JASRACに独占禁止法違反の疑い、23日に公正取引委員会が立ち入り検査実施

音楽著作権管理団体の最大手である社団法人・日本音楽著作権協会(JASRAC、東京都渋谷区)に独占禁止法違反(私的独占)の疑いがあるとして、23日に公正取引委員会が立ち入り検査を行った。

独占禁止法違反の疑いがあるのは、テレビやラジオなど放送局が使用する音楽の放送使用料の徴収について。

JASRACはNHKや民放各局との間で、実際に使用した管理楽曲の回数にかかわらず、各放送局の前年度分の放送事業収入に1.5%を乗じた額を徴収する「包括契約」を締結し、06年度は各放送局から合計約260億円を集めた。こうした契約によって、各放送局は事業収入から一定額を著作権使用料としてJASRACに支払っていたものの、JASRAC以外の著作権管理団体が管理する楽曲を使用した場合、別途使用料を支払う必要性があった。こうしたJASRACと各放送局間の「包括契約」が同業者の参入を阻害している可能性が強まったため、今回の立ち入り検査が行われた。

音楽の著作権管理は、1939年に「著作権に関する仲介業務法」が施行されてから、2001年に「著作権管理事業法」が施行され新規参入が認められるまでの62年間に渡り、JASRACが独占してきた分野。2001年に10法人が新規参入したものの、圧倒的多数の楽曲をJASRACが管理し、現在も市場の約99%のシェアを占めているといわれるほど支配的な地位を占めている。

JASRACは今回の立ち入り検査についてWEB上で、「4月23日(水)、公正取引委員会がJASRACに立入検査を行い、JASRACはこの検査に全面的に協力いたしました。今後の対応につきましては、検査の結果を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えています」と発表している。

今回の件が、新規参入以前より続く旧い慣習やルールを見直す機会となれば、これまで続いてきたJASRACの独占状態が変化し、より良い著作権管理や徴収・分配などの方法を模索できる状況が訪れるかもしれない。

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