冤罪か無罪か、再審請求つづく袴田事件で描く人を裁く事の困難と命の尊さ

道元禅師を描いた映画『禅 ZEN』で知られる高橋伴明監督の最新作『BOX　袴田事件　命とは』が、5月29日から渋谷ユーロスペースほか全国で順次公開される。

昭和41年6月、静岡県清水市で味噌製造会社専務一家が殺害され、従業員の袴田巌が逮捕された。犯行を否認していた袴田は、勾留期限3日前に一転自白するも、裁判では犯行を全面否認。主任判事の熊本典道は、強制の疑いがある自白から警察の捜査に疑問を抱き始める。事件は冤罪なのか、それとも巌が真犯人なのか。困難を極めた裁判は、裁判官の合議の末1対2で死刑判決が決定。袴田の無罪を確信する熊本は、裁判官を辞職し、無罪を実証しようと動き始める。

苦悩する判事・熊本典道を演じるのは萩原聖人。無罪を訴える袴田巌を新井浩文が演じ、葉月里緒奈、村野武範、保阪尚希、ダンカン、須賀貴匡、中村優子、雛形あきこ、大杉 漣、國村隼、志村東吾、吉村実子、岸部一徳 、塩見三省、石橋凌といった豪華な共演陣が揃った。

死刑確定後の現在もなお、冤罪を叫び、再審請求が続けられている袴田事件。苦悩する裁判官の姿を通し、人を裁くことの困難と命の尊さを描いたこのセミドキュメンタリー映画は、一般国民が審判を下す裁判員制度が実施された現在において他人事とはいえないだろう。なお、2010年モントリオール国際映画祭コンペ部門正式出品も決定している。

（画像：©BOX製作プロジェクト2010）

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• 高橋伴明監督作品『BOX 袴田事件 命とは』公式ウェブサイト