作家・磯田道史の著書『武士の家計簿―「加賀藩御算用者」の幕末維新』の実写映画化が決定。映画『失楽園』『模倣犯』、そして今年公開された『わたし出すわ』を手がけた森田芳光が監督を務めることが明らかになった。
『武士の家計簿―「加賀藩御算用者」の幕末維新』は、精巧な家計簿として他に例を見ない完全な姿で遺されていた武家文書『金沢藩士猪山家文書』から紐解かれた、下級武士の生活の様子を綴ったもの。人々がどのように時代を生き抜いたかが記されているだけでなく、現代にも通底するさまざまなテーマが提示されている。
主人公は会計処理の専門家である「御算用者」として代々加賀藩の財政に携ってきた猪山家八代目の直之。江戸時代後半にあたるこの時代の武家社会は、身分が高くなるとそれに応じて出費も増えるという構造的な問題を抱えていた。そんな中で生き抜くため、理解者である妻・お駒や家族の協力のもとで家族一丸となって明るく献身的に家を切り盛りしていく。
主人公の直之を堺雅人、お駒を仲間由紀恵が演じる。森田監督は「時代劇に今までまったくなかった視点で武士の物語を描く意義を感じています。そしてそれらの仕事や生活、生き方を通して、現代にも通じる「人間味」が映画の中から滲み出るような作品にしたいと思っております。時代の激変を腕と家族の団結で乗り越えていく姿を今では稀な三世代家族の暖かさとユーモアも交えて描きたいと思います。」と意気込みを語っている。
金沢で12月3日にクランクイン、公開は2010年を予定している。
『武士の家計簿』
2010年公開予定
監督:森田芳光
脚本:柏田道夫
原作:『武士の家計簿「加賀藩御算用者」の幕末維新』 磯田道史 (新潮新書刊)
キャスト:
堺雅人
仲間由紀恵
配給:アスミック・エース、松竹
(画像上:堺雅人、画像下:仲間由紀恵)