柚木麻子の小説『伊藤くん A to E』が実写映画化され、2018年に公開される。
2013年に発表され、『直木三十五賞』の候補作になった『伊藤くん A to E』は、容姿端麗だが、自意識過剰で無神経な男・伊藤誠二郎と、彼に振り回されるAからEまでの5人の女性を描く物語。
Aは伊藤に粗末に扱われる高級カバン販売員、Bは伊藤からストーカーまがいの好意を持たれるフリーター、Cは親友が恋心を抱く相手である伊藤を寝取るタルト店の店員、Dは処女は重いと伊藤に振られ、自暴自棄になって初体験を済まそうとする大学生、EはAからDまでの女性たちの伊藤にまつわる恋愛相談を受け、それをネタに新作ドラマを書いて再起を図る脚本家となる。
映画版で主人公の伊藤役を演じるのは岡田将生。それぞれの女性たちを翻弄している男が全て同一人物の伊藤だと知ることになるEの女・矢崎莉桜役を木村文乃が演じる。監督は『ヴァイブレータ』『さよなら歌舞伎町』『PとJK』などの廣木隆一が務める。
劇中では、伊藤がAからDまでの女性を翻弄していく様と、彼女たちが莉桜に恋愛相談する様子の2つの視点で物語が展開。やがて2つの視点が交わり、伊藤が自身の主宰するシナリオスクールの生徒であることに気がついた莉桜が、伊藤と向き合うことになる、というストーリーになる。
岡田は過剰な自己愛を持つ伊藤について「共感などは一切できず反感しかなかったです。それでも目が離せなくなり夢中に読んでしまいました。一言で言うとクズみたいな男ですね」とコメント。また「今まで培ってきたものを全て集約させて伊藤くんと心中する覚悟で臨みたいと思ってます」と意気込みを語っている。
心の中で他人に毒づき、他人の不幸を利用しようとする腹黒いキャラクターの莉桜を演じる木村は「矢崎莉桜という、右に左に揺れる女性たちの実は一番の理解者で、去る者は追わないけど来る者も拒まない、傷つけている様で傷ついている独特の立ち位置の加減を上手く作り上げていけたらと思っています」とコメント。撮影は7月下旬から約1か月間にわたって行なわれる。
岡田将生のコメント
原作を読んでいたので、伊藤くんをやらせてもらえるのはとても嬉しかったです。
そして、また廣木監督とやれることが幸せだなぁと思いました。
伊藤には共感などは一切できず反感しかなかったです。それでも目が離せなくなり夢中に読んでしまいました。
一言で言うとクズみたいな男ですね。
本当にモンスターだなぁと思ってます。
今まで培ってきたものを全て集約させて伊藤くんと心中する覚悟で臨みたいと思ってます。
崩壊していていく様がとても重要だと思ってるので、とことん、矢崎莉桜と対峙していこうと思ってます。
木村さんには一度もお会いしたことがないのですが、いつかご一緒したいと思っていたので嬉しいです。
撮影中はクズで終わりたいと思ってます。木村文乃のコメント
廣木監督とまたお仕事出来ることが楽しみです。こんなにもリアルで、痛くて、知りたくなかった「女であること」、を思い知らされる作品は他にはないと感じました。矢崎莉桜という、右に左に揺れる女性たちの実は一番の理解者で、去る者は追わないけど来る者も拒まない、傷つけている様で傷ついている独特の立ち位置の加減を上手く作り上げていけたらと思っています。伊藤くんは誰の中にもある、乗り越えるべきモノゴトを擬人化した姿なんだろうなと思っています。岡田将生さんとは初共演ですが忘れられない作品になれるように日々を積み重ねて行きたいです。
廣木隆一監督のコメント
女性の恋愛観だけではなく友情など本音トーク的な小説に惹かれ、恋愛で成長して行く女性達を描きたいと思いました。岡田くんは最近役の幅がどんどん広がっていくようで、どんな芝居をしてくれるのか楽しみです。木村さんには、本音なのか演技なのか、自然に大人の女性の内面をうまく出してくれたら面白いものになると期待しています。都会で暮らす女性の普段は口に出来ない会話のやり取りだったりで、少しでも女性の本音に迫れたらいいと思ってます。
柚木麻子のコメント
映画化のお話をうかがったとき、とても嬉しかったです。とはいえ、こんな最低男の話を誰が実写で見たがるんだろうか、という不安はあったのですが、岡田さんだったら、伊藤くんを演じても、憎々しさの中に品と説得力を持たせることができると思います。木村さんのような完璧な女性が、だらしない矢崎をどう演じてくれるのか?ワクワクしています。最低男を通じて連帯する女の子たちを描こうとした物語です。最高のキャストでの自作初映画化、こころから感謝します。
- 作品情報
-
『伊藤くん A to E』
2018年初春に全国公開監督:廣木隆一 原作:柚木麻子『伊藤くん A to E』(幻冬舎文庫) 出演: 岡田将生 木村文乃 配給:ショウゲート
Special Feature
Crossing??
CINRAメディア20周年を節目に考える、カルチャーシーンの「これまで」と「これから」。過去と未来の「交差点」、そしてカルチャーとソーシャルの「交差点」に立ち、これまでの20年を振り返りながら、未来をよりよくしていくために何ができるのか?