漫画家・安部愼一の作品『美代子阿佐ヶ谷気分』が映画化され、初夏シアター・イメージフォーラムにて公開を予定していることが明らかになった。監督は坪田義史。
同作は、安部愼一の当時恋人であった美代子(現在の安部夫人)をモデルにした作品。阿佐ヶ谷での2人の同棲生活から始まり、安部が漫画家として行き詰まって故郷に戻り、精神を患った後、復活するまでの姿を赤裸々に綴っている。
安部愼一は、1970年にマンガ雑誌『ガロ』(青林堂)でデビュー。翌年に発表した『美代子阿佐ヶ谷気分』が好評を博し、以後精力的に創作を続け、鈴木翁二、古川益三と並び「ガロ三羽烏」と称される。しかし、その後に分裂症を患い、精神病院への入退院を繰り返すようになり、混迷期に入る。
1995年に『クイック・ジャパン』の消えたマンガ家特集で取り上げられ、再びファンを獲得、近年は再評価されることが多くなった。安部愼一は幾度かの断筆期間を経て、現在は『アックス』(青林工藝舎)での小説連載を中心に活動中。
主人公の安部愼一役に若手実力派の水橋研二、美代子役に劇団「毛皮族」などで活躍する町田マリーが出演。さらに、佐野史郎に加え作者と同じく『ガロ』執筆者だった林静一やつげ忠男、杉作J太郎らが出演している点も見所だろう。
ちなみに、佐野史郎は、安部愼一にも影響与えた漫画家・つげ義春の作品を映画化した『ゲンセンカン主人』で、つげをモデルにした津部役を過去に演じている。
なお、主題歌はスパルタローカルズの“水のようだ”が起用されている。
ワイズ出版 1970年代劇画映画シリーズ第三弾
『美代子阿佐ヶ谷気分』
シアター・イメージフォーラムにて2009年初夏公開
監督・脚本:坪田義史
出演:
水橋研二
町田マリー
本多章一
松浦祐也
あんじ
佐野史郎
製作:ワイズ出版
(投稿:天沢もとき)