青山真治監督が、田中慎弥の『第146回芥川賞』受賞作『共喰い』を映画化。2013年夏に東京・新宿ピカデリーほか全国で公開されることがわかった。
『共喰い』は、川辺の町に暮らす高校生・遠馬を主人公に、父や愛人との葛藤や暴力、男女の性などを描いた作品。映画版の撮影は、青山監督の代表作『EUREKA』『サッド ヴァケイション』と同様に監督の故郷・北九州で行われ、田中慎弥と青山監督の共通点でもある土着的世界観のなかでの人間の葛藤をリアルに捉えた作品になるという。
主人公の遠馬役は『仮面ライダーW』でデビューした若手俳優の菅田将暉、遠馬の恋人・千種役には木下美咲が抜擢されている。遠馬の父の愛人・琴子役を篠原友希子、遠馬の父役を光石研、魚屋を営む遠馬の母親・仁子役を田中裕子が演じる。
同作について田中慎弥は、「自分の作品が映画化されるのは初めてです。決して万人受けするストーリーではないと思いますが、そのように限定された世界が映画によってどのように広がってゆくのか、原作者として、読者として、観客として、楽しみにしています。小説の『共喰い』こそが一番だと私は思っています。映画に携わる人たちは、『共喰い』は映画のための物語じゃないか、と考えていることでしょう。勝負です」とコメントしている。
一方の青山監督は「脚本家の荒井さんにどうだろう、とメールを戴き、一読の感想はズバリ、これを他人に撮られたくない、でした。文章から立ち上る土地の匂い、人間関係、何もかも勝手知ったる世界のような。原作が田中氏にしか書けない小説だったように、本作も自分にしか作れない映画になってほしい。こんなことを願うのは久しぶりです」と同作にかける思いを明らかにしている。
『共喰い』
2013年夏から新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督:青山真治
原作:田中慎弥『共喰い』(集英社)
脚本:荒井晴彦
出演:
菅田将暉
木下美咲
篠原友希子
光石研
田中裕子
配給:ビターズ・エンド
(画像上:菅田将暉、画像中:青山真治、画像下:田中慎弥 ©撮影/中野義樹)