学者のようなリサーチで物事の変遷をたどることで知られるサイモン・スターリングによる展覧会『サイモン・スターリング―仮面劇のためのプロジェクト(ヒロシマ)』が、広島・広島市現代美術館で4月10日まで開催されている。
スターリングは、1990年代半ばから写真やインスタレーション作品を制作し、2005年にはイギリスで最も活躍する現代美術家に贈られる『ターナー賞』を受賞するなど、国際的に活躍するアーティスト。物事の裏側に秘められた歴史やエピソードを丹念な調査から見つけ、異文化との邂逅や衝突、近代化のもたらす伝統との摩擦など、「移動」が引き起こした様々な変化などを浮き彫りにしながら、時間の経過やプロセスを内在した作品を生み出してきた。
同展は、スターリングの活動を本格的に紹介するアジア初の個展。永遠の命の象徴でもあり、自らの尾を食べる想像上の大蛇「ウロボロス」に発想を得て、蒸気船の船体を動力として切り崩し燃やしながら航行したという『オートザイロパイロサイクロボロス』などの代表作を展示する。
また、スターリングが近年調査研究に取り組んでいるアーティストであるヘンリー・ムーア作品を軸として制作した広島に関わる新作インスタレーションも発表される。
『サイモン・スターリング―仮面劇のためのプロジェクト(ヒロシマ)』
2011年1月22日(土)~4月10日(日)
会場:広島県 広島市現代美術館
時間:10:00~17:00
※入館は閉館の30分前まで。3月26日~4月5日は19:00まで開館延長(3月28日、4月4日は除く)
休館日:月曜(ただし、3月21日(月・祝)は開館、3月22日(火)は休館)
料金:一般1,000円 大学生700円 高校生500円
(画像中:《オートザイロパイロサイクロボロス》 2006年 Courtesy of the artist and Casey Kaplan, New York Photo: Ruth Clark、画像下:《雑草の島(プロトタイプ)》 2003年 Courtesy of the artist, the Modern Institute/ Toby Webster Ltd., Glasgow and HiroshimaMOCA 撮影:元 圭一(CACTUS))