もしやギターアンプの音圧でスカートがめくれちゃう……? ロックンロールの壮大な実験
これまでに川村真司や吉田ユニ、関根光才など様々なクリエイターたちとともに斬新な表現を生み出してきたスペースシャワーTVの新しいステーションID(番組間で放送される放送局のアイデンティティーやメッセージを伝えるイメージ映像)が、何やらすごい仕上がりとなっている。特に男子諸君にとっては、文字通り「目が釘付け」となってしまうような、驚きの映像表現となっているのだ。今回タッグを組んだのは、「『進撃の巨人展』 360°体感シアター“哮”」や安室奈美恵“Anything”のGoogle Chrome版MVの制作など、数々の先進的なプロジェクトで知られるクリエイター集団、dot by dot inc.。テーマはズバリ、「ロックンロールパンティ」であるという。って、何それ!?
公式の資料によると、今回の企画は次のような口上によって始められている。「ロックンロールは、男の子のあこがれ。ロックを体現したいのは、すべての男の子の願い。伝説のギタリスト、スティービー・レイ・ヴォーンはこう言った。『アンプの音圧で、ズボンの裾がなびくのさ』……」。前置きはほどほどにして、つまりは、「ひょっとして、ギターアンプの音圧でスカートめくれちゃったりするの?」という素朴な疑問に対する、壮大な実験企画なのだ。
音響のスペシャリストと共に歩んだ、パンチラ成功までの茨の道
「壮大な」と書いたのは、何も大袈裟な話ではない。メイキング映像などで見ることのできるその準備作業は、思いのほか本気で、しかも苦難に満ちたものだったようだ。音響のスペシャリストたちの監修のもと、巨大なカスタムスピーカーを開発・制作することからスタートとした今回の企画。「音圧」とひと口に言ってみるものの、それを万全の形で生み出すには、様々な創意工夫が必要とされるのだ。
かくして生み出された巨大なカスタムスピーカーを、都内某所のスタジオに搬入して臨んだ撮影当日。密かに現場入りした筆者は、そこで驚愕の光景を目撃することになる。撮影スタッフはもちろん、スピーカーのオペレーター部隊など大勢のスタッフがひしめきあうスタジオ。
最終段階まで入念な調整作業が行われるなど、ピリピリとした緊張感が漂うスタジオに颯爽と登場したのは、「西宮の狂犬」こと、KING BROTHERSの三人だ。細かなセッティングの後、指定の位置についた彼らがおもむろに掻き鳴らす、爆音ロックンロール。ギュイーン! むう、相変わらずのカッコ良さである。
そして、最後にスタジオに現れたのは、「ぴかりん」の愛称で知られる人気モデル、椎名ひかり。
カラフルな衣装に身を包んだ彼女が、カスタムスピーカーの上に仁王立ち、再び掻き鳴らされるキンブラの爆音ロックンロール。ギュイーン! そして、スカートがフワリ……。えっ、一体、何が起こったの?
説明しよう。キンブラの三人が操る各楽器から出力された音は、ミキサーからPCに送られ、ボリュームの波長を解析。それぞれのボリュームの大きさに合わせたサイン波にリアルタイムに変換される。そのサイン波が、2400Wの高音圧ウーファーで出力されることによって、強い共振と風が巻き起こり、彼女のスカートをめくったのだ。パ、パンチラ……。
ロックンロールの爆音を身体中で体感できる装置を作りたかった
今回の企画の意図するところについて、スペースシャワーTVのクリエイティブディレクターである齋藤新は、次のように語る。「もともとステーションIDは、クリエイターが新しい表現に自由に挑戦できる場所にしたくて。視聴者にも新しい音楽体験を届けたいという思いで挑戦しています」
具体的な企画会議はどのような感じで行われたのだろう? 「音楽をテーマにした映像、スマホでも遊べる仕掛けなど、いくつか条件を提示したのですが、基本的には自由に面白いものを考えてくださいとdot by dot inc.さんにお願いしました。かなりの数のアイデアを出していただいたのですが、最後に出てきたのがこのパンティ案でした(笑)。その段階では実際スピーカーの音圧でスカートがめくれるのかどうかも未知数でしたが、『成功したら絶対面白い!』という感触を頼りに進んでいきましたね」。
齋藤曰く、「本物のロックバンドが演奏して、その音楽が大容量アンプから流れてスカートがめくれるというフィジカルな音楽の伝え方にこだわった」という今回のステーションID。監督であるdot by dot inc.の谷口恭介は、アイデアが生まれた経緯について、次のように言う。
「音楽の楽しさって、単に聴くだけではなく、体感することにあると思うんです。ライブやクラブに行って、音楽を身体中で浴びる楽しさ。それを体験できる装置ができないかと考えて思い出したのが、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に登場する巨大なスピーカーや、バカみたいにでっかいウーファーを積んだ車でした。そういう感じでロックンロールの爆音を体感できる装置があれば楽しそうだなって(笑)」
さらにもう一点、重要な要素として谷口が挙げるのが……「モテ」である。
「音楽を好きになるきっかけって、好きな子に振り向いてもらいたいとか、モテたいとか、よこしまな部分も少なからずあると思うんですよね。そういう思春期の妄想のようなものを表現できればいいなと……その象徴として思いついたのが『パンティ』だったんです(笑)」
それらを組み合わせて生まれたのが、今回の「ロックの爆音でスカートをめくる」という前代未聞のステーションIDというわけだ。ロックンロールの万能感が実現する思春期の妄想。CGなどの合成や小細工をいっさい排した、男たちの本気がそこにある。ちなみに、今回のステーションIDは、ロックンロールパンティを体感できるブラウザ版のスマホゲームとしても同時に展開されるとのことだが、このゲームがさらに奮っているのだった。ユーザーが楽器を自由に演奏することで、ポイントに応じたパンティ映像をゲットすることができる(それをシェアすることもできる!)というこのアプリ。大人たちの遊びは完全に本気で、細部に至るまで徹底している。
では最後に、両氏から今回の企画に寄せたメッセージを。「男ってバカだな~と、生温かく見ていただければ幸いです(笑)」(谷口)。「スカートがめくれる映像と気持ちの良い音楽が重なって、けっこうクセになります! ぜひスペシャを知らない人たちにも遊んでもらえたら嬉しいです」(齋藤)。
エッジの効いた音楽を送り届けるべく、常識の斜め上をひた走るスペースシャワーTV。その今後の展開に、ますます期待です。レッツロックンロールパンティ!
- 番組情報
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- スペースシャワーTV ステーションID
『ロックンロールパンティ』 -
2015年8月4日(火)公開
出演:
椎名ひかり
KING BROTHERS
ほか
- スペースシャワーTV ステーションID
- プロフィール
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- 椎名ひかり (しいな ひかり)
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中学3年だった2009年、(株)角川春樹事務所発行、「月刊Popteen」にスカウトされ、読者モデルとして初登場を飾る。異例の速さで表紙デビュー。2012年7月号では初のピン表紙を飾り、渋谷の女子高生認知度100%の人気モデルへと成長。本人プロデュースのカラコン、つけまつ毛は売切れ店舗続出のヒット商品となる。現在はファッション誌『Popteen』、『KERA』、テレビMBS『Kawaii Asia』、ラジオNACK5『i-Meet Up~ひかりぼっち放送局~』 など様々なレギュラーを持つ。また2015年には「逆転裁判2 ~さらば、逆転~」にて舞台デビュー。さらに、椎名ぴかりん名義で魔界からやってきたアイドルとしても活躍中!
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- KING BROTHERS(きんぐぶらざーず)
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1997 年結成。ケイゾウ(Gt,Vo)、マーヤ(Gt,Scream)、ゾニー(Dr)からなる、兵庫県西宮市出身のロックバンド。ベースレスというスタイルながら1999 年には米国でアルバムをリリースし、海外でのライブツアーやジョン・スペンサーの前座を務めるなど、精力的な活動を行う。「喧嘩記念日」という、KING BROTHERS がさまざまなアーティストをゲストに招き「対決」を繰り広げてきたライブイベントを行っている。メンバーのマーヤは『N' 夙川BOYS』というバンドのメンバーとしても活躍している。
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