実在の日系野球チームを描く新作映画『バンクーバーの朝日』の製作が発表された。
同作は、戦前のカナダ・バンクーバーに実在した日系移民の野球チーム「バンクーバー朝日軍」を題材にした作品。差別や貧困と戦いながらフェアプレーの精神で賞賛と人気を獲得し、2003年にはカナダ野球殿堂入りも果たしたバンクーバー朝日軍の姿を通じて、戦前のカナダに移り住んだ人々の生活が描かれる。
キャストには、製材所で肉体労働に就く日系二世で、朝日軍ではショートを守るレジー笠原役の妻夫木聡をはじめ、漁業に従事するエースピッチャー・ロイ永西役の亀梨和也、レジーの同僚でセカンドを守るケイ北本役の勝地涼、実家の豆腐屋で働くキャッチャーのトム三宅役の上地雄輔、ホテルのベルボーイとして働くサードのフランク野島役の池松壮亮、移民一世でありレジーの父親・笠原清二役の佐藤浩市が名を連ねている。撮影前にはチーム合宿を実施し、「バンクーバー朝日軍」のチーム作りが行われたという。
監督は『舟を編む』などで知られ、妻夫木主演の新作映画『ぼくたちの家族』の公開も控えている石井裕也。脚本は『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』などを手掛けた奥寺佐渡子が担当している。
撮影は栃木・足利で行われており、オープンセットを組んで当時の野球場や日本人街、白人街を再現しているという。クランクアップは4月20日、公開は12月を予定している。
妻夫木聡のコメント
このバンクーバー朝日軍の一員として演じられることを光栄に思います。日系人として生まれて、差別や排斥運動など厳しい境遇の中で生きた彼らの誇りを胸に、演じるということをいい意味で忘れて、この世界で僕自身も這いつくばって生きていけたらと考えています。
亀梨和也のコメント
実際にあった歴史の実写化。この作品に参加できることを誇りに思います。と同時にいい緊張感の中で、撮影を間近に控えています。野球のお話ということで僕自身、野球の経験はありますが、その時代の方達の野球のスタイルというものを一から学び、考え、日本人としてこの歴史をしっかりと胸に刻み、撮影に挑みたいと思います。妻夫木さんをはじめ、共演者の方達と最高の、そして最強の「チーム朝日」を作っていきたいと思います。
石井裕也監督のコメント
夢も希望も持てない、一条の光すら見えない逆境の中で、それでも何とか立ち上がろうとした若者たちの姿を描きたいと思っています。当時の人々や朝日の選手たちに敬意を払いつつも、現在、そして未来の観客に向けて映画を作りたいと思います。「ぼくたちの家族」に引き続き主演は妻夫木聡さんです。素晴らしい俳優で、ものすごく信頼しています。本当に心強いです。素晴らしいキャスト、スタッフが集まりました。あとは頑張るだけです。
※記事公開時、本文の一部内容に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
作品情報
『バンクーバーの朝日』
2014年12月公開予定
監督:石井裕也
脚本:奥寺佐渡子
出演:
妻夫木聡
亀梨和也
勝地涼
上地雄輔
池松壮亮
佐藤浩市
ほか
配給:東宝
(画像上から:妻夫木聡、佐藤浩市、実在のバンクーバー朝日軍、ロケセットのイメージ画像)