アメリカ人俳優のホアキン・フェニックスが、2年間にわたり仕事を全て放棄してまで作りたかったというお騒がせドキュメンタリー映画『容疑者、ホアキン・フェニックス』が、4月28日から東京・渋谷のシネマライズほか全国で順次公開される。
これまでに映画『グラディエーター』『ウォーク・ザ・ライン』で『アカデミー賞』候補に選ばれるなど、世界的なスターとして活躍していたホアキン。2008年に突然の俳優引退とラッパーへの転向を発表し、ファンからは悲しみの声があがっていた。また、主演作PRのために一度だけ出演した当時の生放送番組では、髭を生やした激太りの姿と挙動不審な様子を晒したことで、薬物依存への疑惑も囁かれていたという。
『容疑者、ホアキン・フェニックス』は、ホアキンの引退宣言から約2年後に公開を迎えた作品。しかし内容は「彼が人生に苦悩するドキュメンタリー映画」という人々の予想を大きく裏切り、実は引退も苦悩も全て嘘で、彼の悪趣味なジョークだったことが発覚したことから、全米に波紋を呼んだ。なお、ホアキンは同作の製作のために、全ての仕事をキャンセルしただけでなく巨額の自費を注ぎこんだという。
同作の監督として壮大ないたずらの片棒を担いだのは、ベン・アフレックの実弟であり、『ジェシー・ジェームズの暗殺』で『アカデミー賞』のノミネート経験をもつ俳優のケイシー・アフレック。作品内ではブルース・ウィリスやジャック・ニコルソン、ベン・スティラーといったセレブ達が次々と騙されていく様子や、「ラッパーになりたい」という彼の熱意に応えてプロデュースを引き受けたプロデューサーのショーン・コムズことディディの哀れな姿が克明に記録されている。
同作について映画評論家の町山智浩は「ホアキンが2年間も全米をだまし、怒らせた! これはバンクシーの『イグジット・スルー・ジ・ギフト・ショップ』的なアートなのか? それともオーソン・ウェルズの『FAKE!』的な実験なのか?」とコメント。また、宇多丸(RHYMESTER)も「これ、サシャ・バロン・コーエンより悪質かも…… 後から真相を知っても、余計にウソとホントを隔てるものがよく分からなくなってくる」と彼のイタズラ心を称賛している。
『容疑者、ホアキン・フェニックス』
2012年4月28日(土)からシネマライズほか全国順次ロードショー
監督:ケイシー・アフレック
製作:ケイシー・アフレック、ホアキン・フェニックス
出演:
ホアキン・フェニックス
アントニー・ラングドン
ケイリー・ペルロフ
ラリー・マクヘイル
ケイシー・アフレック
ジャック・ニコルソン
ブルース・ウィリス
ダニー・デヴィート
ベン・スティラー
ショーン・コムズ(ディディ)
ジェイミー・フォックス
ビリー・クリスタル
ダニー・グローヴァー
配給:トランスフォーマー
(画像:©2010 Flemmy Productions, LLC)