『絵画の森』と題して美術館を周囲の環境も含めたひとつの森に見立て、夏季と冬季にそれぞれ約120点の所蔵作品を展示している川村記念美術館が、12月12日(金)より冬季コレクションの展示を行う。
冬季の中心は、コレクションの中でもこれまで展示される機会の少なかった戦後日本美術の作品。今回は、新たな表現を牽引した瀧口修造(1903~1979)、斎藤義重(1904~2001)らの作品に加え、ニューヨークを拠点に単色の平面を構成した作品の制作を続ける桑山忠明(1932~)、鉄を素材とした彫刻作品によって空間や時間についての思索を行った若林奮(1936~2003)、ものを作り出すのではなく、ものと人と空間の関係自体に注目し、世界と直接に関わろうとした李禹煥(1936~)の作品などを展示する。
戦後、日本で活動した美術家たちは、海外の美術動向と並行しながらも独自の表現を追及することで従来の芸術観をくつがえし、あらためて芸術とは何か、さらには人間とは何かといった問題の再考をすることとなった。レンブラントや印象派からシュルレアリスムの作品、さらにはバーネット・ニューマンの『アンナの光』など欧米の傑作とともに、日本で生まれた同時代の表現を鑑賞することで、異なる文化から派生した美術の多様な森を実感することができるだろう。
リニューアル2008 コレクション展示
川村記念美術館『絵画の森』戦後日本美術の作家たち
2008年12月12日(金)~2009年2月1日(日)9:30~17:00(入館は16:30まで)
会場:川村記念美術館(千葉県佐倉市)
休館日:月曜日(ただし1月12日は開館)、12月25日~1月1日、1月13日
出品作家:
瀧口修造
菅井汲
堀内正和
飯田善國
山口勝弘
オノサト・トシノブ
斎藤義重
荒川修作
桑山忠明
高松次郎
李禹煥
若林奮
中西夏之
杉本博司
主催:川村記念美術館(DIC株式会社)
料金:一般1,000円 学生・65歳以上800円 小中学生・高校生500円
※学生と65歳以上の割引適用には学生証や保険証などの身分証明書が必要
定時ガイドツアー:
毎日14:00より美術館ガイドスタッフによるコレクション解説を行っている。参加費は入館料のみ。また、1台500円で音声ガイド機器の貸し出しも行っている。
(画像上:李禹煥 ≪線より≫ 1983年、画像下:瀧口修造 ≪デカルコマニー≫ 1964年)