11月に開催されたヨコハマ国際映像祭のキュレーターとしても記憶に新しい、国内外から評価を受けるキュレーター・遠藤水城によるインタビュー集『アメリカまで』が刊行された。
本書は、美術評論家の千葉成夫や、東京都現代美術館のチーフキュレーターである長谷川祐子、アーティストの村上隆や田中功起などへのインタビューをまとめたもの。タイトルの『アメリカまで』にもある通り、これまでに様々な地域のアートを研究してきた遠藤が、これまで「放置プレイ」をして見過ごしていたアメリカについての調査として、今アート界で活躍する人々にインタビューをした内容となっている。
あとがきでも遠藤が触れている通り、本書は日本の現代美術が受けたアメリカからの影響のみを語ったものではなく、むしろ「アメリカ」というすでに何の違和感もなく日本の「内部」に存在する要素にフォーカスしたことで、インタビューをしたそれぞれの人物による表現やキュレーションに対する考え方自体を深くえぐり出す書籍となった。
リリース元であるインディペンデントレーベル「とんつーレコード」の小山は、「今すでにアート業界にいる方々にももちろん読んでもらいたいですが、インタビューをしたそれぞれの思いやスタンスが手にとるようにわかる本になっているので、これからアートのフィールドで活躍しようとしている若手キュレーターや若手の作家に是非読んでいただきたい」と語る。
本書は、横浜のBank ART NYK、高円寺の円盤、NADiff全店、原宿のVACANTなど、個性溢れるスポットで購入が可能だ。
『アメリカまで』
2009年11月10日発売
著者:遠藤水城
価格:1,575円(税込)
発行:とんつーレコード