ドキュメンタリー映画『戦場ぬ止み』が、5月23日から東京・ポレポレ東中野で先行上映される。
同作は、沖縄・辺野古で進められている米軍新基地建設を巡る作品。日本政府と新基地建設に反対する人々との激しい対立や沖縄で現在起こっている出来事を描くだけでなく、基地と折り合って生きていくことを余儀なくされた地域の人々の思いや、沖縄で育まれた豊かな文化や暮らし、争いの中でも絶えることのない歌とユーモアなども映し出されている。
監督を務めたのは、映画『標的の村』やドキュメンタリー『海にすわる~辺野古600日間の闘い~』などを手掛けた三上智恵。ナレーションを沖縄出身のCoccoが担当している。また音楽は小室等が手掛け、演奏には坂田明、佐久間順平、竹田裕美子、渡嘉敷祐一、向島ゆり子が名を連ねている。
なお同作は7月18日からポレポレ東中野ほか全国で順次公開される予定。今回の先行上映は、「1日でも早く多くの人に見てもらいたい」という監督をはじめとする製作者たちの思いから実現したという。
Coccoのコメント
ギロチンか電気イスか
苦渋の選択を迫られたとして
それはいずれも“死”だ。
辺野古か普天間かを問われるから
沖縄は揺れ続ける。
口をつぐんでしまった友、
デモに参加する友、
自衛隊に勤める友、
みんな心から沖縄を愛する
私の大切な友です。
ギロチンか電気イスかではなく
根底からの「NO」を誰もが胸に抱いてる。
人として当たり前に与えられていいはずの
正しいやさしい選択肢が欲しいと
私は、そう想うのです。三上智恵監督のコメント
「基地は訓練をする場所で、日本はずっと戦争をしていない」。そう思わされ、都合良く目を背けてきた日本人に、70年間封じ込められてきた沖縄の呻きをぶつけなければならない。そこから語り直さなければ届かないのだと、19年沖縄の放送局にいて痛感しました。この映画は、沖縄の負担を減らして欲しいなどという生やさしいものを描いてはいません。知事を先頭に、国と全面対決してでも沖縄が止めたいものは、日本という国で息を吹き返そうとしている「戦争」そのものです。それが見えているから沖縄は屈しません。辺野古のゲートや海上で彼らに襲いかかってくる権力は、警察、防衛局、海上保安庁にその姿を変え、素手の県民を押さえつけます。でも、いくら押さえられても、その口は歌を唄う。怒りの絶頂を瞬時に笑いに変え、気力を盛り返す。撮影しながら、私は確かに地鳴りを聞きました。揺り起こされた「島ぐるみ闘争」の震動は、やがて激震となって本土に到達するでしょう。
作品情報
『戦場ぬ止み』
2015年5月23日(土)からポレポレ東中野で先行上映、7月18日(土)からポレポレ東中野ほか全国順次公開
監督:三上智恵
音楽:小室等
ナレーション:Cocco
配給:東風