ピカソとクレー。20世紀を代表する二人の巨匠を紹介する『20世紀のはじまり ピカソとクレーの生きた時代 ドイツ、ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館所蔵』展が、3月22日(日)までBunkamuraザ・ミュージアムで開かれている。
ラテン文化圏に属し、外交的で現世的なピカソと、ゲルマンの世界に属し、内向的で夢想的なクレー。対照的な2人の作家は、ともに20世紀前半の激動の時代を生き、豊かな美術表現によって人々を新しい世界へと導いた。同展では彼らの作品とともに同時代を生きたミロ、マティス、シャガール、マグリット、エルンストなど西欧近代美術の作品を紹介する。
今回の展覧会はドイツ、ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館の改修工事にともなって実現した。同館はヨーロッパ屈指の西欧美術コレクションを持つことで知られるが、とくにクレー・コレクションは1960年に同州知事が88点を購入したことで、同館創設の機ともなった重要な作家だ。ナチス時代に「退廃芸術」の烙印を押され国外に流出した作品を、高額の出費をして取り戻すことはドイツ人が自らの負の歴史に立ち向かい、失われてしまった文化を取り戻すという大きな意味があった。
戦争に翻弄されつつも、力強い作品を生み続けたクレー。そしてピカソと、同時代の作家たち。世界に先駆けて日本で公開となる貴重なコレクションに触れ、複雑な時代を生き抜いた作家たちに思いを馳せたい。
『20世紀のはじまり ピカソとクレーの生きた時代 ドイツ、ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館所蔵』
2009年1月2日(金)~3月22日(日)
時間:10:00~19:00(入館は18:30まで)
※毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
会場:Bunkamuraザ・ミュージアム(東京・渋谷)
料金:
当日 一般1,400円 大学・高校生1,000円 中学・小学生700円
会期中無休
(画像:パウル・クレー 《リズミカルな森のラクダ》 1920年 油彩など・ガーゼ、厚紙 ©Kunstsammlung Nordrhein-Westfalen, Düsseldorf Photo: Walter Klein, Düsseldorf)