藤田貴大(マームとジプシー)演出の舞台『書を捨てよ町へ出よう』が、12月5日から東京・池袋の東京芸術劇場シアターイーストで上演される。
寺山修司による評論集、戯曲、映画をもとにした同作。寺山は1967年に評論集『書を捨てよ、町へ出よう』を発表し、翌年に天井桟敷の第7回公演として上演。1971年には自身が監督と脚本を手掛けた映画版が公開されているが、評論集、戯曲、映画はそれぞれ異なる内容になっている。藤田が上演台本と演出を手掛ける今回の舞台版は、映画版に依拠しながら寺山を彷彿とさせる登場人物を配することで、評論、戯曲、映画を集大成した、寺山に捧げる作品になるという。
物語は、都電沿線の廃墟のような長屋で、万引き常習犯の祖母、無職の父親、ウサギを偏愛する引きこもりの妹と暮らす21歳のフリーターである「私」が主人公。人力飛行機によって抑圧された環境からの脱出を夢見る「私」の鬱屈した青春を、音楽と実験的な映像を交えて描く。
主演を務めるのは、UAと村上淳の長男であり、同作で初の舞台出演を果たす村上虹郎。さらに、青柳いづみ、川崎ゆり子、斎藤章子、召田実子、吉田聡子らが出演する。また、名久井直子、穂村弘、又吉直樹、山本達久が参加予定アーティストに名を連ねている。
村上は舞台初出演にあたって「まだ実感が湧いていません、というのが正直な気持ちです。実際に舞台に立っている自分をまだ想像できません。貴重な体験、時間をスタッフのみなさん、観客のみなさんと共有できると思うと、今から楽しみです」とコメント。また、「本のジャンルの中では詩が今まで一番多く触れてきました。偉大な寺山さんの生誕80年記念という特別な企画に参加できる興奮はあります。上手に言えないのですが、寺山さんの刺々しい刺激を、現代においてどうやって、どこまで表現できるか未知数です。そこを劇場に足を運んでくださる方々と一緒に期待している僕がいます」と意気込みを語っている。チケットの一般発売日は10月17日を予定している。
なお同作は、日本の1960年代から1980年代の戯曲を若手演出家が手掛ける東京芸術劇場のシリーズ『Roots』の第3弾作品。第1弾作品は2013年に上演されたつかこうへい作、三浦大輔演出の『ストリッパー物語』、第2弾作品は今年2月に上演された清水邦夫作、熊林弘高演出の『狂人なおもて往生をとぐ』となる。
イベント情報
開館25周年/芸劇フェスティバル
Roots vol.3
『書を捨てよ町へ出よう』
2015年12月5日(土)~12月27日(日)
作:寺山修司
上演台本・演出:藤田貴大
会場:東京都 池袋 東京芸術劇場 シアターイースト
出演:
村上虹郎
青柳いづみ
川崎ゆり子
斎藤章子
召田実子
吉田聡子
石井亮介
尾野島慎太朗
中島広隆
波佐谷聡
船津健太
参加予定アーティスト:
名久井直子
穂村弘
又吉直樹
山本達久