ピーテル・ブリューゲルの絵画作品の世界に入り込む映画『ブリューゲルの動く絵』が、12月17日から東京の渋谷ユーロスペースほか全国で順次公開される。
ブリューゲルは『子供の遊戯』『雪の中の狩人』『バベルの塔』などの作品で知られる、16世紀のフランドル絵画を代表する画家の1人。同作では、ブリューゲルが描いた絵画作品の中から『十字架を担うキリスト』に注目。『十字架を担うキリスト』は、十字架を背負いゴルゴダへ向かうキリストの受難が1564年のフランドルを舞台に描かれている作品だ。映画では特殊な映像技術を駆使し、絵画中に描かれた人々の生活、さらにそれを描くブリューゲルの姿を同時に映像化するという試みに挑んでいる。
物語は、ルトガー・ハウアーが演じる画家ブリューゲル、ブリューゲルの友人で最大のコレクターでもあるニクラース・ヨンゲリンク、そして磔にされるキリストの運命を嘆く聖母マリアの3人を語り部として展開。絵画に秘められた意味を解き明かしていく。
同作で用いられた映像技術は、ポーランド、チェコ、オーストリア、ニュージーランドで撮影したシーンや風景、映画『バスキア』で知られるレフ・マイェフスキ監督自身がキャンバスに描いた巨大な背景画、俳優たちをデジタル撮影した映像の3つを最新のCG技術によって合成するというもの。フランドルの人々の暮らしの音、風車の回る音や様々な自然音なども加わり、絵画の中に迷い込むような効果が実現されている。
また、共同脚本にはブリューゲル批評で著名な美術批評家マイケル・フランシス・ギブソンも名を連ねている。
『ブリューゲルの動く絵』
2011年12月17日より渋谷ユーロスペースほか全国で順次公開
監督:レヒ・マイェフスキ
脚本:マイケル・フランシス・ギブソン、レヒ・マイェフスキ
出演:
ルトガー・ハウアー
シャーロット・ランプリング
マイケル・ヨーク
配給:ユーロスペース、ブロードメディア・スタジオ
(画像:©2010, Angelus Silesius, TVP S.A)