『帝国』『マルチチュード』など、世界的な反響をもたらした名著の共著者である政治哲学者であるアントニオ・ネグリ氏の来日が中止になった。
同氏は、3月29日、30日に東京大学安田講堂と上野の東京藝術大学で行なわれる予定だった講演会やイベント『ネグリさんとデングリ対話』に向けて19日にパリから飛行機で出発する予定だったが、2日前の17日、ビザなしでの入国が難しいかもしれないと外務省の連絡が入った。その後、一行がビザを取得しようと試みたもののビザが降りなかったという。
日本では、入国管理法で、国内もしくは国外にて実刑を受けた外国人の入国を禁止している。ただし政治犯に対してはこの範囲ではないとしている。ネグリ氏は1979年、イタリアで反政府組織での元首相殺害事件の関与を疑われ、国家転覆罪で禁固刑を受けている。
そのため、入国のためには、ネグリ氏が政治犯であったという証拠が必要だったのだが、当然2日間の間でそれらの証拠書類が集められるはずもなく、今回の来日を断念しなければならなくなった。
当初は何の問題もないとしていた大使館、外務省も、昨今の入国管理の厳格化に伴い、このような出来事に至っており、関係者、当人も遺憾の想いを同イベントWEBサイトにて語っている。