大森立嗣監督の映画『光』の音楽をジェフ・ミルズが手掛けることが発表された。
三浦しをんの同名小説をもとにした『光』は、東京の離島で育ち、島を襲った津波から数人の大人と共に生き残った信之、恋人の美花、年下の幼なじみの輔の3人が、25年後に再会するという物語。信之が美花を守るために犯した罪を秘密として共有する3人が再び巡り会い、過去と向き合う様を描く。信之役を井浦新、信之と美花を脅す輔役を瑛太、美花役を長谷川京子、信之の妻・南海子役を橋本マナミが演じる。
ジェフ・ミルズが劇場公開映画に音楽を提供するのは今回が初。大森監督からの要望に応えて全編の音楽を担当することになったという。
ミルズは同作の音楽制作について「サウンドトラックが、そのシーンの新たな登場人物である様子を想像しました。また、音楽が登場人物の内なる声として存在してほしかったのです。すべての音の要素が目的を持っている、そんな楽曲作りを心がけました」と明かしているほか、「頭を空にして、オープンマインドでこの映画を見にきてほしい、それが僕からのメッセージかな」と観客に呼びかけている。
また大森監督は「出来上がった映画『光』はタイトルの如く、恒星のように発光していました。俳優が宇宙人のように見えたり、別の星の話に感じたり、地球の重力から解放されたような錯覚すらあったのです。今までこんな映画があっただろうか、すごいことになるぞという感じがしました。ぜひ映像、ストーリー、音楽がどう共鳴しあっているかを体感していただきたいと思います」と語っている。
ジェフ・ミルズのコメント
『光』の音楽のオファーを初めに受けた時の印象、感想
この作品に力添えができて光栄に思います。素晴らしい作品なので、様々なシーンで巻き起こる感情をしっかりと音楽で表現できるように力を尽くしました。物語を読んだ印象
非常に率直な物語です。控えめさを完全にそぎ落とした、辛辣な作品。芯のある登場人物たちですが、同時に倫理観や慈悲心における喪失感が感じられます。サウンドトラックの制作をしている中で、どの登場人物にも共感できなかったのです。だからこそ、音楽のコード構成や重要な音の配置に関して客観的に作業ができました。音楽制作時に持っていたイメージについて
サウンドトラックが、そのシーンの新たな登場人物である様子を想像しました。また、音楽が登場人物の内なる声として存在してほしかったのです。すべての音の要素が目的を持っている、そんな楽曲作りを心がけました。制作時に大森監督とした対話について
大森監督からはサウンドトラック使用シーンのサンプル映像を頂き、映像を何度も見返してシーンを覚えて作曲を始めていきました。比較的多くのアイデアを創り出しました。監督が示す方向性を理解し、それに見合ったタイプの曲を広げていきました。日本の観客へのメッセージ
頭を空にして、オープンマインドでこの映画を見にきてほしい、それが僕からのメッセージかな。大森立嗣監督のコメント
音楽は映画に強い影響を与えます。ときには魔法のようにシーンをまったく別の意味にしてしまいます。だからこそ慎重になります。いつもそうですが、シーンを説明するような音楽はつけたくないという思いがあり、それがこの映画には一層強くありました。なぜなら『光』という映画が放つ力は、理性的に、寄り添う様にある人間の営みとは別の『生命そのものの光』だと思ったからです。それは異物と異物のぶつかり合い、あるいは融合のようなものです。編集した映像と音楽もそのような関係になればいいと思っていました。
大駱駝艦を通してジェフ・ミルズさんの曲を聴いていて、もしご一緒したらどうなるだろう? それを想像が出来なくて、でも想像ができないからこそワクワクしました。パリとマイアミに拠点を置くジェフさんとは、スチール写真をお送りしたり、映画をイメージするキーワードを10個ほどお送りして作って貰うことになりました。音楽はすぐ出来上がってきました。自分の想像を超えていて、映画と融合したときにどう見えるのかを考えると楽しみで仕方ありませんでした。そんなやりとりを重ねて映画は完成しました。出来上がった映画『光』はタイトルの如く、恒星のように発光していました。俳優が宇宙人のように見えたり、別の星の話に感じたり、地球の重力から解放されたような錯覚すらあったのです。今までこんな映画があっただろうか、すごいことになるぞという感じがしました。
ぜひ映像、ストーリー、音楽がどう共鳴しあっているかを体感していただきたいと思います。
- 作品情報
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『光』
2017年11月下旬から新宿武蔵野館、有楽町スバル座ほか全国で公開監督:大森立嗣 原作:三浦しをん『光』(集英社) 音楽:ジェフ・ミルズ 出演: 井浦新 瑛太 長谷川京子 橋本マナミ 南果歩 平田満 配給:ファントム・フィルム
Special Feature
Crossing??
CINRAメディア20周年を節目に考える、カルチャーシーンの「これまで」と「これから」。過去と未来の「交差点」、そしてカルチャーとソーシャルの「交差点」に立ち、これまでの20年を振り返りながら、未来をよりよくしていくために何ができるのか?