アニメーション映画監督・新海誠のデビュー15周年を記念する展覧会『新海誠展―「ほしのこえ」から「君の名は。」まで―』が、明日11月11日から東京・六本木の国立新美術館で開催される。
会場では新海の創作の軌跡を、絵コンテや設定・作画資料、美術、映像、世界観を体験できる造形物などを通して紹介。全国巡回中の他会場よりも広い展示空間にあわせて、初公開を含む約1000点が展示される。
国立の美術館において、現役アニメーション監督の名を冠した展覧会が行なわれるのは、今回が初めて。一般公開に先駆けて本日11月10日に記者発表会が開催され、新海監督と映画『君の名は。』で主人公の声を演じ、今回の展覧会で音声ガイドのナレーターも務める神木隆之介が登壇した。
会場は『君の名は。』にも登場する国立新美術館
会場である国立新美術館は、『君の名は。』で神木が演じた瀧と長澤まさみが演じた奥寺先輩がデートをする場所として作中に登場する。
新海監督は同美術館で展覧会を開催することについて「(『君の名は。』では)東京の象徴として、そして高校生のデートとしては少しだけ敷居が高い場所としてこの場所を描いた。高校生である瀧のキャラクターを描くためにこの場所を選んだが、まさかここで作品を展示していただける機会があるとは。すごく光栄であると同時に、日本の中でアニメーション映画の受け取られ方が少し変わってきたのかなという思い」と語った。
新海作品ファンの神木隆之介は「ずっといたい空間でした」
展覧会を見た第一印象を「入ってすぐ、わーってなっちゃいました」と興奮気味に話した神木。「監督の作品って本当に風景が写真のように美しくて。初めて作品を観た時に写真なんじゃないかと思ったけど、この展覧会を見て本当に1本1本手で書いてらっしゃるんだなというのを実感しました」
これに対して「神木君が実際に1本1本線が引かれているんだと思ってくれたのが僕も嬉しいし、スタッフも聞いたら喜ぶと思います」と笑顔を見せた新海。
「アニメーションの絵は1カットあたり4秒くらいしか映らないんですが、今回の展示ではその成り立ちのようなものも見ることができる。僕が描いているというよりスタッフが心血を注いでいるものなので、彼らの戦いの軌跡のようなものを感じでいただければ嬉しいし、そういう展示にしていただいたなと思いました」
また、いちファンとしての感想を聞かれた神木は「本当に素敵でしたね。言葉が出なかったです。作品の配置の仕方とかも、僕の中では監督自身や監督の作品のイメージが強くて、ずっといたい空間でした。監督のことも知れるし、作品のことも知れる、たまらない展示になっていると思います」と太鼓判。
新海誠は『君の名は。』ハリウッド版も「あまり興味がない」
新海誠が生んだ数々の作品が、自身の手を離れて展覧会として生まれ変わった『新海誠展』。
新海は「すごく素敵な展覧会だった」と前置きしたうえで、「自分の作ったものってよく自分の子どもに例えたりするが、その子どもがどうなっていくかはあまり興味がない。ハリウッド版の話もありますが、どうなるか楽しみであると同時に、旅立ってしまったものだから、どういう大人になるかは彼(作品)の問題だと思います」と語る。
「美術展もそういう距離を持って見ていたが、美術展としてすごくフレッシュな新しい体験をさせていただいた」
音声ガイドは「神木君以外ありえない」
同展で初めて展覧会の音声ガイドを担当した神木。
「難しかったですね。相手の様子を見ながら撮影するのとはわけが違って悩みながらやった。僕もまだ聞いてないんですけど、みなさんのお供になれたらいいなと思います」
これを受けて新海監督が「神木君以外ありえないと思う。ありがとう作っていただいて」と神木に伝える一幕も。
最後に新海監督は来場者に向けて「国立新美術館での展示というのは、存命のアニメ監督では初ということですが、またこの先も作品を作っていく。今回の展覧会を見て感じていただいたことはなんらかの形で僕らの制作チームに伝わると思うし、それを受けてまた新しい作品を作っていければと思う。会話を一緒にするようなつもりで、神木君と一緒に見るような気持ちで来ていただければとても幸せに思います」と呼びかけた。
『ほしのこえ』から『君の名は。』まで――豊富な資料で新海誠のアニメーションを紐解く
今回の展覧会では、東京展のために特別なキュレトリアルチームを編成。「キーワードで読み解く作品世界」「新海誠と時代背景」「映像制作の舞台裏」「世界に広がる新海誠作品」といった新海誠のアニメーションを紐解く内容も多く盛り込まれている。
会場は初の劇場公開作『ほしのこえ』から『雲のむこう、約束の場所』『秒速5センチメートル』『星を追う子ども』『言の葉の庭』、最新作の『君の名は。』まで、各作品ごとに6章構成で展示。
『秒速5センチメートル』の山崎まさよし、『言の葉の庭』の秦基博、『君の名は。』のRADWIMPSなど、各作品の音楽も紹介。また作品ごとに印象的なシーンを音声や音楽とあわせて展示している。
各作品ごとに絵コンテや作画資料などが豊富に展示されるほか、『言の葉の庭』のタカオがデザインした靴や、『君の名は。』に登場する組紐組台といった立体物も。
『新海誠展―「ほしのこえ」から「君の名は。」まで―』は、11月11日から12月18日まで東京・六本木の国立新美術館で開催。以降、北海道・札幌芸術の森美術館、福岡・北九州市漫画ミュージアムほか全国を巡回予定。
- イベント情報
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- 『新海誠展―「ほしのこえ」から「君の名は。」まで―』
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2017年11月11日(土)~12月18日(月)
会場:東京都 六本木 国立新美術館
時間:10:00~18:00(金、土曜は20:00まで、入場は閉館の30分前まで)
休館日:火曜
料金:一般1,600円 大学生1,200円 高校生800円
※中学生以下、障がい者手帳を持参の方と付添1名無料
・11月17日~11月19日は高校生無料観覧日
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