Meikの可能性。ダンサーのキャリアを経たからこそ歌える歌がある

EXILEのバックダンサー、J☆Dee'Zを経て、ソロアーティストとして活動中

シンガーにもいろんなスタイルがある。ギターを持って歌う人間もいれば、ハンドマイクやマイクスタンドでピンボーカルを務める人間も、ダンスをしながら歌う人間もいる。特にシンガーにおける「ダンス」の意義や価値観、重要性、比重は様々だ。

18歳の現役高校生シンガー・Meikは、ボーカル&ダンスグループのJ☆Dee'Zの元メンバー。2016年レッスン中にろっ骨を骨折したことで活動休止し、同年J☆Dee'Zを卒業、ソロ活動をスタートさせた。2018年12月21日に渋谷club asiaで開催された彼女のワンマンライブを観て思ったことは、彼女にとってダンスとは呼吸であり感情表現、すなわち魂そのものなのではないかということだ。

Meik。『Meik Christmas Live 2018「-Make a Wonderful Day-」』にて

それもそのはず、彼女のキャリアはJ☆Dee'Zよりも前にさかのぼる。5歳から地元の静岡でダンススクールに通い、主にヒップホップダンスを習得。選抜ダンサーとして東京キッズダンスコンテストへ出演することもあった。小学2年生で、EXILEの事務所としても知られるLDHが開校したダンス&ボーカルスクール・EXPG STUDIOの特待生オーディションに合格。何百人もの応募から選ばれたのは彼女を入れて2名で、特に彼女は史上最年少での大抜擢だった。

小学3年生からスクールに通い始めた彼女は、その後EXILEのバックダンサーとして全国のホールやアリーナ、ドームコンサートに帯同する。その生活のなかで「いつかメインアーティストとして、ステージに立って歌って踊りたい」と思い始め、ソロ活動をスタートさせた頃から本格的に歌と向き合うようになった。つまりMeikは、キャリアによる成熟とニューカマーとしての可能性が同居したアーティストなのだ。

ダンススキルを身に付けているからこその「歌」

やはりダンスパフォーマンスは圧巻だった。彼女がルーツと公言しているマイケル・ジャクソンのナポレオンジャケットを模した衣装で登場すると、男女ダンサー4人とともに、足先や指先はもちろんロングヘアの揺れ方まで計算された、その卓越したダンススキルで魅了する。1曲目“パーティーガールズ”ではサビで観客が踊れる振りを、2曲目“今夜はメイクミーラブユー”ではテツandトモの「なんでだろう」を取り入れるなど、ダンスをコミュニケーションツールとして扱う側面も見せていた。

ライブ前には、振り付け&声出しのレクチャー動画が公開されていた

彼女は小学生のとき、実家の静岡から東京までレッスンに通っていたほどの努力家だ。シンガーとしてのキャリアはダンスに比べると浅いとはいえ、その力量は上がり続けている。リズムを乗りこなしたグルーヴィな歌声はさすがダンサー。CDに収録されている歌声とは別人かと思うほどでもある。

それはレコーディング時からスキルを上げているという考え方もできるが、ここでひとつ唱えたいのが「彼女の歌はダンスから生まれるものなのではないか?」という仮説だ。ダンスで身体があたたまればあたたまるほど、彼女の歌声も煽りの声も生命力を放つ。“Boom Boom Baby ~愛はまだわからない~”では全身を振り絞って歌う姿が印象に残った。アーティスト活動開始の動機が「人前でパフォーマンスをすること」ということも加味すると、やはりライブの場は彼女のポテンシャルを十二分に発揮できる場所なのだろう。

Meik“Boom Boom Baby ~愛はまだわからない~”(Apple Musicはこちら

コラボあり。弾き語りあり。「ダンスボーカリスト」を超えるポテンシャル

さらにこの日はクリスマスワンマンライブということで、ギタリストの加藤大祐、ヒューマンビートボクサーのHIRONA、“LOVE~愛はディスコ~”でコラボしているAPOTHEKEのShingoといったスペシャルゲストを招いていた。

クリスマスソングの王道“ジングルベル”を加藤とHIRONAとともに披露する際はタンバリンを持ちソフトな歌声を、同じくふたりと披露した“kotori”のアコースティックアレンジではビートに乗りながら18歳の少女としての自然体の歌声を響かせた。

中学1年生で上京し、壁にぶち当たり屋上で星を眺めていたときの気持ちを綴った“Shining Star”は、Meikのピアノ弾き語りに加藤とHIRONAが音を重ねる。ダンス×歌の表現を突き詰めるだけでなく、それ以外の表現方法にもトライしていることが窺えた。

この日のライブでは1stミニアルバム『Make It Happen』と2ndミニアルバム『Make Cheer』の全曲を披露。ソウルやファンクを取り入れたディスコサウンド、1980~1990年代初頭のR&Bをポップスに昇華した楽曲、EDM、そしてブラックビスケッツのカバー曲“タイミング”など、Meikが様々な音楽性に挑戦していることを再確認させるセットリストだった。クラブミュージック系の歌唱と、ポップスの歌唱でまったく異なる表情を見せる彼女は、いったい今後どんな音楽へと傾倒していくのか。それともまだその裾野を広げるのか。ダンサー歴13年、ソロアーティスト歴2年、現役高校生の18歳、Meik。まだまだ未知数である。

イベント情報
『Meik Christmas Live 2018「-Make a Wonderful Day-」』

2018年12月21日(金)
会場:東京都 渋谷 club asia

リリース情報
プロフィール
Meik
Meik (めいく)

高校3年生、静岡出身。キッズダンサー時代からHIP HOPダンサーとしての実力はトップレベルを誇り、数多くの雑誌やメディアでも取り上げられ、デビュー前から数多くのトップアーティストのMusic Videoにも出演。2013年にソニーレコーズより4人組ダンスボーカルグループJ☆Dee'Zのメンバーとしてメジャーデビューし、2016年11月にグループを卒業。J☆Dee'Z時代を経て、Meikは自身の目指すアーティスト像を追求するために動き出し、ソロ活動を開始。2017年7月26日にMeikのブラックフィーリング満載のミニアルバム『Make It Happen』でソロデビュー。2018年7月25日には2ndミニアルバム『Make Cheer』をリリース。キュート&ワイルドな18歳とは思えぬ迫力のライブパフォーマンス力を持つ。



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