開始直後から超豪華なコラボレーションNOSAJ THING×真鍋大度×堀井哲史×比嘉了
NOSAJ THING×真鍋大度×堀井哲史×比嘉了 photo:Masanori Naruse
開演直後の混雑をかき分けるようにしてフロアに辿り着くと、もう最初のアクトが始まってる! 2013年エレグラの一発目を飾ったのは、NOSAJ THING×真鍋大度×堀井哲史×比嘉了。L.A.ビートの新鋭として注目されるNOSAJ THINGことJason Chungの繰り出すサウンドに、真鍋ひきいるクリエイター集団Rhizomatiksの面々が映像を加えるという、オープニングにはちょっともったいないくらいの超豪華なコラボレーションだ。Jasonの繰り出す太いベースラインとスピリチュアルなムードを漂わせるシンセの音色。そこに呼応するようにリアルタイムで構成されていくスクリーン上の映像に、早い時間から集まった人たちの視線はすっかり釘付けだ。これは長いセットでまた観てみたい!
ストイックで刺激的だったFACTORY FLOOR
FACTORY FLOOR photo:Tadamasa Iguchi
彼らのパフォーマンスが終わると、間髪入れずに真向いのステージでロンドンの3人組、FACTORY FLOORのライブがはじまる。そう、今回のエレグラは、出演時間のかぶりも、転換にかかる時間もゼロ。ひとつのフロア上にある2ステージで交互にパフォーマンスが行われるので、とにかく一晩中テンションが切れることなく狂乱のパーティが続くのだ。そしてそのFACTORY FLOORのステージがかなりストイックだった。起伏を抑えた無機質なインダストリアルビートの反復に生ドラムとギターを絡ませたサウンドは、こうして間近で鳴らされるとやはり耳に新鮮だし、めちゃくちゃ刺激的。3人が向き合うにして演奏するステージングもかなりクールだった。
エンターテイメント性の優れたパフォーマンスでフロアを沸かせたMACHINEDRUM
ひたすらトガりまくっていたFACTORY FLOORに続いて登場したのは、MACHINEDRUMことTravis Stewart。こちらもまた9月に新作『Vapor City』をリリースしたばかりという、まさに絶好のタイミングでの来日だ。ダブステップからジュークまで、移り変わりの早いダンスミュージックの流れをシームレスに聴かせながら、徐々にフロアの熱を上げていく。かなりエンターテイメント性の優れたパフォーマンスで、これはめちゃくちゃ楽しい。飛び交う歓声も明らかにここで大きくなったし、終盤で沸点を作って次のアクトにつなげていったあたりも、さすがの一言だ。このへんはやはりキャリアの成せる業だなー。
尋常じゃない重さの低音を会場全体に轟かせたSherwood & Pinch
いやいや、キャリアでいったらこの人には敵わないか。ということで次に登場したのが、UKダブの大御所でOn-U Soundの創設者、エイドリアン・シャーウッド。彼がダブステップ界のスターPinchとタッグを組み、Sherwood & Pinchとして再び日本にやってきたのだ。そう、このSherwood & Pinchは4月に『SonarSound Tokyo 2013』で来日公演を行ったばかりなのだけど、それがやたらと評判よかったのもあって、今回のパフォーマンスも非常に楽しみだった。で、やっぱりこれが相当に強烈だったのだ。ジョイントの煙を燻らせている男の映像がひたすらリピートで流されるなか、尋常じゃない重さの低音が会場全体を轟かせていく。これで身体を揺らしているのはホント気持ちよかったし、一気に酔いがまわった。
さて。ここまであたかもただひたすら踊っていたかのようにお伝えしてきたけど、もちろん私もそこまでタフじゃない。ちょいちょいお酒を飲んでは腹ごなしなども済ませていました。エレグラはオフィシャルバーがとても大きいので、どんな時間帯もほぼ並ばずにドリンクが買えるのがうれしい。あと、会場内には様々なブースが出展していたので、そのへんもちらちらと物色。「Red Bull Music Academy」のブースでは、ちょうど自分が通りかかったタイミングで出演を終えたばかりの真鍋大度が映像やプログラミングの制作に関するレクチャーをやっていた。参加者に交じってしばし自分も耳を傾けつつ、次のアクトに備えてフロアに戻りました。
いよいよお待ちかねのJames Blakeが登場
このあたりから会場の人口密度が一気に上がっていく。いよいよお待ちかねのJames Blakeが登場だ。彼らはこの日がワールドツアーの最終公演(その後追加公演が発表された)ということで、日本では初披露となるステージセットが組まれることも話題になっていたけど、真っ赤なロングコートを身に纏ったJamesら3人がステージに登場したときの歓声は、やはりこの日いちばんのものだった。“I Never Learnt to Share”から始まったライブはやはりJamesの震える歌声にフォーカスされたもので、ひたすら踊れる音楽が続くエレグラでは異色の緊張感に溢れたパフォーマンスだ。一方でSherwood & Pinchから引き継いだベースミュージックの流れとして聴いても、Jamesらの出す音は突き抜けてエクストリーム。足元から心臓までビリビリとくる音響は6月の単独公演よりもずっと強烈で、ちょっと他のライブでは得難い体験だった。
単純で最高な2manydjs
2manydjs photo:Masanori Naruse
James Blakeの美しい歌声にうっとりしたあとは、これまたみんな大好き、2manydjs! Daft PunkとかMGMTとか、とにかく大ネタ満載のマッシュアップが次々と繰り出されるたびに、フロアからは狂喜の声が上がっていく。かかっている曲のレコードジャケットを使った映像もおバカで笑えるし、とにかくすべてが単純。で、そこがこの人たちは最高なのだ。最後にはYMOの“ライディーン”とともに大量の紙吹雪が大噴射されて締め。やっぱり2manydjsは外さなかった。深夜2時を回ったところで、彼らはしっかりとこの日のピークを演出した感じでしたね。
再び最盛期を迎えている!!!(chk chk chk)
いよいよエレグラも終盤。フロアの端を見ていくと徐々に床で寝転がる人の姿も増えてきた。ちょっとみなさん、何しに来てるんですか! 次は!!!(チックチックチック)なんですよ! 彼らのライブがよくなかったことなんて一度もないけど、新作『THR!!!ER』をリリースした現在の!!!は、また最盛期を迎えているのかもしれない。とにかくガツガツと踊らせてくれるバンドという印象が強かった彼らだけど、この日のパフォーマンスはどことなくグルーヴに艶めかしさがあるというか、クリアで洗練されたアンサンブルに最後まで恍惚とさせられてしまった。ボーカルのニック・オファーは相変わらずの短パン姿だったけど、今の!!!はめちゃくちゃセクシーだ。
なんでもござれの多彩なビートで最後まで遠慮なしだったMODESELEKTOR(DJ SET + 909)
MODESELEKTOR(DJ SET + 909) photo:Masanori Naruse
深夜4時を回ってさすがに疲れてきたけど、まだまだ休んでいる場合じゃないのだ。こちらもいまや説明不要の人気者ですね。ベルリンのデュオ、Modeselektorが登場! 今回はTR-909(1980年代前半に発売されたローランド社のドラムマシーン)を組み込んだDJセット。テクノもエレクトロもヒップホップも、なんでもござれの多彩なビートを次々と繰り出しながら、マイクを片手に「トーキーオー!」とフロアを煽りまくる。終盤ではオーディエンスを座らせて、一斉に飛びあがらせるというアゲッぷりで、最後まで一切の遠慮なし。さすがにここで燃え尽きたという人もけっこう多かったのかな。
ひたすらレコードを回していくシンプルなステージングが際立ったTHEO PARRISH
THEO PARRISH photo:Masanori Naruse
気づけばもう5時。しかしここで踊らずには帰れないでしょう。90年代後半からデトロイトのハウスを牽引するトップDJ、THEO PARRISH! オーディオビジュアルセットを駆使したModeselektorの派手なパフォーマンスを見た直後なだけに、ひたすらレコードを回していくシンプルなステージングがさらに際立つし、そのクールな佇まいがやっぱりかっこいー! ディスコやソウル主体のダンサブルな前半から徐々にラウンジーなジャズへ。そしてエンディングに向かいながらのもうひと踊りでついに大団円。最後にセオとハイタッチできたときは幸せだったな。そして気づけば時間はすでに朝の7時半を回っていました。
ということで、ざっと一晩を振り返ってみました。やはりというかなんというか、朝方の冷え込みにやられて自分は翌日に風邪をひいてましたが、今年も余すことなく楽しめたし、この1年間のダンスミュージックの流れを総括できるという意味でも、やっぱりエレグラは特別なイベントだなと改めて感じた。ということで、来年の開催も期待しつつ、今日はここまで。最後までありがとうございました!
- イベント情報
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- 『electraglide 2013』
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2013年11月29日(金)OPEN / START 20:00
会場:千葉県 幕張メッセ
出演:
JAMES BLAKE
2manydjs LIVE
!!!
MODESELEKTOR [DJ SET + 909] with Pfadfinderei
THEO PARRISH
SHERWOOD & PINCH
FACTORY FLOOR
MACHINEDRUM
NOSAJ THING×真鍋大度×堀井哲史×比嘉了
料金:前売8,800円 当日9,800円
※18歳未満入場不可、IDチェック用の顔写真付き身分証明書必須
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