テレビドラマ『十月十日の進化論』が、3月からWOWOWで放送される。
同作は、優れた脚本の発掘と脚本家の育成、受賞作品の映像化を目的とした『WOWOWシナリオ大賞』の第7回受賞作である栄弥生の同名脚本をドラマ化するもの。研究分野の狭さと偏屈な性格が原因で勤務先の大学を解雇された独身の昆虫分類学博士・小林鈴を主人公に、偶然再会した昔の恋人・安藤武と一夜を共にしたことから妊娠した鈴が、子どもを一人で産み育てることを決意し、周囲の人間と心を通わせていく様を描く。
秘められた過去の出来事から、子どもを1人で育てることに意固地になる鈴を演じるのは尾野真千子。酔いつぶれた鈴を家まで送って行ったことから一夜を共にしてしまう鈴の元恋人・武を田中圭、ある事情から鈴と同じ戸籍に入っていない実の父・中村保をでんでん、鈴の妊娠を知り、鈴を叱責する母・小林文子をりりィが演じる。さらに、佐々木すみ江、斉木しげる、佐藤仁美、嶋田久作、志賀廣太郎がキャストに名を連ねている。
メガホンをとるのは、映画『無防備』『箱入り息子の恋』の市井昌秀。さらに、劇中で鈴が生き物の進化の過程を想像するシーンを映像作家・加藤隆がアニメーションで表現するほか、昆虫監修を「プロ・ナチュラリスト」の佐々木洋が担当する。音楽を手掛けるのは曽我部恵一。
尾野は、同作の脚本を読んだ感想として「発想がおもしろいなと思いました。私も子供の頃、虫が大好きでした。台本を読んで、なんだかスズと似ているなと思い、物語をおもしろおかしくいろんな想像をしながら読めたんです。この台本なら、演じることでもっとおもしろいものになりそうだなと感じました」とコメント。
市井監督は、「気性の荒い女性と虫が苦手な僕ですが、主人公の鈴は、バカが付くほどの昆虫好きで勝ち気で自分勝手で面倒臭い女性です。特異なキャラクターの鈴は、当然のように周囲の人々と軋轢を起こし、周囲の人々は散々振り回されます。僕にとっては、まさにドンピシャで苦手な女性ですが、シナリオを読み進めていくうちに鈴の魅力に取り憑かれました。いつのまにか応援している自分がいて、いつのまにか愛おしさすら感じていたのです」と語っている。
尾野真千子のコメント
人は結局一人では生きられない。一人では何もできないんですよね。この物語は、スズの成長ではなく、孤独だったスズがいろんな事に支えられている、生かされているという事に気づかされる物語です。人間と虫のおかしな組み合わせのドラマ、どうぞお楽しみに。
市井昌秀監督のコメント
主人公の昆虫分類学博士の鈴は、自らの『妊娠』をどこか俯瞰的に時空を越えた宇宙規模の体験であると特殊な捉え方をします。40億年前の生命の誕生の過程は、未だに正確には解明されてませんし、まだまだ世の中はわからないことだらけです。しかし、唯一確かなことは、生命は一人(一個体)で成り立っているわけではありません。そんなことを小難しい理論で展開するわけでなく、ユーモアたっぷりに描いてます!
曽我部恵一のコメント
だれもが経験する大人への階段における物語りだと思います。特別な青春物語りになるよう、音を作りたいと思います。
作品情報
『十月十日の進化論』
2015年3月にWOWOWで放送
監督:市井昌秀
脚本:栄弥生
音楽:曽我部恵一
出演:
尾野真千子
田中圭
でんでん
りりィ
佐々木すみ江
斉木しげる
佐藤仁美
嶋田久作
志賀廣太郎