カンヌ、ヴェネチアほか海外映画祭で高い評価を受けるなど、世界が認める黒沢清監督による現代日本の家族を映し出した意欲作『トウキョウソナタ』が、2008年9月より恵比寿ガーデンシネマほかにて公開される。
リストラされたことを家族に話せない父。ドーナツをつくっても食べてもらえない母。アメリカ軍へ入隊する兄。こっそりピアノを習う弟。何もおかしいものなんてなかったはずなのに、いつの間にか深まる家族の溝。それでも、みんながみんなを思いやるとき、ばらばらの不協和音がひとつの旋律に変わる…。
父親としての威厳と自分の弱さの間で揺れ動く、哀愁漂う父親を演じるのは香川照之。家族への愛とは裏腹に、今の環境から抜け出したいという思いも抱えている主婦の日常をリアルに演じる母親役には小泉今日子。象徴的なキャラクターを強烈な存在感で演じるアウトロー役には役所広司。日本映画界を代表する演技派たちが集結し、それぞれの役柄を揺るがぬ個性で演じ尽くす。
本作で描かれる平凡な4人家族の日常は、ニッポンや世界の状況とも無縁ではない。リストラ、失業、就職難、学校問題、そして戦争…外部の大きな力に翻弄されながら生きている私たちの現実を鋭く映し出す一方で、若者のアメリカ軍入隊など、映画だからこそ描けるシニカルな寓話的要素もストーリーに織り込まれており、世界が認める黒沢清監督ならではの仕上がりとなっている。第61回カンヌ国際映画祭の『ある視点』部門で審査員賞を受賞した本作。「家族のつながり」を見つめなおすことのできる心温まる感動ストーリーがここに誕生した。
『トウキョウソナタ』
2008年9月、恵比寿ガーデンシネマ、シネカノン有楽町他にて公開
監督:黒沢清
脚本:Max Mannix、黒沢清、田中幸子
出演:
香川照之
小泉今日子
小柳友
井之脇海
津田寛治
井川遥
役所広司
ほか
2008年/日本、オランダ、香港/カラー/119分/
配給:ピックス
(画像:© 2008 Fortissimo Films/「TOKYO SONATA」製作委員会)