21世紀の『大人は判ってくれない』、小林政広監督最新作『ワカラナイ WHERE ARE YOU?』

8月にスイスで行われたロカルノ国際映画祭コンペティション部門でのワールドプレミア上映も記憶に新しい映画監督・脚本家の小林政広監督最新作『ワカラナイ WHERE ARE YOU?』が、ヒューマントラストシネマ文化村通り、新宿バルト9にて今秋公開される。

母子家庭で育った16歳の少年・亮は、田舎町の粗末なアパートにひとりで暮らしていた。入院中の母を抱え、コンビニのアルバイトで生計を立てていた亮だったが、母の長引く闘病生活によって日々の食事すらままならなくなってしまう。

ある日、レジのごまかしが店長に見つかり、亮はバイト先をクビになる。頼るあてもなく入院中の母のもとを訪れるが、父への不満の愚痴をぶつけるばかりの母に対して亮は張りつめていた気持ちが一気に崩れてしまう。ついに母を失い、病院や葬儀の支払いに追われた亮の不安は頂点に達し、自らの手で母を葬ることを心に決める。そして亮は、父に会うためにひとりで東京に向かうのだった。

同映画は、小林政広監督による21世紀の『大人は判ってくれない』ともいうべき作品。主人公の少年・亮を17歳の新人、小林優斗が演じている。小林監督は映画について「ティーンエイジの映画を作るのは、初めてのことで、そのことも私の心を動揺させました。少年の目線で、今の日本が浮かび上がってくるような映画を作りたかったのです。」と常に新作の製作時は、デビュー作を作る気持ちになることとあわせて語っている。

困難な貧困の中を生きていくしかない現実と向き合う少年をリアルに、時にファンタジック描いた作品となっている。

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