「光」を観客自身の知覚や思考の体験を切り口として、新たな視点から見せる『ライト・[イン]サイト―拡張する光、変容する知覚』展が、12月6日(土)よりNTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーAほかで開催される。
本展は、自明すぎてあらためて振り返られる機会の少ない「光」という存在の過去、現在そして未来の可能性を、「知覚」という切り口を通してアートと科学を超えた視点から新たに照射するもの。拡張し続ける光技術によってもたらされる私たちの知覚そして身体認識の変容を、概念・現象・プロセス的に独自のヴィジョンとともに体験させる実験的な作品やプロジェクトを紹介する。
ルネサンス以降の光学の発達は新たな芸術表現を生み、啓蒙の時代では光が知識および世界の可視化へ向かう隠喩とされた。現在にいたるまで光技術は進展し、アートの場では光が素材やメディウムとして活用され、日常のあらゆる場に定着している。21世紀を迎えた現在、光技術は光学機器からデジタル機器へと延長され、バイオテクノロジー、通信、映像分野を筆頭に、教育、医療などさまざまな現場で応用されている。
既存の視覚システムを参照しながらもそれを批評的に突き崩していく作品、光を通した逸脱的な知覚へと開いていく作品、光をかつてない方法で可視化する作品。いずれも観客の知覚や思考とともに生じるダイナミックな体験そのものが「作品」として浮上する。本展は、観客自らが光を介して「見ること、視覚、観察(sight)」の意味を問い直し、それによって新たな「洞察(insight)」を獲得していく契機となるだろう。
『ライト・[イン]サイト―拡張する光、変容する知覚 Light InSight』
2008年12月6日(土)~2009年2月28日(土)10:00~18:00(入館は閉館30分前まで)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーAほか(東京・初台)
休館日:月曜日(月曜が祝日の場合翌日)、年末年始(12月29日~1月5日)、保守点検日(2月8日)
展示予定作品と出品作家:
エイリアン・プロダクションズ 『思考プロジェクター』2007年
ヨーゼフ・ボイス 『カプリ・バッテリー』1985年
エヴェリーナ・ドムニチ&ドミートリー・ゲルファンド 『カメラ・ルシーダ:三次元音響観察室』2008年
ニナ・フィッシャー&マロアン・エル・ザニ 『オーラ・リサーチ』シリーズ『ニーチェが洗礼を受けた教会 』1997年
藤本由紀夫 『PRINTED EYE(LIGHT)』1987~2008年
インゴ・ギュンター『サンキュウ―インストゥルメント』1995年
ベングト・ショーレン&アーダーム・ショムライ=フィシェルwithウスマン・ハック 『WiFiカメラ・オブスクーラ』2006年
ヨッヘン・ヘンドリックス 『光(アイ・ドローイング)』 1992年・『残像(アイ・ドローイング)』 1992年
ミシャ・クバル 『space-speech-speed』1998年
アンソニー・マッコール 『You and I, Horizontal』2006年
ナムジュン・パイク 『キャンドルテレビ』1980年
高谷史郎 『optical flat』2000年
料金:一般・大学生500円 高校生以下無料
シンポジウム
『ライト・[イン]サイト:拡張する光,変容する知覚』
2008年12月6日(土)
会場:ICC4階特設会場
定員:各回150名(当日先着順)
料金:無料(企画展をご覧になる場合は別途入場料が必要)
日英同時通訳付き
セッション1
『視覚システムと知覚における<光>』
2008年12月6日(土)13:00~15:00
会場:ICC4階特設会場
パネリスト:
岡田温司(西洋美術史・思想史/京都大学大学院教授)
本展アーティストのインゴ・ギュンター、エイリアン・プロダクションズ、ミシャ・クバル
司会:四方幸子(本展キュレーター)
ルネサンス以降、社会のあらゆる領域を支配してきたカメラ・オブスクーラに由来する光学・視覚のシステムの延長としてありながらもそこから逸脱しうる表現、またもはやそのようなモデルではとらえきれない新たな知覚のあり方、インタラクティヴに世界や空間、そして時間を組み替えていく表現やシステムの可能性について検討する。
定員:各回150名(当日先着順)
料金:無料(企画展をご覧になる場合は,別途入場料が必要です)
セッション2
『アートと科学:光と知覚をめぐって』
2008年12月6日(土)15:30~17:30
会場:ICC4階特設会場
パネリスト:
池上高志(複雑系科学/東京大学大学院教授)
本展アーティストのエヴェリーナ・ドムニチ&ドミートリー・ゲルファンド、ニナ・フィッシャー&マロアン・エル・ザニ、ヨッヘン・ヘンドリックス
司会:四方幸子(本展キュレーター)
たえまなく拡張し続ける光をめぐる技術や研究は、アーティストを触発し、独自のまなざしや閃き、スタンスによって科学や社会、そして知覚に潜在する創造性がアーティストを通して可視化されてきた。このセッションでは、光と知覚を結んでいく新たな可能性をめぐってアーティストと科学者が対話を試みる。
定員:各回150名(当日先着順)
料金:無料(企画展をご覧になる場合は,別途入場料が必要です)
ワークショップ
『作って撮ろう!WiFiカメラ・オブスクーラ』
2008年12月7日(日)14:00~17:00
会場:ICC4階特設会場
定員:12名
参加料:無料(展示をご覧になる場合は別途入場料が必要)
参加条件:特になし(電子工作の経験は必要なし)
日英逐次通訳付、見学可、申込はICCウェブサイトにて
講師:アーダーム・ショムライ=フィシェル、ベングト・ショーレン
本展に展示されている「WiFiカメラ・オブスクーラ」のアーティストたちと一緒に,「WiFiカメラ・オブスクーラ」を制作するワークショップ。イントロダクションの後カメラを組み立て、完成後、カメラを手にICC周辺の電磁波を撮影に出かける。
『ギャラリーツアー』
2008年12月14日(日)、2009年1月18日(日)、2月15日(日)14:00~15:00
定員:各回20名(事前予約不要・当日14:00にICCギャラリーA前集合)
担当学芸員が展覧会の内容や各作品について解説
展覧会チケットが必要
主催:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]
助成:オーストリア文化フォーラム、モンドリアン財団、グレイトブリテン・ササカワ財団
特別協力:カール ツァイス メディテック株式会社、ブリティッシュ・カウンシル
協力:FACTセンター(英国)、ジェサップ製造会社(米国)、株式会社オーエス
問い合わせ:0120-144199
(画像上:アンソニー・マッコール 《You and I, Horizontal》2006年、画像中:ミシャ・クバル《space-speech-speed》1998年|オーフス・クンストブグニング、デンマーク(2007)写真撮影:イエニス・ソーレンセン、画像下:エイリアン・プロダクションズ《思考プロジェクター》2007年|撮影:FARBRAUM.cc)