アメリカ抽象絵画の巨匠『バーネット・ニューマン』展、『アンナの光』など約30点

アメリカ抽象絵画の巨匠 『バーネット・ニューマン』展が、千葉・佐倉の川村記念美術館で9月4日から開催される。

ニューマンは、ロスコやポロックと並び第二次世界大戦後にアメリカで勃興した抽象表現主義を代表する、20世紀のもっとも重要な画家のひとり。大学では哲学を専攻し、当時の芸術家の中でも理論家で思弁的であった彼の作品は、単純で明快、ごく限られた要素で構成され、冷厳さに満ち人間味を一切排した印象を見る者に残す。しかし、その奥には深い感情が溢れており、究極的には芸術とは何かという根源的な問いを差し出している。

本展は川村記念美術館の開館20周年を記念し、常設展示で人気の高いニューマン晩年の大作『アンナの光』を中心に、絵画・彫刻・版画など初期から晩年までの変遷をたどる約30点を紹介する国内における初のニューマン展。果てしない自問自答を繰り返しながら、絵画の意味を伝えようとした芸術家のその真摯な探求の軌跡をたどる。

母の名を冠した傑作『アンナの光』は、ニューマンがその生涯に制作した最も大きな作品。周囲の光を反射するほど鮮烈な朱赤の大画面を前にすると、誰もがその存在感に圧倒される。また、アメリカのフィラデルフィア美術館とイギリスのテート・モダンで開催されたニューマンの大規模回顧展に出品された『名 I』、『ここ II』、『アンナの光』、ニューマンが手掛けた唯一の色刷り版画18点をまとめたポートフォリオ『18の詩篇』なども展示されるほか、1960年代にアメリカでテレビ放映された生前のニューマンを取材した貴重なドキュメンタリー番組2本も上映される。

希少性の高いニューマン作品を国内でまとめて見られる20世紀美術ファン必見の展覧会だ。

『バーネット・ニューマン』展

2010年9月4日(土)~12月12日(日)
会場:川村記念美術館(千葉県佐倉市)
時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜(ただし9月20日と10月11日は開館)、9月21日、10月12日
入館料:一般1,500円 学生・65歳以上1,300円 小中学生・高校生500円

関連プログラム

講演会1
『ニューマンにおけるユダヤ性』

2010年9月4日(土)
時間:14:00~16:00
講演者:イヴ=アラン・ボワ (プリンストン高等研究院教授)
料金:入館料のみ
※講演会は当日12:00から館内受付で希望者先着60名に整理券を配布

講演会2
『バーネット・ニューマンの技法を通した敬虔なる探求』

2010年10月16日(土)
時間:14:00~16:00
講演者:キャロル・マンクーシ=ウンガロ(ホイットニー美術館修復保存研究所所長/ハーヴァード大学現代美術技術研究所所長)
料金:入館料のみ
※講演会は当日12:00から館内受付で希望者先着60名に整理券を配布

講演会3
『《18の詩篇》を中心に』

2010年10月30日(土)
時間:14:00~16:00
講演者:近藤学 (20世紀美術史)
料金:入館料のみ
※講演会は当日12:00から館内受付で希望者先着60名に整理券を配布

『学芸員によるギャラリートーク 』

2010年9月18日(土)、10月3日(日)、11月3日(水・祝)、12月3日(金)
時間:14:00~15:00
定員:先着40名

『ガイドスタッフによる全館ガイドツアー』

講演会と学芸員のギャラリートーク開催日を除く毎日
時間:14:00~15:00
定員:先着40名
※会場混雑時にはコレクションのみのガイドとなる場合があります

『音声ガイド』

貸出料:1台500円

(画像:バーネット・ニューマン 《 アンナの光 》 1968年 展示写真撮影:渡邉修 © 2010 Barnett Newman Foundation / ARS, New York / SPDA, Tokyo)

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