飯田竜太の個展『本棚のアーケオプテリス - Archaeopteris in The Bookshelf -』が、8月30日から東京・銀座のガーディアン・ガーデンで開催される。
2004年に同ギャラリー主催の第22回グラフィックアート『ひとつぼ展』でグランプリを獲得した飯田。書籍の重なったページに切り込みをいれて制作する彫刻作品を発表している。また2007年にグラフィックデザイナーの田中義久と結成したアーティストユニット・Nerholでも国内外で展示を行なっている。
今回の展覧会は「本棚」がテーマ。紙の原料である木材から本の形を彫り出して本棚に並べたインスタレーションを制作し、文字情報から解放された1つの彫刻作品として発表する。また同作の制作に至るまでに異なるアプローチで本を彫刻して制作した作品群が、写真や映像で紹介される。
9月2日にはオープニングパーティーを開催。9月8日にはワークショップ『本の中の文字だけで作品を作ろう』が開催される。参加方法の詳細はガーディアン・ガーデンのオフィシャルサイトをでチェックしよう。
飯田竜太のコメント
アーケオプテリスとは、世界最古の木といわれ、はじめに太い幹を持った木とされています。地球の大地に初めて影を落とした木ともいえます。情報を伝えるために用いた最初の素地としての紙、そして文字。それらは意思伝達のはじまりの形とも捉えることができます。そんな知の集合体である本棚を眺めているとき、本棚にある本を、書物である前に植物であると感じる人はあまりいません。情報のあり方と人の体感を、彫刻という手法を用いて明らかにしようと試みたのが今回の作品です。「体感できる自然」は、文字を含有した「本」、つまりオリジナルとコピーの差延が存在していることが明示されているものだと考えられます。物質を変更する彫刻的行為は、意味を明らかにする彫刻の恣意性を含んでいます。意味を含有していない「本を模した彫刻」は、視覚以外の様々な情報を体感する鍵となり、「アーケオプテリスの森」を体感できるのではないかと思っています。