5月19日(月)から5月29日(木)まで、日本ホームズ住宅展示場(東京・六本木)にて開催されている『The House展』。余計な家具や物が取り払われた生活感の薄まったモデルハウスの空間を、現代アートで埋めるという一風変わった同展。
5人のキュレーターによって4棟の会場で繰り広げられる展示の中から、CINRA MAGAZINEにもインタビューで参加いただいた橋本誠氏がキュレーションを手がけた『The House ―気配の部屋ー』のフォトレポートをお届け。
玄関の入ったすぐ左手の部屋の天井を覆う平野薫のインスタレーション。ピンク色の下着がほどかれて再構築されている。
キッチンには雨宮庸介による『ムチウチニューロンのためのスケッチ』。描かれている絵画は会場そのもの。今回の展覧会では会場にあわせて新たに制作されている作品も多く見られた。
キッチンから続く廊下には、さとうかよのシュールなぬいぐるみ作品『私が何か間違えましたか?』が並ぶ。奥にはさらに大型の作品も。
階段のすぐ横の吹き抜けスペースの壁一面には、同じくさとうによる作品が展示されている。鳥のように見えるが、正体のわからない不思議な生き物たちだ。
2階に上がろうとする前に、参加作家の一人である山崎龍一が指差す方向を見るとそこにはひっそりとこちらを見ている山崎の作品があった。よく見ると山崎の作品はいたるところにひっそりと展示されており、「人と繋がりたいがうまく関係を築けないという心の壁」を表現する山崎らしい手法をうかがうことができる。
2階で展開されていた阿部岳史の展示。子供部屋に小さなパーツたちによって作られる、不確かな存在感を感じることが出来る。
バスルームには丸山純子による作品が浮かぶ。身の回りの不要な物に新しい息吹を与える丸山によって波紋に生まれ変わったプラスチックのしぶきからはもう使われることのないバスルームの止まった時間を感じる。
『The House展』に展示されている作品は一部を除いてサイレントオークションで販売される。
希望の値段を紙に書き、所定のボックスに入れて申し込むため、競りの値はわからないようになっている。キュレーターの橋本氏は「日本人には向いているオークション形式かもしれませんね」と語る。
CINRA MAGAZINE vol.12に収録されている雨宮庸介の作品もオークションにかけられるほか、壁一面のさとうかよの作品もひとつひとつが販売される。
申し込み用紙にそれぞれの番号がふられている。
1棟だけでも十分に見て回るにはかなりの時間を要するので、時間にたっぷりと余裕をもっての来場をオススメしたい。
(投稿:CINRA柏木)