音楽家・大友良英が仲間と共に「フクシマ」の現在と未来を見据える書籍『クロニクルFUKUSHIMA』が、9月23日に刊行された。
福島県福島市で10代を過ごし、その後ミュージシャンとして世界を舞台に活動する大友良英。同書籍は、大友が東日本大震災、福島原発事故および今年8月15日に福島市で開催された大友ら主催のイベント『フェスティバルFUKUSHIMA!』をテーマに行った対談などを収録。また、大友による震災直後からフェス開催までの日記、東京藝術大学における講義の一部なども収められている。
対談に登場するのは、福島県二本松市出身のミュージシャン遠藤ミチロウをはじめ、事故以前から反原発運動を続ける坂本龍一、「DOMMUNE」主宰の宇川直宏、福島県郡山市在住で「DOMMUNE FUKUSHIMA!」の福島支局長を務める森彰一郎。さらに放射線衛生学者・木村真三、福島市でカフェギャラリー「風と木」を営む丹治博志・智恵子・宏大の一家、震災後Twitter上で連作詩『詩の礫』を発表し話題を集めた福島市生まれの詩人・和合亮一といった大友の呼びかけに答えた人物たち。
反原発と原発推進という観点にとどまらず、人や文化の繋がりによって震災と向き合おうとする試みである同書は、福島から目を背けるのではなく、福島と共に生きていく未来を模索する契機となるだろう。