世界共有する問題でもあるエイズをテーマにした写真展『ラヴズ・ボディ 生と性を巡る表現』が、東京・恵比寿の東京都写真美術館で10月2日から開催される。
同館では、1998年に『ラヴズ・ボディ ヌード写真の近現代』と題した展覧会を開催。男性のエロスや性幻想の表象として描く従来のヌード写真を批判的に検証し、生と死と性をめぐる幅広い範囲の中で複雑な身体表現の可能性を探る試みが大きな反響を呼んだ。その中で多くの主題が浮上し、特にエイズに関する問題提起は重要なもののひとつだったという。
エイズをめぐる作品は、現在までに欧米を中心に非常に多く制作されており、中でも「エイズ・パニック」が巻き起こった80年代後半から90年代前半にかけては、エイズは多くのアーティストの命を奪っただけではなく、エイズをめぐってあぶり出された社会的偏見や差別に対する反応の中から様々な作品が生まれた。エイズを抱えた多くのアーティストがエイズに向き合いながら制作し、この「社会的病」を自分たちの問題として捉え、セクシュアリティや他者表現、身体表象、アートと政治の問題などにおける新たな表現の可能性を思索している。
同展は、そうした現代の身体表象から導き出された問題をより鮮明にしようとするもので、80年代から現在まで、新作も含め8人の国内外作家を紹介。美術や写真のある側面に大きな変化を与えるほどに影響力を持つこれらの作品の意味を検証し、問い直す試みだ。
『ラヴズ・ボディ 生と性を巡る表現』
2010年10月2日(土)~12月5日(日)
会場:東京都 東京都写真美術館
時間:10:00~18:00(木、金曜は20:00まで、入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(但し10月11日は開館、翌12日休館)※11月8日(月)は臨時開館
料金:一般800円 学生700円 中高生・65歳以上600円
※毎週木曜日はカップルデイ(カップルのうちお1人が『ラヴズ・ボディ』展を無料でご観覧いただけます。チケットご購入の際に「カップルです」とお申し出ください)
関連イベント
『アーティスト・トーク』(逐次通訳付き)
2010年10月2日(土)15:00~
出演:AA ブロンソン
2010年10月2日(土)16:00~
出演:スニル・グプタ
2010年10月3日(日)16:00~
出演:ウィリアム・ヤン
会場:東京都写真美術館2階展示室内
※展覧会チケットの半券(当日消印)をお持ちの上、展示室入口に集合
対談
『エイズとアート』
2010年10月16日(土)
会場:東京都写真美術館 アトリエI
時間:15:00~16:30(開場は14:30より、整理番号順入場、自由席)
出演:張由紀夫×溝口彰子(ビジュアル&カルチュラル・スタディーズ)
定員:70名
対象:展覧会チケットをお持ちの方
受付:当日10:00より当館1階受付にて整理番号付き入場券を配布します
スペシャル・イベント『Think About AIDS』(公開録音)
朗読会(HIV陽性者の手記)+ライブ・パフォーマンス
2010年11月8日(月)
時間:19:00~20:30(開場は18:30より、整理番号順入場、自由席)
会場:東京都写真美術館 1階ホール
定員:190名
対象:展覧会チケットをお持ちの方
受付:当日10:00より当館1階受付にて整理番号付き入場券を配布します
※11月8日(月)は臨時開館日
※豪華ゲストを予定
『ラヴズ・ボディ 特別講演会』
2010年11月13日(土)
会場:東京都写真美術館 1階ホール
時間:18:30~20:00(開場は18:00より、整理番号順入場、自由席)
出演:堀江敏幸(小説家、フランス文学者)
定員:190名
対象:展覧会チケットをお持ちの方
受付:当日10:00より当館1階受付にて整理番号付き入場券を配布します
『担当学芸員によるフロア・レクチャー』
2010年10月8日(金)14:00~
2010年10月22日(金)14:00~
2010年11月12日(金)14:00~
2010年11月26日(金)14:00~
※展覧会チケットの半券(当日印)をお持ちの上、会場入り口に集合
(画像上:デヴィッド・ヴォイナロヴィッチ 《無題(転げ落ちるバッファロー)》1988-89年 Courtesy of the Estate of David Wojnarowicz and P.P.O.W Gallery, New York NY、画像下:フェリックス・ゴンザレス=トレス《「無題」 (自然史)》1990年、 13点組の一部、東京都写真美術館蔵、 ©The Felix Gonzalez-Torres Foundation, Courtesy of Andrea Rosen Gallery, New York)