「食」にまつわる2つのドキュメンタリー『フード・インク』『ありあまるごちそう』が、2010年冬から来春にかけてそれぞれ全国で公開される。
『フード・インク』 は、農業自体が巨大企業となってしまったアメリカの異常な食事情を追ったドキュメンタリーだ。効率性を追求した農業スタイルが生み出したのは、数社のみが莫大な利益を得る業界のおかしな構造と、苦しい下請け農家、そしていまだ日本でも表示が義務付けられていない「遺伝子組み換え食品」の問題。第82回アカデミー賞ドキュメンタリー長編賞にもノミネートされた注目作品が、待望の日本公開を迎える。
対する『ありあまるごちそう』は、徹底した利益追求とコスト削減が生んだ流通グローバル化が、世界の需要と供給のバランスを大きく崩したことを訴える食のロードムービー。フランス、スペイン、など世界各国で撮影を行い、国連で活躍する飢餓問題の第一人者ジャン・ジグレール教授をはじめ、世界最大の食品会社、漁師、農家、家畜業者を徹底取材。大量生産により見えなくなった流通と、その先にある飢餓という現実をあぶり出す。
両作品は「食の社会科見学シリーズ」と題され、「今、食べものがどんなことになっているのか?」ということをわかりやすく描いている。予想を超える現実に、今日のごはん選びに必ずや変化が訪れるだろう。
また、『ありあまるごちそう』に共感したイラストレーターの本秀康による描き下ろしイラストも発表された。本は同作について「食べ物について漠然と覚悟していたことがこの映画を観てはっきりしました。それがいいことなのか悪いことなのかは受け手次第だと思うのですが、僕は正しい食事は更においしく感じるようになったし、食べ物に感謝をするようにもなりました。観てよかったです。」とコメントを寄せている。このイラストは、ポスターやチラシなどで展開される。
『フード・インク』
2010年冬、全国にてロードショー
監督:ロバート・ケナー
キャスト:
エリック・シュローサー
マイケル・ポーラン
配給:アンプラグド
『ありあまるごちそう』
2011年新春、全国にてロードショー
監督:エルヴィン・ヴァーゲンホーファー
キャスト:
ジャン・ジグレール
ピーター・ブラベック
カール・オトロック
配給:アンプラグド
(画像上から:本秀康による『ありあまるごちそう』イラスト、『ありあまるごちそう』©Allegrofilm 2005、『フード・インク』メインイメージ、『フード・インク』)