「ヤンキー文化」を捉え直す書籍『ヤンキー人類学 突破者たちの「アート」と表現』が10月7日に刊行された。
同書のタイトルに冠されている「ヤンキー」とは、1970年から80年代に見られたリーゼントや変形学生服、特攻服、改造車などに代表される文化を好んだ若者のこと。1970年から80年代に脚光を浴びたヤンキーおよびヤンキー的美意識は、現在も形を変えて日本文化に大きな影響を与えていることがナンシー関、斎藤環らによって指摘されている。
同書には、「ブチアゲ改造単車」の自作もする旧車會グループのちっご共道組合、岡山・新見に拠点をおくデコトラチームの常勝丸船団、北九州の成人祭を盛り上げる貸衣装店・みやび小倉本店、デコトラの超精密ミニチュアを30年間作り続けている伊藤輝政、自宅で理容室を営みながらその屋上に天守閣を築城する「小阪城」城主・磯野健一、12歳から「デコチャリ」を独学で作り続けている丸尾龍一らのインタビューが掲載されている。
また、デコトラのミニチュア、70~80年代の暴走族関係のグッズ、盛り髪、パチンコ、過剰に装飾された改造単車に加え、雑誌『メンズナックル』や相田みつをの書など、ヤンキー的美意識を感じさせるアイテムを紹介する。
執筆者には斎藤環、都築響一、椹木野衣、増田聡、飯田豊、石岡良治、卯城竜太(Chim↑Pom)、櫛野展正(鞆の津ミュージアム)、津口在五(鞆の津ミュージアム)らが名を連ねている。なお、同書は今年4月から7月まで広島・福山の鞆の津ミュージアムで開催されていた展覧会『ヤンキー人類学』展の公式書籍となる。