映画『ちょき』のポスタービジュアルが公開された。
12月3日から東京・渋谷HUMAXシネマで公開される『ちょき』は、和歌山の商店街で美容室を営む波多野直人と全盲の少女・サキの恋を描く作品。亡くなった妻・京子が開いていた書道教室の生徒であったサキと10年後に再会した直人が、サキの想いを知り、ある決意をするというあらすじだ。
10年前に起きた事件以来、サキと会っていなかった直人役を演じるのは吉沢悠。直人の知らない10年の間に視力を失ったサキ役を増田璃子が演じる。監督・脚本を手掛けたのは、『ゆるせない、逢いたい』『さよならケーキとふしぎなランプ』などの金井純一。音楽と主題歌はおおはた雄一が担当している。
公開されたポスターは、川島小鳥が撮影した写真を使用したもの。直人と白杖を持ったサキが屋上で座っている様子が捉えられている。川島は台本を読んで得たインスピレーションをもとに撮影したという。
増田璃子のコメント
撮影から8ヶ月経って和歌山の景色を見て、本当に素敵な場所に居たことを改めて実感しました。
全盲の役を演じるのは初めてで、目線や動作に苦戦しました。さらに難しいと感じたのは方言です。和歌山の方に指導してもらいながらなんとか自分の台詞にしていきました。やりやすかった点は、当て書きで書いてくださったので、ありのままの私の姿で演じられました。
金井監督とは4年ぶりにお会いしました。4年前と印象は変わらず、サキを演じる私と真剣に向き合ってくださるので、私も自分の役にこだわりを持って演じる事が出来ました。また、以前の撮影から大分時間が経っている中、声をかけていただいた事が本当に嬉しかったです。
吉沢さんの印象は、お会いする前からイメージしていた通り紳士的な方でした。吉沢さんは一緒のシーンで私の細かい所まで気にかけてくださいました。私は芝居自体久々で、緊張していたのですが吉沢さんの優しさに助けていただいて、とてもやりやすかったです。未熟な私を支えてくださって、本当に感謝しています。吉沢悠のコメント
全体的に優しい世界観で、それぞれのキャラクターを丁寧に描いている映画だと思いました。見終わった後には、じんわりと温かい気持ちが残りました。
役設定が美容師なので早い段階から友人に頼み、技術を教わってハサミ使い含め美容師に見えるように研究しました。キャラクターとしては妻を亡くした過去があり、幼少のころから知っている少女にある種の想いを寄せるという複雑な内面を表現することに繊細に取り組みました。
増田さんはとても透明感のある女優さんで、感情を剥き出しにするというより内面が滲み出てくるような表現をする、今回の役柄にぴったりな方だと思いました。
金井監督は、とても柔らかい雰囲気な人柄で、今作品もオリジナルで描いていますが、人の持つ本質を描かれる鋭い感覚の方だと思いました。リハーサルで役者やスタッフが生み出したものを柔軟に取り入れて、映画に真実を描こうと向き合っている監督だと思います。金井純一監督のコメント
最初の構想から4年近く経ち、ついに完成した映画。
スクリーンで初めて見た瞬間、これは見た人の心に絶対に届くものになったと思いました。
撮影中、現地の方が本当に全盲の少女だと思っていたほど、見事に盲目の役を演じきった増田さん。
そして、美容師の先生も太鼓判を押すほど、技術を習得して撮影に臨んでいただいた吉沢さん。
盲目の少女と美容師という設定を超えて、二人が織り成す芝居を見続けられたことが、本当に幸せでした。
この映画が放つやさしい光、閉じ込めている深い悲しみが、暗い映画館の中で観客の心にそっと寄り添っている…、そんな映画として届けることができたらと思っています。