心に残る「癒されない」映画を紹介、分析する書籍『ひきずる映画 ――ポスト・カタストロフ時代の想像力』が、8月22日に刊行される。
同書のキーワードである「ひきずる映画」とは、見た者の心に突き刺さることで、その痛みによって世界を新たな視線でみることをうながすような作品を指しているという。2000年以降の作品を中心にピックアップし、作中の「ひきずるポイント」と「技法のポイント」を分析。映画の恐ろしさや面白さを再認識させると同時に、現代映画の在り方を問う内容となっている。著者には編集を手掛けた村山匡一郎をはじめ、気鋭の映画批評家が名を連ねる。
作品が紹介されている監督は、表紙に登場している映画『エッセンシャル・キリング』のイエジー・スコリモフスキをはじめ、ワン・ビン、園子温、ミヒャエル・ハネケ、フランソワ・オゾン、ヴィターリー・カネフスキー、デヴィッド・クローネンバーグ、瀬々敬久、アピチャッポン・ウィーラセタクン、デヴィッド・リンチといったバラエティ豊かな面々。また、フリッツ・ラングや若松孝二らの作品も古典として取り上げている。
なお、同書はフィルムアート社が刊行する「CineSophia」シリーズの第1弾。映画の未来の多様な可能性をスリリングに提案する書籍を今後も刊行していくという。