現代美術シーンをリードする芸術家のヤン・ファーブルと日本を代表する彫刻家の舟越桂の大規模な2人展『Alternative Humanities ~ 新たなる精神のかたち:ヤン・ファーブル×舟越 桂』が、4月29日から金沢21世紀美術館で開催される。
同展は近年話題となった『変貌の天使』展を開催したルーヴル美術館からゲストキュレーターを招き、同展を参照して行われる共同企画展。ファーブルと舟越の初期から新作までの作品を、歴史的絵画とともに国内ではかつてない大規模なスケールで展示する。また、日本の美術史研究の第一人者・高階秀爾と日本近代美術史の気鋭の研究者・古田亮を企画アドバイザーとして迎える。
ベルギー出身のファーブルは、昆虫や動物の死骸、剥製、血や塩などの素材によって人間の生と死、精神性、宗教性を問い、演劇やパフォーマンスなど幅広い表現でキリスト教文化や思想という西洋の精神性の現代的解釈・批評を行ってきた。一方、舟越は一貫してクスノキによる木彫で人間の姿を表現し、超越性、精神性に満ちた木彫世界を創出し続けている。力強さと繊細さが調和する世界は、仏教彫刻の伝統をも内包する宗教性に満ちている。
同展では、2人が文化的背景として持つ宗教概念を象徴的に示すフランドル絵画の宗教的図像、狩野芳崖、河鍋暁斎の観音図などの歴史的作品を展示し、2人の作家の作品と源泉となる古典がコラボレートする。歴史的作品として、ルーヴル美術館、アントワープ王立美術館から日本初公開の16世紀頃の宗教画や肖像画、またフランス国立ギメ東洋美術館や日本国内から近代日本の観音図など多くの名作が登場。ギメ東洋美術館からは、河鍋暁斎の『釈迦如来図』が里帰り展示される。
グローバリズムが進む世界状況の中で、前世紀に社会から分断され断絶されたかに見えた宗教美術が現代美術の底流でいかなるかたちで受け継がれているかをあぶり出し、現在と過去、東洋と西洋という差異を超え、21世紀に息づく人間の精神のかたちを問う。
『Alternative Humanities ~ 新たなる精神のかたち:ヤン・ファーブル × 舟越 桂』
2010年4月29日(木)~2010年8月31日(火)
会場:金沢21世紀美術館 展示室1~12・14
時間:10:00~18:00 (金・土曜日は20:00まで)
休場日:毎週月曜日(ただし、5月3日、7月19日、8月9日、8月16日、8月30日は開場)5月6日、7月20日
料金:
当日 一般1,500円 大学生・65歳以上1,200円 小中高校生600円
前売・団体 一般1,200円 大学生1,000円 小中高校生500円
関連イベント
ラウンド・テーブル
『現代と人間像』
2010年4月29日(木・祝)
会場:金沢21世紀美術館 シアター21
時間:14:00~
出演:
ヤン・ファーブル
舟越桂
マリー=ロール・ベルナダック
高階秀爾
※本展企画アドバイザーの高階氏をモデレーターとして、ファーブル氏、舟越氏、ベルナダック氏が一堂に会し、21 世紀の人間性の多様な在り方を問いかけます。
料金:無料(ただし、当日の展覧会観覧券が必要)
定員:先着130名(当日10時より、レクチャーホール前で整理券を配付)
記念講演会
『近現代の観音イメージ』
2010年6月27日(日)14:00~
会場:金沢21世紀美術館 レクチャーホール
料金:無料(ただし、本展観覧券が必要)
定員:80名(当日午前10時よりレクチャーホール前にて整理券を配布)
講師:古田亮
ギャラリー・トーク
『狩野芳崖と悲母観音』
2010年8月3日(火)14:00~
会場:金沢21世紀美術館 レクチャーホール
料金:無料(ただし、当日の本展観覧券が必要)
定員:50名(当日午前10時よりレクチャーホール前にて整理券を配布)
講師:古田亮
(画像上から:ヤン・ファーブル 《私自身が空(から)になる(ドワーフ)》 2007年 ADギャラリー 絵画:ロヒール・ファン・デル・ウェイデンの原画に基づく 《ブルゴーニュ公、フィリップ善良公 (1396-1467)の肖像》 ルーヴル美術館絵画部門、MI818 photo: Attilio Maranzano © Angelos / Jan Fabre、ヤン・ファーブル《水に書く男》2006年 galerie guy pieters, Belgium photo: Patje Verbruggen © Angelos / Jan Fabre、舟越桂《森の奥の水のほとり》 2009年 西村画廊蔵 撮影:渡邉修 © Katsura Funakoshi、ヤン・マセイス《聖家族》1563年 アントワープ王立美術館蔵 © Lukas - Art in Flanders VZW / Royal Museum of Fine Arts Antwerp)