こうの史代原作のアニメーション映画『この世界の片隅に』の声優陣が発表。あわせて予告編が公開された。
第二次世界大戦中の広島・呉に暮らす主人公・すずの声を担当するのは、先日「能年玲奈」から改名した「のん」。共演の声優陣には細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞、小野大輔、潘めぐみ、岩井七世、澁谷天外が名を連ねている。音楽はコトリンゴが担当する。あわせて公開された予告編では、のんによるセリフが入った映像が確認できる。
声優に初挑戦したのんは、主演のオファーを受けた際について「すごく本当に、とんでもなく嬉しくて、なんか地面からふわっと浮いちゃいそうなくらい嬉しかったです!」と喜びを語っている。
さらに声だけの演技については「別世界だなというのを痛感しました。体全部を使って演技をする時は、直接皮膚感を何も考えずに使えるのですけど、声だけでそれを全て表現するのは難しくて、全然違うなと思いました。すごく楽しかったです」とコメント。
片渕須直監督はのんの起用について、「のんさんの声をマイクを通して聞いた時、何年も前から自分たちが想像してきた声が、すずさんとなって現れました。その時、のんさん以外のすずさんは考えられないと確信しました」と明かしている。
こうの史代の漫画『この世界の片隅に』は、戦火に包まれていく日常の中で、日々を大切にしながら生きるすずの姿を描いた作品。アニメーション映画版は11月12日から東京・テアトル新宿、ユーロスペースほか全国で公開される。
コトリンゴのコメント
オファーをいただいた時は嬉しい気持ちと、片渕監督の綿密な作品作りについていけるようにと気持ちを引き締めました。
原作には、とても不思議な引き込まれ方をしました。これまで読んできた戦争の時代のお話とは少し違い、その時代の普通の人々の、普通の暮らしが丁寧にかかれていて、主人公のすずさんのほんわかした雰囲気が、身近に感じられたからだと思います。そのすずさんの心情にすごく合っているからと予告編に使用してくださっていた「悲しくてやりきれない」のカバーをさらにリアレンジしてすずさんに寄り添えるように、生楽器をメインに書き直しました。片渕須直監督のコメント
6年前「この世界の片隅に」をアニメーションにしようと思ってからずっと、すずさんの声を探していました。監督補の浦谷さんと互いに誰が良いかを考えていたところ、2人とも同じ声を思い描いていました。ご縁に恵まれて、のんさんの声をマイクを通して聞いた時、何年も前から自分たちが想像してきた声が、すずさんとなって現れました。その時、のんさん以外のすずさんは考えられないと確信しました。すずさんに命を吹き込んでくれて感謝の気持ちでいっぱいです。この作品は本当に幸運に恵まれたと思います。