『第19回手塚治虫文化賞』の受賞者および受賞作品が発表された。
漫画家・手塚治虫の業績を記念すると共に、その志を継いで漫画文化の発展に寄与することを目的に掲げる同賞は、朝日新聞社によって1997年に創設。『第19回手塚治虫文化賞』は、2014年に発売された漫画単行本が審査対象となり、審査員にはあさのあつこ、里中満智子、中条省平、中野晴行、ブルボン小林、南信長、みなもと太郎、ヤマダトモコおよび朝日新聞社・取締役編集担当、朝日新聞東京本社・報道局文化くらし報道部長が名を連ねている。
年間を通じて最も優れた作品に贈られる「マンガ大賞」に輝いたのは、ほしよりこの『逢沢りく』。同作は、『きょうの猫村さん』でも知られるほしよりこの長編作品で、「オーラがある」と友だちから憧れられている14歳の女子中学生・逢沢りくが、関西弁の世界に翻弄される様子を、柔らかなタッチとユーモアを交えて描いた作品だ。
また、斬新な表現や画期的なテーマを扱うなどした清新な才能の作者に贈られる「新生賞」は『聲の形』の大今良時、短編、4コマ、1コマ漫画などを対象にした「短編賞」は吉田戦車が受賞。さらに、漫画文化の発展に寄与した個人、団体に贈られる「特別賞」には、『小さな恋のものがたり』を半世紀以上にわたって執筆し、完結させた業績を称え、作者のみつはしちかこが選出された。贈呈式は5月22日に東京・築地の朝日新聞東京本社で行われる。
ほしよりこのコメント
数ある素晴らしい候補作品の中で、賞をいただけたことを、ありがたく、とても畏れ多く思います。
『逢沢りく』は、私の最善を尽くした作品です。自分は他の人とちょっとちがうやり方で描き続けてきました。その方法について、迷ったことは一度もありませんでしたが、それが世の中に受け入れられるかどうかということについては常に不安がありました。
今は自信を持って、この物語に向って全力を出し切ったといえるし、終了したこの作品を清々しい気持ちで眺めることができます。
本という形にするために、ご尽力くださった文藝春秋のみなさまと、期待より何倍も素晴らしい装丁デザインをしてくださったアリヤマデザインストアの有山さんと岩渕さんにお礼申し上げます。 今まで支えて下さった、家族や友人、今もお世話になっている編集者さん、読者の皆さまに感謝の気持ちでいっぱいです。
詳細情報
『第19回手塚治虫文化賞』
マンガ大賞
ほしよりこ『逢沢りく』(文藝春秋)
新生賞
大今良時
短編賞
吉田戦車
特別賞
みつはしちかこ