街の中に溢れ、風景の一部として当たり前のように存在する建造物。あなたは気に留めたことがあるだろうか。ディーナー&ディーナーの設計する建築もごく自然に都市に馴染み、一見匿名的だ。しかし実はそれは周辺環境の丹念な分析の集大成なのである。そのプロセスを紹介する展覧会『都市へ仕掛ける建築:ディーナー&ディーナーの試み』が、東京オペラシティアートギャラリーにて開かれる。
ディーナー&ディーナーはマルクス・ディーナー、ロジェ・ディーナーの親子による設計事務所。スイスを拠点に活動し、フランク・O・ゲイリー、鳥の巣スタジアムやプラダの青山ビルを手がけたヘルツォーク&ド・ムーロンなど「一目でわかる個性的な建築」とは対極を成す彼らの建築。静かにささやくように存在するが、そこに活動する人々が都市の記憶や建造物との関わりから新しい価値を発見できるように、内から「微妙なパルス」を発生している。
展覧会は5つのセクションからなり、彼らと同じ視点から設計の過程、思考の軌跡をたどることができる仕掛けになっている。スクラップ&ビルドの風潮が染み付き、都市にあるはずの記憶を見出しにくい日本において、建築と都市の関係を知る良い機会になるのではないだろうか。ぜひ街歩きをするような感覚で楽しんでほしい。
『都市へ仕掛ける建築:ディーナー&ディーナーの試み』
2009年1月17日(土)~3月22日(日)
会場:東京オペラシティアートギャラリー(3F ギャラリー1・2)
開館時間:11:00~19:00(1月17日を除く金・土は11:00~20:00)
※入場は閉館30分前まで
休館日:月曜日、2月8日(日)(ビル全館休館日)
入場料:一般1,000円、大学・高校生 800円、中学・小学生 600円
※閉館1時間前以降の入場、65歳以上、Arts友の会会員の場合、入場料半額
※土・日および祝日は中学・小学生無料
※障害者手帳をお持ちの方および付添1名は無料
『ウィークエンド・ギャラリートーク』
2009年1月18日(日)14:00~
会場:東京オペラシティアートギャラリー
講演者:木村浩之(ディーナー&ディーナー所員)
料金:当日の入場料に含む
予約不要(ただし、当日の参加状況により、人数制限を行う場合あり)
(画像上:ジャワ島の集合住宅、アムステルダム 2001年竣工 photo© Christian Richters、画像下:ノヴァルティス本社屋、バーゼル 2005年竣工 photo© Christian Richters)