写真家ジョセフ・クーデルカの日本初となる大規模個展『ジョセフ・クーデルカ プラハ1986 ―この写真を一度として見ることのなかった両親に捧げる―』が、東京・恵比寿の東京都写真美術館で7月18日まで開催されている。
1938年、チェコスロバキア(現在のチェコ)に生まれ、現在もパリとプラハを拠点に世界的な活動を続けるジョセフ・クーデルカ。航空エンジニアとして働く傍ら写真を撮り続けた後、1967年から本格的に写真家としての道を歩み始め、その圧倒的な取材力とシンプルに被写体に迫る表現で現在も高い評価を得ている。
クーデルカは、1968年8月にソ連率いるワルシャワ条約機構軍がチェコスロバキア全土を占領した「チェコ事件」で、軍と市民の攻防をカメラに収めるが、国内での発表が困難だったために写真をアメリカに持ち出していた。その後、作者の名前を伏せたまま発表された写真はロバート・キャパ賞を受賞。クーデルカが作者だと名乗りを上げる事ができたのは、1984年の彼の父親が亡くなった後だった。
同展では、クーデルカが2008年に出版した『Invasion 68 Prague』より日本初公開となる173点を展示。突然街を埋め尽くした戦車に立ち向かうプラハ市民の勇気ある行動をクーデルカの臨場感溢れる写真から振り返ることで、それらをいかに私たちの未来への糧としていくかを検証することができるだろう。
『ジョセフ・クーデルカ プラハ1986 ―この写真を一度として見ることのなかった両親に捧げる―』
2011年5月14日(土)~7月18日(月・祝)
会場:東京都 恵比寿 東京都写真美術館 2階展示室
時間:10:00~18:00(木、金は20:00まで、入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(7月18日は開館)
料金:一般800円 学生700円 中高生・65歳以上600円
(画像上:チェコスロヴァキア・ラジオ局のあるヴィノフラツカー大通り Josef Koudelka, from the Aperture monograph Invasion 68: Prague, ©2008 Josef Koudelka/ Magnum Photos、画像下:2度にわたり、人がいなくなったヴァーツラフ広場−8月22日、23日 Josef Koudelka, from the Aperture monograph Invasion 68: Prague, ©2008 Josef Koudelka/ Magnum Photos)