文化庁メディア芸術祭実行委員会による『第17回 文化庁メディア芸術祭』の受賞作品が発表された。
今年度は、アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門に、80以上の国と地域からの2,347点も含む、過去最多となる4,347点の作品が集まった。
アート部門では、カールステン・ニコライによるメディアインスタレーション『crt mgn』が大賞を受賞。ナム・ジュン・パイクが亡くなった翌年に追悼の意を込めて開催された展覧会での展示に着想を得た同作は、メディアの歴史と視覚や聴覚を結ぶと共に先人への深い愛を感じさせる点も評価された。
エンターテインメント部門では、菅野薫、保持壮太郎、大来優、キリーロバ・ナージャ、米澤香子、関根光才、澤井妙治、真鍋大度が制作した『Sound of Honda / Ayrton Senna 1989』が大賞に輝いた。本田技研工業のカーナビゲーションシステム「インターナビ」の技術と歴史を紐解くため、故アイルトン・セナが樹立した世界最速ラップの走行データを用いて走行を音と光で蘇らせ、特設サイトやスマートフォン用アプリなどで展開した作品だ。
アニメーション部門では、バンド・デシネ作家のユンとドキュメンタリー作家のローラン・ボアローによる『はちみつ色のユン』が大賞に選出。朝鮮戦争後に韓国からベルギーの一家に養子として迎えられたユンが、自らの自伝的漫画作品をもとにドキュメンタリー映画監督ローラン・ボアローと共に監督を務めた作品だ。
マンガ部門は荒木飛呂彦の『ジョジョリオン ―ジョジョの奇妙な冒険Part8』が大賞を獲得。個性的なビジュアルやトリッキーな演出、少年漫画というジャンルにおけるコマ割りの可能性を追求すると共に、東日本大震災という現実の出来事を作者が築き上げてきた作品世界に取り込んだ点も評価された。
また、功労賞にはナム・ジュン・パイク作品で技術的な支援を行ったことでも知られるエンジニアでアーティストの阿部修也、『鉄腕アトム』『サザエさん』をはじめとする様々なアニメーション作品の音響効果に携わった柏原満、同人誌即売会『コミティア』の設立に参画したコミティア実行委員会代表の中村公彦、日本の前衛的記録映画や実験映画、マルチ映像、ビデオアートの草分け的存在として知られる松本俊夫が選出された。
『第17回 文化庁メディア芸術祭 受賞作品展』は、2月5日から東京・六本木の国立新美術館で開催。今回発表された受賞作に加え、審査委員会推薦作品などもあわせた作品が展示される。また、サテライト会場となるインターナショナル・デザイン・リエゾンセンター、シネマート六本木、SuperDeluxeでは、アニメーション作品や映像作品の特別プログラムの上映、マンガ部門の全受賞作品が閲覧できるマンガライブラリー、パフォーマンス作品の公演やプレゼンテーション、トークイベントなども行われる。受賞者への贈呈式は2月4日に国立新美術館で開催される。
イベント情報
『第17回 文化庁メディア芸術祭 受賞作品展』
2014年2月5日(水)~2月16日(日)
会場:東京都 六本木 国立新美術館
休館日:2月12日(水)
料金:無料
受賞作品
『第17回 文化庁メディア芸術祭 受賞作品』
アート部門
大賞
『crt mgn』カールステン・ニコライ
優秀賞
『 を超える為の余白』三原聡一郎
『Dronestagram』James BRIDLE
『Situation Rooms』Rimini Protokoll
『The Big Atlas of LA Pools』Benedikt GROSS
新人賞
『Learn to be a Machine ― DistantObject #1』LAU Hochi
『Maquila Region 4』Amor MUNOZ
『The SKOR Codex』Aymeric MANSOUX, representative of ‶The SKOR Codex"
エンターテインメント部門
大賞
『Sound of Honda / Ayrton Senna 1989』菅野薫、保持壮太郎、大来優、キリーロバ・ナージャ、米澤香子、関根光才、澤井妙治、真鍋大度
優秀賞
『スポーツタイムマシン』犬飼博士、安藤僚子
『プラモデルによる空想具現化』池内啓人
『燃える仏像人間』UJI Tea
『トラヴィス「ムーヴィング」』Tom WRIGGLESWORTH、Matt ROBINSON
新人賞
『ゼゼヒヒ』津田大介
『やけのはら「RELAXIN'」』最後の手段(有坂亜由夢、おいたまい、コハタレン)
『TorqueL prototype 2013.03 @ E3』なんも(柳原隆幸)
アニメーション部門
大賞
『はちみつ色のユン』ユン、ローラン・ボアロー
優秀賞
『有頂天家族』吉原正行
『ゴールデンタイム』稲葉卓也
『サカサマのパテマ』吉浦康裕
『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:Q』庵野秀明
新人賞
『ようこそぼくです選』姫田真武
『Airy Me』久野遥子
『WHITE THE CROW WEEPS ―カラスの涙―』鋤柄真希子、松村康平
マンガ部門
大賞
『ジョジョリオン ―ジョジョの奇妙な冒険 Part8―』荒木飛呂彦
優秀賞
『昭和元禄落語心中』雲田はるこ
『それでも町は廻っている』石黒正数
『ちいさこべえ』望月ミネタロウ、原作:山本周五郎
『ひきだしにテラリウム』九井諒子
新人賞
『アリスと蔵六』今井哲也
『塩素の味』バスティアン・ヴィヴェス、訳:原正人
『夏休みの町』町田洋
最後の手段、DJ Obake
『DJ Obake「Q」iPhoneケース by 最後の手段』 [iPhone5/5Sケース]
価格:3,675円(税込)
ソロデビューアルバム発売記念iPhoneケース
(画像上から:『第17回文化庁メディア芸術祭』ロゴ、アート部門大賞『crt mgn』Carsten NICOLAI ©2013 Carsten Nicolai. All rights reserved. Photo : Uwe Walter Courtesy Galerie EIGEN + ART Leipzig/Berlin and The Pace Gallery、エンターテインメント部門大賞『Sound of Honda / Ayrton Senna 1989』菅野薫/保持壮太郎/大来優/キリーロバ ナージャ/米澤香子/関根光才/澤井妙治/真鍋大度 ©Honda Motor Co., Ltd. and its subsidiaries and affiliates.、アニメーション部門大賞『はちみつ色のユン』ユン/ローラン・ボアロー ©Mosaïque Films - Artémis Productions - Panda Média - Nadasdy Film - France 3 Cinéma – 2012、マンガ部門大賞『ジョジョリオン ―ジョジョの奇妙な冒険 Part8―』荒木飛呂彦 ©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/SHUEISHA)
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