人間が考えなしに思わず取ってしまう行動を、フルカラーの写真と短い文章で綴った書籍『考えなしの行動?』が、太田出版から発売中だ。
著者は、アメリカのデザインコンサルタント会社IDEOのディレクターで、世界中でデザインやビジネスについての講義を行う、ジェーン・フルトン・スーリ。翻訳をつとめた小説家・森博嗣の序文によれば、本書は新しいデザインを生み出すための「着眼と発想のエクササイズ」として書かれている。
コンセプトは、デザインの力を訓練するためには、デザイン的な手法を理解し、デザインされた製品の見方を身につけなければならない、というものだ。ページを開くと、デザイン的な発想を刺激するたくさんの写真がズラリとならぶ。それぞれに「みかんのパック」「洗濯ばさみで楽譜を」「コルクのドアストッパ」「自転車に傘」「捻り潰す」など、写真と併せて見ると、思わずクスリと笑えるタイトルが付される。とっつきにくさのない、親しみの持てるユルさが特徴的だ。
末尾では、デザイナーの深澤直人が「意識的でないとき人は美しい」と推薦文を寄せた本書。日常生活にあふれているささいな面白さに、注意深く視線を向ける「観察力」こそが大事なのだと、読むうちに気づかされる書籍となっている。