「本」の見えない側面に迫る『これは本ではない―ブック・アートの広がり』が、さいたま市のうらわ美術館で2011年1月23日まで開催されている。
現在、本を取り巻く環境は大きな変革の過程にあり、電子書籍Kindleやgoogleのブック検索、iPadの登場は、従来の印刷製本や流通、配本はもちろんのこと、「本という経験」自体も新たな地平へシフトさせている。本が人間の記憶や思考を外在化したものであるならば、現代のアーティストたちの関心は、本をめぐる大きな変化を通して人もまたどのように変ってゆくのかということなのかもしれない。
同展では、1,000件を超える本のコレクションを所有するうらわ美術館収蔵の作品に加えて、ブック・オブジェの数々や、中堅・若手作家のインスタレーション作品を紹介。「本をめぐるアート」を収集の柱のひとつとしている同館で、本を取り巻く環境の変化とブック・アートの広がりについて考える。
また、関連イベントとして、図鑑から切り抜いた植物や蝶のインスタレーションで知られる渡辺英司の「蝶瞰図」公開制作が行われるのでこちらもチェックしてみて欲しい。
『これは本ではない―ブック・アートの広がり』
2010年11月20日(土)~2011年1月23日(日)
会場:埼玉県 さいたま市 うらわ美術館 ギャラリーA・B・C・D
時間:10:00~17:00(土・日のみ20:00まで、入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(2011年1月10日は開館)、12月27日~2011年1月4日、1月11日
料金:一般600円 大高生400円 中小生200円
出品作家:
荒木高子
遠藤利克
柏原えつとむ
河口龍夫
カン・アイラン
長沢明
西村陽平
福本浩子
三島喜美代
村岡三郎
八木一夫
吉増剛造
若林奮
渡辺英司
『渡辺英司「蝶瞰図」公開制作』
2010年11月27日(土)、11月28日(日)、12月4日(土)、12月5日(日)
会場:ギャラリーD
時間:各回13:00~17:00
※観覧無料
※公開制作終了後は、そのまま作品を展示します
『ギャラリー・トーク』
2010年12月12日(日)、2011年1月9日(日)、1月23日(日)
時間:各回14:00~
※自由参加(当日の観覧券が必要です)
(画像上:カン・アイラン「鏡−ユートピアとヘテロトピアの間」2009年 ©Airan Kang Courtesy of Yumiko Chiba Associates、画像下:渡辺英司「蝶瞰図(部分)」2007-2008年)