現在、文部科学省の文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会で著作権法の改正案が議論されている。どうやら「ネット上に違法な状態でコピーされた音楽や動画の著作物をダウンロードする行為を著作権法30条の適用外とする」という方向で話し合いが進んでいるようだ。
著作権法30条とは、「私的使用のための複製」を認めている項目。昔で言えば、レコードやカセットテープを買って自分でオリジナルテープをつくる行為がこれにあたる。CDが焼けるようになり、ネットが普及し、PtoPによる著作物の違法なやりとりが続く中で、今まではアップロードした人物だけが罰則の対象であったが、今度はダウンロードする側も違法になるという考え方。
今のところ、Youtubeやニコニコ動画はこれに含まれない、という、曖昧極まりない議論がされているが、法の平等性を考えれば、特定のWEBサイトだけが法から逃れて利益を得ることが法律になるなんていうばかばかしい話しはない。さらに、こうした議論が俎上に上がること自体、この2つのサイトによる影響は少なくないはずだ。
著作物を濫用すること自体は明らかに咎められるべきことではあるが、何が問題かと言えば、ユーザーサイドにその楽曲や映像が合法的なものなのか、違法なものなのかを判別することができないからだ。
例えば、誰かが悪だくみをして、大手レーベルの名前を名乗ってニセキャンペーンWEBサイトを立ち上げたとする。そこで、「違法」なプロモーションビデオが配信されていて、偶然にもそのアーティスト名で検索してアクセスしてしまった人がいたとしたら、その時点でそのユーザーも法律を犯していることになるのである。
そう考えると、違法者を作り出そうとすれば、いくらでも作り出せてしまう社会になるのだ。
おまけに現在、この法律を文字情報や画像情報にも広げようと主張している権利団体もある。そうなると話しは滑稽としか思えないことになる。例えばニュースサイトの記事を後で読もうと思ってメモ帳に保存する行為や記事のページをプリントする行為も違法になるし、厳密に言えばWEBサイトを見ること自体、ブラウザのキャッシュに情報が「ダウンロード」されるので、世の中にあるほとんどのWEBサイトが見られなくなる(さすがにそんなことにならないような方向に進むとは思うが)。
現在文化庁では、「パブリックコメント」として一般からの意見を求めている。
また、インターネット先進ユーザーの会『MIAU』では、意見書の書き方がわからない人のために、書き方を記載しているページがあるので、参考にされたし。