現代美術家・川俣正が1970年代に撮影した初期スナップ写真のオリジナルプリントを紹介する個展『川俣正:フィールド・スケッチ』が、東京・恵比寿のNADiff GALLERYで3月21日まで開催されている。
パリを拠点に活動する川俣は、現代美術展『ドクメンタ』をはじめとする多くの国際展を通じて、「ワーク・イン・プログレス」といわれるプロジェクト型の制作スタイルで高い評価を受けた。その後は「仮設」「過程」「通路」など、アートと社会とのコミュニケーションや交通に注目したプロジェクトを展開しているアーティストだ。
今回展示される『フィールド・スケッチ』と名づけられたスナップ写真は、川俣の発想の原点や思想の本質の源流を垣間見ることが出来るコンセプチュアルな写真作品群といえるだろう。
なお会場では、約700点に及ぶプリントから厳選されたオリジナルプリントの展示とあわせて、作品集『フィールド・スケッチ』を販売。同作品集は、室内の壁や天井や何の変哲もない一角を写した「宙吊りの部屋」、街中で日常の何気ない物体を写した「ファウンド・オブジェクツ」、光や境界をモチーフに撮影された「反射と透過」の3エディションが用意されており、それぞれ当時のプリントが持つ退色や表面の擦り傷まで印刷した64枚のカードで構成されている。
展示期間中にはトークイベントなども予定。1970年代に生み出された川俣の発想や試行錯誤の痕跡から、川俣がその後に歩んだ道に想いを馳せることができるような個展となっている。
『川俣正:フィールド・スケッチ』
2011年2月4日(金)~3月21日(月・祝)
会場:東京都 恵比寿 NADiff GALLERY
時間:12:00~20:00
料金:無料
『川俣正 トーク』
2011年2月20日(日)16:00~17:30
会場:NADiff a/p/a/r/t店内
料金:無料
※先着30名以降は立ち見となりますのでご了承ください
(画像上:川俣正作品集『フィールド・スケッチ』、画像下:川俣正作品集『フィールド・スケッチ』に付属する『川俣正:フィールド・スケッチ』を俯瞰できるポスター大のダイヤグラム)