空中YOU WAY”“JOY JOYエクスペリエンス”と畳み掛け、他のどのバンドよりもフロアを揺らしていた。
アンコールでは、本日の出演バンドのメンバー全員がステージに上がり、ザ・タイマーズの“デイ・ドリーム・ビリーバー”を、オーディエンスとともにシンガロング。全ての公演は終了した。
メインアクトはもちろん、オープニングの映像やDJタイム、占いコーナーなど、「開演中は1分足りとも退屈させたくない」というモノブライトの三人のサービス精神が、ぎっしりと詰まったイベント。「音楽とエロとちょっぴり特撮」……うん、確かにそうだった。ここまで趣向を凝らすに、手間暇も相当かかったに違いない。が、是非とも第二弾、第三弾とシリーズ化してほしい。
- イベント情報
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- 『Rumble In Brighton Vol.1 ~新春夜の最前線編~』
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2017年1月29日(日)
会場:東京都 渋谷CLUB QUATTRO
出演:
モノブライト
ベッド・イン
カルメラ
オワリカラ
ゲッターズ飯田
- リリース情報
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- モノブライト
『VerSus』(CD) -
2016年10月12日(水)発売
価格:1,800円(税込)
kiraku records. / ASCU-20071. 未完成ライオット(VerSus Ver.)
2. DANCING BABE(VerSus Ver.)
3. あの透明感と少年(VerSus Ver.)
4. デイドリームネイション(VerSus Ver.)
5. 踊る脳(VerSus Ver.)
6. COME TOGETHER(VerSus Ver.)
- モノブライト
- プロフィール
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- モノブライト
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2006年に桃野陽介(Vo)を中心に、松下省伍(Gt)、出口博之(Ba)の北海道の専門学校時代の同級生で結成。UKロックシーンを背景にした、感情と刹那がたたずむ音像は桃野陽介というシンガーソングライターの手によって、ひねくれポップロックへと変遷していく。その象徴ともいえる作品、『未完成ライオット』で2007年にメジャーデビュー。これまでオリジナルフルアルバムとしては2013年にリリースされた『MONOBRIGHT three』などを筆頭にして6作品を発表。さらに、精力的なライブ活動と共に2014年にはZepp Tokyoでのワンマンライブも開催。2015年6月のツアーをもって、結成当初のメンバーでもあったドラムが脱退。夏にはそれぞれのソロ活動を経て、同年10月に新体制での再始動を発表。2016年4月20日、アルバム『Bright Ground Music』をリリース。
- ベッド・イン
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益子寺かおり、中尊寺まいによる地下セクシーアイドルユニット。日本に再びバブルの嵐を起こすべく、80年代末~90年代初頭へのリスペクト精神により完全セルフプロデュースで活動中。2012年、お互い別のバンドで活動していた二人が、猫も杓子もロリロリ重視の現代のアイドルシーンに殴り込みにイクかと一念勃起。バンド歴の長い二人による、ロック姐ちゃんなライブパフォーマンスと『おやじギャル』的な発言やTwitterが話題となり、日本各地を毎度おさわがせします中! かおりの逞しいドヤ顔ヴォイスと、まいの下心をつん裂くギタープレイによる「ボディコンロック」に酔いしれろ!
- オワリカラ
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2008年結成。タカハシヒョウリ(Gt,Vo)の歌世界とメンバー4人のアンサンブルは激しく耽美、変幻自在。「終わり」と「始まり」二つの言葉が示すとおり、ポップとアヴァンギャルド、未来と過去の架け橋となる「最重要」ロックバンド。
- カルメラ
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『SUMMER SONIC』への出演や、福岡大型ビーチフェス『Sunset Live』にも毎年出演している大阪発エンタメジャズバンド。ポップス、ジャズ、サンバ、ラテン、ロックなどあらゆるジャンルを時に楽しく、時に切なく、大阪ライクにクロスオーバーする8人組。演奏力の高さに加え、全員が関西人で構成されたメンバーならではの、エンタメ感満載のライブ演出は、近年のリピーターの増加が人気を物語っている。ライブのキラーチューンである“犬、逃げた。-ver. 2.0-”が、「h.ear ×WALKMAN(R)」(ソニーマーケティング株式会社)のテレビCMソングに起用され、2016年3月には日本最高峰のジャズクラブ、BLUE NOTE TOKYOで異例の抜擢となるワンマンライブを開催。同年12月7日に、10周年記念 / 8thアルバム『THE PARTY!』を発売。
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